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魔王でビート!ビート!!ビート!!!(音楽=魔法となった世界で)  作者: EDONNN
1章:魔王の誕生〜西国ポルト・アリアにて
21/52

1−21:魔物襲来

「……これから、どうします」


ポルト・アリアから離れ深い森の入り口に差し掛かった時、チューンは隣に駆け寄ってきた。


「とりあえず。ここの人達が向かう先に奴がいる、ってことでよいんだよな」

すぐ近くにはクリストムが、さらにその後方には200人の兵士が遅れて歩いている。

会話もなるべく小さくしなければならない。

「私めの想像でお話しすることお許しください。この人数を召集するということは、少なからず潜伏先の大まかな位置は掴んでいるんでしょう。ですが、人間にはヒビキをしっかりと把握するほどの力はありません。そのため、人海戦術に臨んでいるのかと」

彼女の言う通りだと思った。しかし、このまま彼らと一緒に行動して、同じタイミングでドライブたるデーモンを発見したとしても、もはやその時に戦闘が始まってしまう。それでは遅い。

「バフォメットは音力を感知できるって言ってたよな。それでドライブの居場所を先に掴むことはできないか」

「やってみます」

二人でコソコソ話をしている時、ふと気配が過ぎる。


「なかなか君たちは仲が良いんだね」

石鹸の匂い。それを先ほど隊長と名乗った男。ヘリオとか言ったか。

「な、なんだよ」

「いや。なかなか面白い気配をしている男女だったし。それに同年代かなとも思って声かけたのさ」

ヘリオはゆっくりと並走する。

「——なんなの。こいつ」

チューンは思わず吐露する。その悪態にヘリオも気づいたらしいが、さらに笑みを強めた。

「まあ。そんなことを言わないでよ。君たちはどこの街出身なの。ポルト・アリアじゃないよね。港町の人間にしては肌が焼かれていない」

「出身……」

嫌な質問をしてくる。ヘリオの緑の目が品定めをするように見つめる。

「ビャッコウ……だ」

「おっと。首都出身か。それだと僕と同じだ。いや同郷がいるなら心強いね」

ヘリオは同じ歩幅で森を進む。


「ヘリオ」

中々彼をことが撒くことができないなか、小柄な少女が近づいてきた。

「魔物がいる。ヒビキを感じる気をつけて」

ヘリオはその少女を横目で見る。そして手を大きく上げる。


「おしゃべりはここまで。全隊止まれ」

ヘリオの目つきが変わる。

隣にいるチューンを見る。彼女もまた頷く。

「この感覚。ハウンドドッグの群れです。魔界を外れた魔物には、真王様のことは分からない。襲われるかもしれません。ご心配なくマオ様は私が守ります」

クリストムも含めパーティのメンバーも構えた。それぞれが光り輝き楽器を召喚し始める。


音力を感じることなどできない俺でも分かる。

何かが、それもかなりの量が迫っている。

「う、うわぁ」

後方にいたパーティの男が叫び声を上げた。

人よりも一回り大きい黒い犬が覆い被さっている。

「魔物だ! 皆気をつけろ!!」

どこかで叫び声が。

「くそ」

クリストムはトランペットを強く吹く。すると彼にオーラが纏われる。そして、ハウンドドッグたる魔物を殴りかかった。

すると魔物はキャウン、と弱い声と共に吹き飛んでいった。

「強響ですか」

チューンは呟く。


「マオ様。気をつけて。来ます」

彼女も指を鳴らしハープを召喚する。そして彼女の読み通り、魔物が3体走り向かってくる。

狂想曲( ラプソディー)第9番。仮想の山猫(ダスト・リンクス)

ざっと彼女が弦を弾く。するとダスト達が草木の端から湧き出て固まる。そして虎のような漆黒の猫が現れる。


そしてそれはザン、ザンと巨大な爪で魔物を薙ぎ払っていく。対して後ろの兵隊達は中々苦戦しているようにもみえた。

「ガウガウッ」

気を取られた瞬間、魔物は眼前に迫っていた。

「うわ。うわっ」

真っ赤な瞳。そして巨大な牙が眼前にっ。

「マオ様っ……!」

チューンが叫ぶ。その牙が自分の目に刺さりそうになった時、急に目の前の魔物の力が抜けた。

それが崩れさったた時、バイオリンの弦を剣のように構えたヘリオの姿が見えた。

「——これで48」

彼は倒した魔物を数えているようでもあった。ヘリオが助けてくれたのだ。何とか助かった。


しかし。

周りを見る。かなり悪戦苦闘しているようにも見えた。それは自分も同じ。


次々と襲いかかるハウンドドッグという魔物を倒していく。しかし、俺は何もできない。むしろ足手まといだ。

これが、真王いや魔王だというのだろうか。俺は、何かができるのだろうか。


鬱蒼とした森の中での戦いが続く中、自分の無力感は強まっていく。


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