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機動空母リベレーター戦記  作者: 天野 了
『機動空母リベレーター戦記』第四部 [ 最後の夢編 ]
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『激戦の最中』

近接で対艦戦闘を行うSCV-01リベレーターは敵艦の電磁キャノンの攻撃でCICが破壊されてしまう…、航法管制の中島少佐が倒れ、他の者も負傷する中、ランドーはサブCICへ移動を下令する。艦隊同士がすれ違い距離を開ける中で、母艦アトランティスの発令センターではロバートソンがダメージを報告する。それを聞いていた総司令官のハワードは自室へ戻り、リードマン大将を呼ぶと、再びカインへ飛ぶ旨を伝える……


『激戦の最中』




バートル大尉は手動ハンドルを回し、何とかエアロックを完全閉鎖させる事に成功した。急いでCICへ走るが次の大きな衝撃と振動で通路へ身体を転ばした。立ち上がり、走ってCICへ入ると艦長のランドーと和泉、その他の管制科員は床に投げ出されて伏していた。直ぐにバートル大尉はCIC内を確認すると、全球スクリーンの左側面に大きな穴が開き、右側も損傷していた………直撃弾だった。


バートルは艦長のランドーを抱き起こし叫んだ。



「大丈夫ですかっ!! 大丈夫ですかっ、艦長ぉーっ!!」



ランドーは気が付き、大丈夫だっと言うと立ち上がってバートル大尉に指示を出した。


「私は大丈夫だっ!他の者を診てくれっ!!」、そう言うとランドーは和泉の方へ走った。


バートルは下へ降り、マーク中尉とフスター少佐、マーベリット大尉を診た。衝撃で倒れていたが各人とも軽傷だった。彼は直ぐに宇宙服の破れた箇所に気密テープを貼って回った。


この中でバートルは足りていない管制科員に気が付き、航法管制エリアに目を向けると、そこには在るはずの航法管制シートが無くなっていた。航法管制エリアは火器管制と動力管制エリアに挟まれたレイアウトで一段下がった所、丁度、全球スクリーンの中央に配置されている、それが消えていた。ランドーも下へ降りてきて火器管制エリアから下を覗き込んだ。………そこで見たものは航法管制エリアの残骸と、その下敷きになって倒れている中島少佐とアスカだった。


「SAIっ、直ぐにメディックを呼べっ、急げっ!!」、とランドーはSAIへ叫んだ。


バートルは火器管制エリアの端にあるメンテナンスタラップを伝って全球スクリーンの底部へ降り、残骸を退け、担いで二人を引き上げた。


「少佐っ!! 中島少佐ぁーっ!!」、とバートルはヘッドキャノピーを付けて叫んだが反応は無かった。中島は薄めを開き、ゆっくり瞬きをしたように見えた。


(大丈夫だっ、まだ助かる………)、とバートルは思った。


アンドロイドのアスカはボディが傷つき片足を失っていたが機能はまだ生きていた。



各員、自分の席へ戻り、メインパネルをチェックしたが、直撃弾の衝撃で機能を喪失していた


「全員、サブCICへ移動せよっ!!」、とランドーは発した。


リベレーターは土星宙域戦闘の後、指揮系統維持のためエドワーズ工廠の改修時に空いた航空機用格納スペースに緊急用のサブCICが設置されていた。


メディックのアンドロイドがCICへ入り、負傷者の回収を行うと、他の者もCICを後にした。




      ◆




母艦アトランティスの発令センターでは交戦域を突破し、後方へ過ぎ去る敵艦隊に警戒しながらダメージの報告がなされた。



「敵艦隊の残存数は12っ、何れも小型艦だけですっ、…こちらの損害は支援艦隊のドイツ国防宇宙軍のSU-147が全艦艦隊行動不能っ!! イギリス防空軍のバリアントが中破っ………我が打撃群艦隊の損害は比較的軽微ですっ、艦隊行動に支障は有りませんっ!」、とロバートソンは提督のカートライトへ報告した。


カートライトは軍帽を深く被り直した。


「アトランティスの防御フィールドの外に居たドイツ艦艇は3隻全てやられたかっ………クソッ!! バリアントもこのまま随伴は出来ないっ!ロバートソンッ、バリアントは戦域から退避している〈しきしま〉へ向かえと伝えろっ!!………我が艦隊の損害の詳細はっ!?」、とカートライト。


「艦隊前衛に着いていたSCV-02インデペンデントと01リベレーターに損害が集中しました。両艦ともTX機関は無事ですがインデペンデントは8箇所以上の電磁キャノンの直撃弾、リベレーターは5箇所に直撃弾を受けていますっ……リベレーターはCICに被弾…」、とロバートソンは暗い顔をした。



「ランドー艦長は無事なのかっ!?」



「無事ですが他、負傷者多数、航法士パイロットが戦死しましたっ………」、とロバートソンは答えた。



「アトランティスに付いて来ているかっ!?」、とカートライトは聞いた。


「現在SAIで自動航行しています。位置は後方6000に居ます……」


「後方に後退したかっ、………出来るだけ位置を保つように伝えてくれっ!」



カートライトとロバートソンのやり取りの中、ハワードとクラウディアが様子を見に入った。



「どうだっ、提督っ?!」、とハワード。


「何とか退けました、………問題は現在接近している敵性UFOの艦隊です。今回の艦隊戦で消耗した武器弾薬を補給艦から補充しなければなりませんっ、時間との勝負ですっ!」、とカートライトは答えた。


「承知したっ、次の行動へ移ってくれっ!」、とハワード。




  ………………………………




ハワードは発令センター後部の自室へ戻るとリードマン大将を呼んだ。


直ぐにリードマンは部屋を訪れた。


「何か御用でしょうかっ、大統領?」、とリードマンは尋ねた。


「現在接近している敵性異星人の艦隊とやり合うには我が艦隊は数が少なすぎるっ………そこで提案だがっ、……」、とハワードはリードマンに持ち掛けた。リードマンは神妙な面持ちで耳を傾けた。



「私はもう一度、カインに飛びたい、……この前、カインから粗、強制的に退去させられたのは分かっている………」、とハワード。


「何故ですかっ、大統領っ!?」、とリードマンは尋ねた。

「彼等カインが、いつ和泉の言った提案を実行するのか分からない………、私はそれを早めてもらいたいっ、そのお願いに行くのだっ。」、そう言ってハワードはリードマンの目を見た。そして、次のように言った…



「私は政治家だっ、……総司令官の肩書は有るが、現場では君たち軍人の方が遥かに有能だ、私は政治家として自分の出来る事をやろうと思うっ!」


意を決したハワードの言葉にリードマンはただ頷くしかなかった。




リードマンは部屋を出ると発令センターへ走り、カートライト提督とロバートソンに状況を説明し、直ちにリベレーターへのランチ(内火艇)を準備するよう命じた。




自室から出たハワードとクラウディアは発令センターへ入り、カートライト提督とロバートソンへ別れの握手をした。二人は、もうスーツに着替えなかった。それはアメリカの大統領という肩書を捨て、一人の地上人としてカインにお願いをしに行く、リードマンたちにはその表れのようにも感じた。



「カートライト提督、もし何か有ったら後を宜しく頼むっ!」、とハワード。カートライトとロバートソンは敬礼で応えた。


「大統領っ、お気を付けてっ!!」



リードマンはカートライトたちの方を見て浅く頷くと、ハワードらを連れてCICを出て行った。




      ◆




一方、リベレーターではランドーと他のCIC管制科員たちがサブCICへ入り、各操作パネルのチェックを行っていた。CICとはいえ、緊急用に設置されたそれは本来のCICと比べて自由度の高いものではなかったからだ。


既に航法管制の中島少佐の死亡は伝えられていたが、それを悲しんでいる時間は無かった。ただ、各人が自分の出来る事を懸命に行っていた。



「動力系、操作パネル、チェック完了っ………操作機能不足部分はSAIよりインストールしました。OK、イケますっ!」、とバートル大尉はランドーに報告した。他、火器管制のマーベリット大尉も火器管制コントロールパネルのチェック完了を報告した。彼女の横には負傷したフスター少佐の代わりにアンドロイドが着いていた。


航法管制には応急修理が施されたアンドロイドのアスカと他のアンドロイドが着いた。アスカはチェック完了を示すようにランドーの方を向いて親指を立てた。


ランドーは水平面の床に設置された各エリアに違和感を感じていた…

この急拵えのCICは本来のCICのように全球スクリーンは無く、上半分360度の視界しかカバー出来ていなかった。


暫くしてSAIより声が入った…



“前方よりアトランティスのランチが接近中っ!レベルA情報っ、艦長へ送ります!”


「了解っ!ランチへ誘導ライダーを発信するっ!ランチ接続はセントラルBデッキっ、接続ベイ3番へっ!」、とアスカ。



情報を受け取ったランドーは頷くと少し腕を組んで考えた……、顔を上げバートル大尉へ命じた。


「バートル大尉っ、〈あまてらす〉の発信準備をっ!! 私は此処を離れるっ、後を頼むっ!!」



それを聞いたバートルは一瞬緊張で固まったが、ハッ、と言って敬礼で返した。内心では火器管制のマーベリット大尉が適任ではないか、…そう彼は思った。






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