11夜目 可愛い後輩達と幼馴染で昼食を食べに行きました。
どうも、一条 栞菜です。
現在6月12日12時57分
恋人の事が好きな恋人の幼馴染から恋の相談受けてます。
どうしようどうしようどうしようどうしよう!!
「あいつってさ、いっつも人を無意識に助けてるようなやつなんだよ。それで本気になった奴らがあいつに勇気出して言いよってもあの天然バカは気付かずに笑顔でその気持ちを無視してる。それで恋人つくって無意識に人を傷つけるんだよ。」
八神ちゃんはどんな助け方してもらったんだろう。上山先輩は?
…それに渚は今までどんな人と付き合ってきたんだろう。最後までした人はどれだけの人数いるんだろう。渚から告白した事は?あったら嫌だな。
私と付き合ったのは、私から告白したからだ。
本当に渚は私の事好きなのかな。実は元恋人と会ってたり?そうだよ…渚は今までどの位の人数とキスしたんだろう…あんなに暖かく包み込んだのはどのくらい…?その人の名前を呼んで夜を明かしたのは…何回…あるの…?
「上山先輩…は…どうして…先輩のこと好きになったん…ですか…?」
苦しい…痛い…嫌だ…考えたくない…不安になりたくない…。
「同じ部活だったんだよ。陸上部。途中で同クラの奴がさそってあいつが入部したんだ。あいつは100m走でさ、期待のエースでただただかっこよかった…。私はあの時恋愛感情なんて一切なかったと思う。憧れてた…それと同時にエースの座を奪われた私は憎しみも持ってたと思う。」
渚…陸上部だったんだ。モテたんだろうな…。きっと沢山の女の子に言い寄られてその中の一人ぐらいは付き合ったんだろうな。
「上山先輩は、その時は好きじゃなかったんですね…。」
今私凄く冷たい声だ…。
「あぁ。半年位たった時、私達も結構仲良くなったんだよなー。それで練習が終わってハードルの片付け手伝って遅くなっちゃって部室に行ったらさ、一年生の私の悪口が聞こえてきたんだよ。『上山先輩うざくない?キャプテンでもないくせにさ、なんか仕切り出してめっちゃきしょいわ!エースでもないくせに。途中から来た佐藤先輩に簡単にエースの座取られてたやんな〜!めっちゃ笑えんねんけど!』って感じの事言われて、うざいとかそんな事よりエースの座を簡単に取られてたって所が本当にムカついたけど、事実だったから、情けなくなって泣きそうになった。逃げたかったけどそこから動けなかった…。」
私と同じだ…。本当に悪意のある悪口を目の当たりにしてしまったら、足がすくんで動けなくなる。それは信頼してたり仲が良かったりするほどショックも大きくなって貧血の時みたいに目の前が真っ白になる…。
「…よく…分かります…。」
上山先輩は一瞬ビクッとして、揺れた瞳をこちらに向けてきた。そして悲しそうに目線を逸らした。
「ここからは…予想ぐらいつくかな…。私は足音が聞こえてやっとすくんでた足が動いて物陰に隠れる事が出来たんだ。足音をたてて近ずいて来たのは渚だったんだよ。あいつも一緒になって私を馬鹿にするんだろうな、それか自分は好かれたままにして私に同情するか、どっちかだろうと思ってた。でもさ、すっごい以外だった。あいつなんて言ったと思う?『黙れや人の頑張りとか努力とか見んで陰でボソボソボソボソ!ええ加減気付いたらどうや?お前ら何が出来んねん。元々エースやったんか?なんかの賞とったんか?大阪2位なったんかぁ?自分ができもせんこと一丁前に話すなゴミが!!ていうか私大阪4位なんやけど?めっちゃ悔しかったのにお前らのせいで機嫌クソ悪いねん。死ね!』だぜ?くっそ笑えたわ!物陰で爆笑して一年にバレるわ土下座されるわでさんざんだったわ!あんなに長い言葉なのに忘れられないんだよ。本当に…馬鹿だろ?」
そんな言葉をはいてはいるけど、頬を赤らめて、愛おしそうに柔らかく笑った。
「ふ、普通に友情の芽生えとか…そういうのを聞いてる気分です…。」
「んー、まぁまとめるとこの時からずっとずぅーっと好きってこと。あいつがどんな恋人いようと私は諦めるつもりないよ!そろそろ戻らないと。八神ちゃんが可哀想だ…。」
さっきまで笑顔だったのに恋人のワードが出た途端また苦しそうな笑みを浮かべて上山先輩は席へ戻っていった。凄く、気まずかった。その恋人が私です、とか言えないし。
「…ていうか、好きになった理由私といっしょじゃんか…。…悔しいなぁ…っぐす…嫌だよ…渚が私以外の人を好きになるなんて…っ上山先輩…諦めてよ…。渚は…っ!私の…ものなんだよ…。」
私の声は響くはずのトイレにも響かず、冷たいタイルの床に涙が落ちる音だけが響き、虚しさだけを私の胸に残していった。
◇渚目線
「遅いわね…。」
栞菜の後に凛子がトイレに行った時から5分以上経ってる。大の方かしら?
「み、見に行ってきますよ?」
八神が行ってくれるらしいので、行ってもらう事にするかしら。
「えぇ、頼んでいいかしら?」
「はい!」
八神が左側の通路を歩いてトイレに向かう。
頭が痛いし寒気が…。何かしら…?
そんなことを思っていると、右側の通路を歩いて凛子が帰ってきた。
「えっ、あぁ、おかえり。」
「っ!…八神ちゃんは!?」
凛子は何故か、驚いて、焦ったような罪悪感を滲ませた瞳をしていた。
「え…お前ら遅いからトイレに行って見に行ってくれたぞ?」
「…え、悪い事したな〜。」
凛子はそっと胸を撫で下ろす。
…なんだ?
「お待たせしました。すみません〜っ!」
栞菜が少し赤く腫れた目をして、無理なつくり笑顔をする。そして私と目があった途端、訴えかける冷たいような熱いようなよく分からない辛そうな瞳を不器用に逸らした。
「……!」
その一つの動作に意味もわからず傷つき、会話の内容が分からないまま、昼食を食べ終わり、つくり笑顔で会社に戻った。身体が重たく熱い…死にそうなくらいに頭と胸がズキズキと痛んだ。私は今、何をしているのかも分からなくなり、目の前が暗くなり強い衝撃とかすかに感じる冷たさを最後に意識は途絶えた。




