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夜に見る幻の島
月の明るい夜でした
夜道には草が息づいて
満ち足りた晩餐の名残のような
静かな時間が流れていて
遠くの空の雲からは
楽曲の調べが聴こえるかのよう
どこか違う世界に迷い込んでいくような
不思議な夜でした
限りない夜に
海みたいな空を見ていると
遠鳴りに似た風の音に
遠い昔に見た
海に霞む島影を思い出す
こころのなかに一つの島があって
浜辺には誰かの談笑が
渚に響いている
神に護られた島
虫たちも、草木も、獣も鳥も
そこではかつて人だったものたちが
護られ生かされているというのです
灯台の灯り、蝶たちの群れ
海に向かって捧げられる祈りは
届いたのでしょうか
瞼を閉ざして黙祷を捧げると
ただ海の音だけが聞こえるようでした
風の涼しい晩に
カーテンを開けて
明日の夢を描いてみれば
夜空は雲と語り明かしながら
月の照らす野に風を送って
たださらさらと草は揺れて
深い眠りに誘われて
今夜は夢も見ないで眠るのでしょう




