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第0話 ドラゴンの経験値より美味しいもの
「ふぅ、討伐完了ね」
――バシュウウウウ……
私の義手の排熱口から白煙が噴き出す。どうやら少しやりすぎたようだ。
「SSSランクの魔物といえど、この程度なのね。レベルも255から上がらないし経験値も美味しくないわ」
もともと山のように巨体だったドラゴンの首から下を消し飛ばし、頭だけになったそれを見てぼやく。
「こんな簡単に倒せる魔物の素材がオークションじゃ金貨何万枚にもなるなんてね」
正直こんな魔物に義手のフルパワーをぶつける必要などなかったがあの子と開発した新技を試さずにはいられなかった。
「それにしてもアリーシャ・ダグライル伯爵、か。全然慣れないわね……」
永遠の苦しみとともに地下牢へ幽閉された父親に代わり、私が伯爵となってから幾分か過ぎたが、それでもただの学生である私には慣れないことが多い。
「あら? もうこんな時間ね」
帰ろう。みんなで夕食の時間だ。
経験値は美味しくなかったが、夕食はきっと何より美味しいはずだ。




