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機動空母リベレーター戦記  作者: 天野 了
『機動空母リベレーター戦記』第四部 [ 最後の夢編 ]
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『光の波動と虚空の戦い』

潜水艦から発射されたSLBM(Submarine-Launched Ballistic Missile)の攻撃で地上と浅深度地下の施設が破壊された日立宇宙工廠の大深度地下ドックでは、あまてらすシステムの起動が進められ、遂にあまてらすシステムは強力なBS(Break Shot:指向性破壊波動放射)を地上から放射する。

月面と月軌道上で戦っていたランドーたち。ランドーとエディが搭乗する時空機、TR-3Dは数多の敵UFOの交戦の中、エディ機は撃墜され、月面へと墜落してゆく。リベレーターはフスター少佐の指揮でクレーターを脱出、迫る敵の巨大UFOをクレーター内へ誘導し、クレーター稜線に配置していたドローンを起爆させ、巨大な敵UFOの破壊に成功する、しかし、自らも敵小型UFOのカミカゼアタックによりデッキ内に損傷を負ってしまう。





『光の波動と虚空の戦い』




「赤松司令っ、上との連絡が出来ませんっ!!通信系が遮断っ!!」、と管制員が大声で叫んだ。


「発令システムはっ!?」、と赤松。


「ダメですっ、防空システムっ、指揮管制システム共にダウンッ!」


「………これはもう、………地上と浅深度の地下施設はやられたなっ! 作業を続けろっ、〈あまてらす〉システムを何としても起動させるんだっ!! 寺坂っ、エネルギーラインの確立はまだかっ!?」、と赤松は離れた場所に居る寺坂三等宙佐に呼び掛けた。



「待って下さいっ、もう少しで最大出力の検証が終わるっ………」、寺坂の声が遠くで響いたあと、別の所で声が上がった。


「100%でライン導通っ、…ラインッ、異常なしっ!!寺坂宙佐っ、システム起動要件、クリアしましたっ!!」、その声を聞いた管制センターの全員がワアァーッと歓声を挙げた。寺坂は大声で全員に呼び掛けた。


「良くやってくれたっ、皆!…司令っ、発射可能ですっ!!」、と寺坂は歓喜の声で報告した。赤松は立ち上がり、直ちに発射を下令した。


「あまてらすシステム起動っ!! 現時空間内の全ての敵を殲滅せよっ!!」


寺坂は〈あまてらす〉の五十鈴へ伝えた。


「五十鈴宙佐っ、待たせたっ!ライン確立したっ、発射してくれっ!!」


“「了解っ!!ターゲットインターセプトッ、ロックは完了しているっ、〈せおりつ〉〈つくよみ〉〈そさのを〉とトリガー同期っ、エネルギー密度、アウトライヤーッ!………ブレイクッ、ファイアッ!!」”





五十鈴の声が管制センターに響くとドック内は閃光に包まれ、全員、目の前が真っ白になった。それは数秒間連続した。




日本を中心に巨大な光が拡散され、地球を包むとその光は更に宇宙の虚空を貫いて行った…




       ◆




SCV-01リベレーター、サブCICでは激しい戦闘が行われていた。クレーター上空から飛来する敵UFOに対し、艦舷の対空火器群は火器曳光を重ね、重粒子砲は超重力のグラビティフォトンを放ち続けた。



「TXソナーッ、敵大型UFO、こちらへ接近を感知っ!! ……足は遅いっ!!」、とマーベリット大尉は横に居るフスター少佐へ伝えた。


「距離はっ!?」、とフスター。


「約78000、…到達まで420sec!」


「………了解したっ、アスカッ、リベレーター浮上態勢取れっ!! 重粒子砲全門っ、リベレーター浮上後、クレーター上空で水平射撃っ、ターゲットは接近する敵大型UFOをインターセプトッ!!」




  ………………………………




ランドーとエディが搭乗するTR-3Dは現時空間で敵UFOと交戦していた。先のリベレーターBS発射により、高次エネルギーを粗、消失した敵は現時空間で動き回ったが、その機動はTR-3Dと互角だった。



艦載機用の小型重粒子砲は敵UFOを撃破していった。TR-3D両機は高次ドライブを駆使し、一撃離脱を繰り返した。しかし、敵はTR-3Dの出現位置を割り出し、先回りして待ち受けていた…


現時空間へ現れたエディのTR-3Dは敵UFO群の1機と激しく衝突した。


青白い電子光を破損箇所から発しながらよろめくTR-3D。


「エディ、エディーッ!!…離脱しろっ、急げっ!!」、ランドーは横に居るエディ機に必死に呼び掛けた。


その間、尚も敵UFOは二人を襲い続けた。敵の光線を繰り返し浴び続けるエディ機…、ランドーは周囲にいた敵UFOを破壊すると、戻ってエディ機の横に着いた。


「エディッ、脱出しろっ、早くっ!!」、叫ぶランドーにエディの声が途切れるように返ってくる…


「重力可変器が………スタビライザーも壊れた…………脱出システムも………レナート…兄さん……私…戦えた…かな…」


「良くやった…良くやったぞっ……エディ」、と振るえる声でランドーは言った。エディの乗ったTR-3Dはコントロールを失い、月面へ落ちて行った…


上空からエディの乗るTR-3Dが月面へ突き刺さるのを見たランドーは絶叫した。


「エディイイーッ、ウワァアアアアアアアアアアーッ!!」




その直後、漆黒の宇宙空間は白い光の波が通り過ぎて行った。





それは月面クレーターの底にいたリベレーターからも観測された。


「これはっ?!……ソナーッ、TX波動を感知っ!! 兄さんっ、フスター少佐っ!これは地上からの放射ですっ!!」、とマーベリット大尉は声を大きくして叫んだ。


「〈あまてらす〉だっ!…間に合ったのかっ!?」、フスターがそう言ったあと、マーベリットは次を発した。


「エディ機、撃墜されたっ!!…機体は月面に墜落っ!!」


後ろの動力管制のバートル大尉はシートから立ち上がった。

「生存を確認してくれっ、大尉、早くっ!!」、バートルは全身をブルブルと震わしていた。


「分からないっ、信号が無いっ!」、マーベリットは直ちにSAIへ救助用内火艇の発進を下令した。メディック数名とマーティン中佐が乗り込み、直ちにリベレーターを発艦した。


「マーティン中佐、墜落ポイントをリンクしたっ…周囲にはまだ敵が居るっ!注意しろっ!!」、とフスターは内火艇へ送った。


“「了解したっ!!」”とマーティンの声が返る…




フスターはアスカへリベレーターの浮上を下令、艦体は反動推進により一気に浮上を開始する。リベレーターがクレーターの稜線を越えた時、目前には3kmを超える円盤型の敵UFOが間近に迫って見えた。敵は光線を放たず、慣性で突っ込んで来るように見えた。周りにはまだ無数の敵UFOが居たが巨大UFOと同様に光線は放たず、替わりに一斉にリベレーターを目がけて突っ込んで来た。


(〈あまてらす〉のBS(Break Shot)で高次エネルギーを使えなくなったっ………次はカミカゼかっ!!)、とフスターは直感した。



「重粒子砲は大型UFOをっ、対空火器群は接近する小型を撃ち払えっ!!」、フスターは下令し、アスカへ左舷スラスターを全開にして同高度で艦を右にスライドさせるように指示を出した。敵の巨大UFOは既に目前だった…



重厚なTX防御フィールドを持たないリベレーターは、敵を阻むため、対空火器群は止むことなく火を吹き続けるが、既にその数はSAIの対応数を超えていた。


「敵、飽和数を超えたっ!火力前面突破っ、突っ込んで来るっ!!」、とマーベリットは悲鳴を上げた。スライドするリベレーターへ正面から縦列で敵UFOが突っ込み、最初のUFOがデッキシャッターを破壊し、次のUFOが連なってデッキ内へ衝突した。この時、デッキ中央構造部にも被害が及んだ。


スライドするリベレーターは重粒子砲を放ちながら応戦するが迫る巨大UFOはその質量と慣性により進路を変えなかった。リベレーターとの距離、約1500で巨大UFOはクレーターに蓋をする形で高度を落とした。クレーター稜線と敵の巨大UFOが接地する瞬間を狙ってフスターはクレーター稜線に配置したドローンを起爆させた。



(ランドー艦長はこの事を想定していたのか?……、このタイミングと効果は予言とも言える…)、とフスターは思った。 



「ドローン起爆っ!!」、そう言って、フスターはメインパネルに標示される陸上用小型ドローン、SGD-A1の起爆ボタンを押した。


クレーター外周の稜線にノイマン効果を発生するよう効果的に配置されたドローン10機は、搭載していた強力なHMX (オクトーゲン)を一斉に爆発させた。




“ズズズズズズズズズゥーンンン…”




爆発は生成されたガスを通じてリベレーターへ伝わる…


巨大な敵UFOは一瞬持ち上がり、稜線にぶつかると崩壊してクレーターの底へ崩れ落ちた。



     

       ◆




一方、アトランティス打撃群艦隊の戦域へ突撃したイギリス防空宇宙軍、SR-02〈バリアント〉は既に虫の息だった。それでも残った対空火器は虚しく火を吹く…


艦載機の殆どを失い、艦内部では死傷者が溢れていた…バイタルエリアにもダメージが及び、TX機関は停止寸前だった。






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