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序章 希求
自分という人間が、愛されることはないのだろうと思う。
誰もかも、上辺で人を判断する。
大切なのはどれだけ容姿がいいかということで、性格やその能力は無視されてしまうのだ。
努力して努力して、自分を見てもらおうと必死になっても、それは叶わない。
いつの頃からか、そういうものだと諦めるようになった。
そうでなければ虚しくて、とてもやってはいけないから。
本当は誰か特別なひとに、もっと別なことを認めてもらいたかったような気もするが……。
もう覚えていない。
忘れてしまった。
今はただ、忘れてしまったことを覚えているだけ。