第2話 スキルの把握と初戦闘
「旅を始める前に自分のスキルを把握しないとな」
カグラは小屋から出ると、小屋の周りが異様に広かったのでそこで鍛錬をすることにした。
「剣術は特に特別なことはないだろうし、最後に確認しよう。まずは魔法関連のスキルからだな」
カグラは、『天眼』で雷魔法・風魔法・高速詠唱をそれぞれ確認すると、
雷魔法(Lv10):
雷に関係する全ての事象に干渉することができる。生物としての最高到達点であるLv10は、世界の理にも干渉することができる。使える魔法の数と、威力はLvに依存する。
風魔法(Lv10):
風に関係する全ての事象に干渉することができる。生物としての最高到達点であるLv10は、世界の理にも干渉することができる。使える魔法の数と、威力はLvに依存する。
詠唱破棄(Lv9):
このスキルよりもレベルの低い魔法を使うために必要な詠唱を破棄することができる。
「・・・なるほど。事象に干渉できることはまだいいが、世界の理とか絶対に碌なことにならない気がするな。基本的にLv10の魔法はなるべく使わない方針で行くか。詠唱破棄も中々のものだし、人前で魔法を使うことも控えた方が良さそうだ。さて、魔法以外のスキルはどうなんだろうか」
剣術(Lv9):
剣を用いた攻撃に補正が掛かる。補正はLvに依存する。
威圧(Lv8):
周りにいる自分よりも実力が低い存在の行動を阻害することができる。効果範囲はLvに依存する。
身体強化(Lv8):
魔力を込めることで身体能力を上昇させることができる。Lvが高いほど消費魔力か少なくなる。
気配察知(Lv8):
周りにいる存在の気配を把握することができる。把握できる対象と範囲はLvに依存する。
「スキルも大体把握できたな。さっきから感じ気配は気配察知の効果か。禍々しい気配も感じる。これは、魔物というやつなのだろうか。森の外を目指しがてらスキルの試し打ちにちょうどいいかもな」
カグラは、気配のする方向に向かった。
「見つけた」
カグラは緑色の肌、特徴的な長い耳と鼻を持ち、小汚い腰巾着をつけた四体の人型の魔物を見つけた。
「さてと、あの魔物はどんなやつなのかな」
カグラは『天眼』眼の前の魔物に発動させると、
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種族:ゴブリン・エリート
性別:オス
称号:
装備:鉄の棍棒
鉄の短剣
スキル:棒術(Lv4)
剣術(lv4)
身体強化(lv3)
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種族:ゴブリン・ジェネラル
性別:オス
称号:
装備:鉄の大剣
鉄の鎧
スキル:剣術(Lv7)
身体強化(Lv6)
軍団指揮(Lv4)
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「ゴブリン・エリートが三体、ゴブリン・ジェネラルが一体。四体とも近接特化のステータスだから、こいつらは、近接の鍛錬も兼ねて魔剣で処理しよう」
カグラは、アイテムボックスから魔剣ルクスリアを取り出し、ゴブリンに斬りかかった。
「ギャッ」
カグラに突然斬られたゴブリン・エリートは、短い悲鳴と共に絶命した。
「身体強化もしてないのにすごい斬れ味だな。斬った感触がほとんどない」
カグラは驚くほど呆気なくゴブリン・エリートが死んだので、思わず感じたことを口に出してしまった。その言葉と同時に、隠者のローブを着たカグラの姿がゴブリンたちの視界に突然現れた。
「ギャッ!ギャギャギャ」
「ギャギャ!」
「やっちまったな。いくら他人の認識に干渉できるといっても、さすがにこの距離で喋るのは無理だったか」
カグラは魔剣ルクスリアを構えながら身体強化を発動させた。
「さて、今度はこの剣の能力を試させてもらおう」
カグラは残りのゴブリンに向かって剣を横に一閃した。
「シッ」
カグラが剣を振り切ると、残りのゴブリン・エリートの胴体が上下に分かれた。ゴブリン・ジェネラルはどうにか斬撃を躱し、ダメージを大剣を持っていた腕のみに抑えたようだった。
「ギャ・・・」
「へぇ、お前は避けるのか。やっぱり、そこで死んでる奴らよりは強いようだな。だが・・・」
そうカグラが話すと同時に、ゴブリン・ジェネラルの切断された腕から徐々に石化が始まった。
「ーッ!」
「これが石化の呪いか。このくらいの魔物であれば『抵抗』はできないようだな。それがわかっただけでも良しとするか」
カグラがそう呟いている間にゴブリン・ジェネラルは完全に石化した。
「終わったか。この奥から更に強い気配を感じるな。それにこいつらと同じくらいの気配も多い。・・・もしかして、ゴブリンの集落か?そうだとしたら、もう一本の魔剣と魔法も試せそうだな」
カグラは気配のする方向に向かった。
「見つけた」
カグラは、少なくとも三桁はいるであろうゴブリンの集落を見つけ、その近くにあった巨木に登り、その集落を見ていた。
「この数に剣で突っ込むのはまずいな。ここは魔法でいくか。これだけ数がいるならLv10の魔法がどれくらいの規模かを試すのに丁度いいだろ。雷だと周りの木が燃えるかもしれないし、風でいいな」
カグラは魔法を発動するために詠唱を始めた。
「大いなる風の竜よ、汝の意思は世界の理、躍動する大気を纏い、天を舞い大地を削り、今ここにその威を示さん。ーー“畏怖されし竜の舞”」
世界の理を変える魔法が発動した。
ーーー辺境の街テルミナス
「なんだ!この膨大な魔力は!」
テルミナス冒険者ギルドのギルドマスターであるダグラスは、突然感じた膨大な魔力に驚き、思わず立ち上がり魔力を感じる方向に視線を向けた。
「この方角は禁忌の森か。急いで調査に向かわせなければならないが、ランクの高い者でなければ向かわせることができないし・・・どうしたものか」
ダグラスは、手の空いている高ランク冒険者を片っ端から集め始めた。
ーーー禁忌の森
「・・・」
カグラは、自身の魔法で消し飛んだ景色を見て言葉を失った。