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楕円の落下  作者: みつ
4/4

愛を語るより・・


数年後ー。


金山は、仕事を終えて家に帰る。


御飯が作ってある。


温めて食べる。


寝ようとベッドに行く。

ベッドに入ると、


「遅かったね」


と女性が抱きついてきた。


片手で女性を抱き寄せて、片手でテレビをつける金山。


テレビは地方のニュースだった。


身寄りのない子供の私設に、クリスマスにケーキが沢山、届けられたということだった。


無邪気な子供が、アップで画面に映る。


「どれ、食べようかなぁ!」


ベッドの女性が言う。


「わたしも、ケーキが食べたい」


金山が言う。


「俺は、きみを食べたい」

二人でベットで、笑い抱き合いキスを何度もする。


夜がふけていく。


そして、朝になり、金山が目を覚ますと、女性が朝ごはんを、作っていた。


二人で朝食を食べながら、女性が言う。


「でも、昨日のテレビ、本当に美味しそうだったな」

「まだ言ってるのかぁ。じゃあ、今日、買ってくるよ」


金山は、そう言って家を出た。


女性は、金山が出ていったドアを見つめていた。

ドアが開いた。


「忘れもの、忘れもの」


と言い、女性にキスをする。


そして、また出ていく金山。



外で、一人の男と、すれ違う。足を引きずっている。


片手には、目新しい義手を装着していた。


金山は、すれ違い、去っていく。



金山は、副業で作家活動をしていた。


それが、成功した。


いつしか、まとまった金が入るようになり、出版業界を出入りして、今の彼女と知り合った。



むかし。


あの日、雑誌で見たような女性は、今は、家に帰れば、そこにいて温かく金山を迎えてくれる。



私設に匿名で、ケーキを届けたのも、金山だった。


今、すれ違った男性にも知り合いを通じて匿名で義手を贈ったのだった。


金山は、歩く。その歩き方は、姿勢正しく、電車に座る時も背筋を伸ばす。



むかし、一人の男がいた。


何の取り柄もなく、つたない生活をしていた。


ニュースや、回りで起きていることに、


「何とか力に、なりたいけど、俺ではな・・」


と自嘲していた男。


電車の窓ガラスに、その男が映る。


そして、その男は、それを見て笑った。


自嘲ではなく、嬉しさで。


(金山、やれば、できるじゃないか)


そう心で呟くいていると、目の前に妊婦が来た。

「よかったら、席、どうぞ」


さりげなく立つ、金山は、


「きをつけ!」


を誰かに言われている姿勢だった。


(終わり)

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