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機動空母リベレーター戦記  作者: 天野 了
『機動空母リベレーター』第三部 [ カイン交渉編 ]
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『アメリカ独立新政府の設立』

統合機動打撃群艦隊にアメリカ独立新政府の設立を宣言するハワード。リードマン、カートライト、ロバートソン、ランドーらは直ちに新政府設立に対応する為、与えられた作業に入るが、SMS-01機動母艦アトランティスのFAI(艦統合AI)に艦隊戦闘時のパフォーマンス低下という問題が発生する。

『アメリカ独立新政府の設立』




「私はここにアメリカ独立新政府の設立を宣言するっ!」、とハワードは力強く言い、そして宣誓した。


「私はアメリカの国是に則り、此処から全人類へ向け『自由と平和』を実行するっ!!」



周りの者は拍手で賛同の意を示した。



リードマンは席から立つと、独立新政府設立の理由を補強した。


「設立の経緯は現アメリカ政府による現役大統領の暗殺未遂事件に有るっ!私は回収されたCVR、FDRから重大な証拠を発見している。CIA所属のΔ-9-A13のFDRにはリモート誘導のための飛行空路設定がされてあった。諸君も聞いての通り、廃棄衛星との衝突コースだっ!このコースを設定、Δ-9の航法システムに入力したのは、新しく改称された戦争省だっ、そこで私は誰がそのプログラムを入力したのか、このコードを調べて行った。最終的に行き着き、許可を出した人物は副大統領のエバンス氏だと解った。証拠は揃っているっ、最早疑いの余地はないっ!………再度、君たちに問う、新政府設立に賛同する者は挙手で示せ!」、そう言い、リードマンは正面に座っているカートライト提督とロバートソン少将、そしてランドーを見た。



ザッ、と全員がほぼ同じタイミングで挙手した。



「よしっ、賛同と見なす、………大統領、執務は何処で行いますか?艦隊の旗艦はアトランティスです。」、リードマンはハワードに尋ねた。



「いや、私は此処で、…SCV-01で執務を遂行したい。それはカインの入口に一番近いからだ。私はカインとの会談を用意しておきたい。」、とハワードは返した。


リードマンはンッ、と浅く頷くとランドーとカートライトとロバートソンへ命令した。


「ランドー艦長、君は大統領の執務環境(執務室や会議システム、自室)の用意と、カイン会談に合わせて〈あまてらす〉と調整を行ってくれ!……それとカートライト、君は直ちにロシア連合国防宇宙艦隊と協議に入るようにっ、ロバートソン、君はFAI(艦隊統合AI)システムを独立新政府に合わせるため、改修をたのむ。」



「承知しましたっ!」、全員が敬礼した後、其々に部屋を退出した。




  ………………………………




CICへ戻ったランドーはSAIに対し、大統領執務室と執務に必要なシステムを作成、部屋の端末デバイスにダウンロードするよう命じた。


「執務に必要な部屋は現在、大統領が居る部屋で政務に関するアプリケーションはこの艦隊内に適合するように設計、FAIとの整合を行うイベントドリブンを設定しておけっ、………作成が完了したら部屋の端末にダウンロードせよ! それと大統領の他、補佐官の二部屋、加えて統合機動宇宙軍のリードマン大将の部屋を用意、出来るだけ執務室に近い部屋を適用するようにっ!」、そう言うとランドーはCICを出てセントラルデッキの〈あまてらす〉へ向かった。




〈あまてらす〉の艦橋入口へ来たランドーは五十鈴宙佐を呼出した。エレベーターカプセルのエアロックが開かれランドーはコックピットへ入る。パイロットシートには五十鈴宙佐がリラックスした感じで座っていた。


「五十鈴宙佐、リラックスしているところを邪魔して悪いのだが、カインへ何時でも飛べるように準備しておいてくれ。」、ランドーがそう言うと五十鈴はエッ、またっ!?、という感じで返した。


「矢継ぎ早ですね、………今回は誰が行くのです?」、ランドーは少し考えたが、有りのままの事を話した。


「君も知っていると思うが、アメリカ大統領の乗ったエアフォースワンの墜落、………大統領は生存していて、今、この艦に居る。」、それを聞いた五十鈴は驚いた。


「大統領がっ!! という事はアメリカ政府とカインとの交渉が本格的に始まった、と言うことですか?!」


「いやっ、……地上のアメリカ政府じゃなく、この機動打撃群艦隊に設立されたアメリカの独立新政府だ。君には十分な情報が伝わっていないので、ここで端的に話すが、大統領の乗ったエアフォースワンの墜落は意図的なものだった、………政府による暗殺未遂だ。」、とランドー。


「………それでリベレーターに来て、新政府を設立した訳ですね。」


「そういう事だっ、宜しく頼む!」、とランドーは五十鈴の肩に手を置いた。



「了解しました。超次元空間移行に必要な機械的シーケンスは、TXエネルギーコンデンスで常時使えるように準備しておきます。」





      ◆





母艦アトランティスに戻ったカートライト提督は、機動宇宙打撃群艦隊が、ハワード大統領が設立した新政府に就いた事を直ちに全艦隊へ通達した。これには深宇宙遠征高速輸送艦隊4隻と日本防衛省の軌道ドック〈しきしま〉とSCV-01リベレーターの機関〈あまてらす〉が含まれた。


これと並行して、リードマン大将は地球の機動宇宙軍作戦司令部へ、現在の状況とカイン会談のデーターを送り、全指揮権をSMS-01アトランティスへ移すよう通達した。



「山元司令、統合機動宇宙軍の作戦司令支部へ先に言った事を通達してくれ。全ての国が動くか分からないが、アメリカは先んじて動いた事を各国の機動宇宙軍へ伝えねばならんっ、地上のアメリカ政府の圧力がまだ掛かっていない今が未来へのチャンスだっ!頼んだぞっ!!」


「承知しましたっ!!」、そう言って通信が閉じられた後、山元は直ちに世界各地に在る、統合機動宇宙軍作戦司令支部へデーターを送るよう、副官の宗方美姫三等宙将へ命じた。




  ……………………………




リベレーターCICでは、アトランティスFAIとリンクしたTXソナーが防衛ラインに着いていたロシア連合国防宇宙軍の艦艇が移動しているのを捉えていた。


「ランドー艦長っ、TXソナーレンジ内のロシア連合艦の移動を確認っ!これはっ、………地球帰還コースを取っていますっ!」、と火器管制のマーベリット大尉が発した。


「了解したっ、………恐らくロシア連合内では、まだ答えが出せないのだろう……、この防衛ラインは我々が守らなければならないっ、FAIの指示を待てっ!」、とランドー。


次に航法管制のアスカが発した。


「アトランティスより入電っ!……SCV-02フリーダムが修理改修を完了っ、軌道ドック〈しきしま〉より出渠っ、リベレーターは艦隊位置を変更せよっ!」


「FAIリンク、確認したっ!リベレーター、FAI自動機動、艦、移動します。」と中島少佐は報告した。



ランドーは、全球スクリーンの中央に映し出されたFAI指示画面を注視したまま、ウムッと頷いた。




  ………………………………




母艦アトランティスに居たロバートソンはシステム解析班と共にFAIシステムの変更及び更新を進めた。現在の地上アメリカ政府の命令実行フェイズ、シーケンスプログラムは、全て独立新政府に置き換えられた。この経過で幾つかの問題を見つけ出した……FAIは戦闘状況を把握し地上政府のNSIMAI( National Strategy Integrated Management AI:国家戦略統合管理AI )システムと連携し、艦隊の補給及び艦の修理を世界各地の統合機動宇宙軍工廠の作業管理AIへ指示を出していたが、この部分が完全に無くなった事で、FAIの現場での艦隊戦闘のパフォーマンスは大幅に落ちる事となった。この問題は回避し難く、ロバートソンは艦隊責任者のカートライト提督へ申し出た。



「提督、ある程度予想はしていましたが補給修理ラインが消えた事でFAIは実際の戦闘を出来るだけ回避する傾向が出ています…」、とロバートソンは言った。


「今まで通りのパフォーマンスは出せない、という事か、………補給修理の数値を誤魔かせないかっ?」


「システムが余りにも重層過ぎます、システム解析班が言うには、寧ろ艦体だけのSAIで戦闘を行う方が、単艦では従来のパフォーマンスは維持できる、と言っています。」、ロバートソンの報告を聞いたカートライトは腕組みをしてウゥーンッと唸った。



「承知したっ、FAIは休止っ。艦隊各艦へFAIによる艦隊統合機動は中止っ、各艦、SAIに依る戦闘行動を実施するように伝えてくれ。………効率的な艦隊運用が出来ないっ、これは痛いな…」






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