彼女に残る思いの跡
初めましての方は初めまして。
知ってる方はどうも。
結ヶ咲蛍です。
新作なので、不都合もあるかもしれないですが、よかったら見ていってください。
これからよろしくお願いいたします。
歴史に刻まれる大事件。
ウルムと呼ばれる大陸でもっとも大きな国が合った。
その国は繁栄に栄え、何万という富を築き、平和に暮らしていた。
だが、その国は四年前滅びた。
12歳の少女によって。
燃え盛る王城。慌ただしい兵士の数。
木の幹に寄り掛かりながら、倒れた彼女はシルヴィア・クローネという名前だった。
赤い薔薇の刺繍が施された豪奢なドレスは血にまみれている。つややかな銀髪は絡まり、碧玉色の瞳は痛みに歪んでいる。玉のように透き通った白い肌は、脂汗が浮かんで彼女が怪我をしていることは、みてわかる。
この現況を繰り出したのは彼女であり、裂けたドレスから覗く体はあちこち傷つき、血も結構な量がながれてしまっている。
彼女はそう遠くへとは逃げられない。
だが、王城が燃えているなか手傷を負い動くことが出来ない彼女に、追手がくるのは当たり前だった。
何故なら、彼女は自分の国の王であり、その人を殺した反逆者というのだから。
「どこだ!?」
「そう遠くには行っていない‼」
王城の後ろにあった森林に身を隠しているが、ここにいることが気付かれてしまうのは時間の問題だろう。そして、兵士の声が聞こえてくる。
彼女の銀髪は夜の中でも目立つ。それは、血で濡れていても。
「まだ、死ねない。私は・・・・・・」
決意を握りしめる。
シルヴィアは悔いや痛みなどとは無縁の生活をしていた。
両親からは花よ蝶よと愛され、兵士が持つ剣などはみるだけでおぞましいものだと教育された。
誰も、わからないだろう。
誰も、知らないだろう。
彼女の中にある、その感情に。
————————どうか、私を憎んでください。
私は、背中の痛みを無視して、森の奥に入り始める。
それは四年前の事。