プロローグ 【手紙】
拝啓
益々遠くの空に暗雲が立ち込めている今日この頃
父さん 母さん そしてエリス
お元気ですか? 僕は元気です。
僕は今、訳あって東のセゴオの街に来ています。
セゴオはすごくいいところです。
田舎ですが……治安も良く、自然も豊かでとても過ごしやすいです。
食べ物も、自然由来のものが多いですがどれも絶品。今度エリスにも食べさせたいなぁ。
さて
報告しそびれていましたが、最近仲間が増えました。
こいつがなかなか難儀なやつで、何を考えてるかわからないんです。
まぁいろいろ大変ですが、そこそこ楽しくやってます。
これからもいつか元通りの世界で笑うために、自分にできることを探すつもりです。
父さん、母さん、そしてエリス。
みんなも体に気をつけて、楽しく暮らしてください。
今度僕が帰るときは、きっと全て元通りにするから。
全てが元通りになって、みんなが心から笑える世界を願う
ハルトより
敬具
##########
「誰が難儀なやつじゃ」
「あいてっ」
そう言って彼女は、僕の頭をそこそこ強くチョップした。他人の手紙を覗くなんて……
そんなこと言っても無駄か……
それにそんなことは、どうだっていい。
だってこの手紙は「どうせ届きもせんのじゃからな」あの地の文先読みするのやめてもらえませんかね……
しかしその通りなのである。
この手紙は、届かない。
「さて、どうしようか」
「どうするかのう」
そうして今日も、考える。
どうしたら元に戻るのか。
【----エンカウント・スタート】
「こ、こんなところでっ!」
「仕方ない、ここは一戦交えるしかなさそうじゃな。ククク」
この、エンカウントに縛られた世界は。