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我が家

予定より三日早く退院したティナは新しい家で初めての夜を迎えていた。

ベッドに腰かけたティナの横に神が座っている。


『ちょっと・・・あんた少し近すぎるんじゃないの?』


『神が寄り添っているんだ。ありがたく思えよ』


『そうね・・・私ほど神を身近に感じている人間はいないかもしれないけど・・・私の信仰心を侮ってないかしら?』


『侮ってはいないさ。お前の信仰心を疑ったことなど無いぞ?』


『あんたさぁ・・・基本楽観主義者だよね』


『そんなことより・・・今度はどんな手で気絶するつもりなんだ?』


『ふふふ・・・ちゃんと医者から麻酔に匹敵するくらいの強い痛み止めをゲットしてきたわ。でも胃には相当な負担が掛かるらしくて出すのを渋ってたけど、そこはあんたがなんとかしてくれるんでしょ?』


『胃の修復?それも俺の仕事になるのか・・・まあお前のことは面倒見ると言ったんだ。心配するな』


『そう言ってくれると思ったわ。でさあ・・・戻る時に持っていくアイテムなんだけど、何かお勧めって無いの?』


『そうだなぁ・・・お前が国の中枢に潜り込むという作戦ならやっぱり疫病の予防アイテムだろう?お前もそれは考えているんだろうが』


『やっぱりそうだよね・・・二年後に起こる疫災よね?でも本当にあの程度の事でそんなにたくさんの死亡者が出たの?』


『ああ、現代医学では常識的な事でも当時としてはな・・・で?予防方法は入手したのか?』


『予防も何もビタミンB1欠乏症なんだから・・・食生活の改善でなんとかなるのよ?』


『現代なら簡単だろうが・・・それらを国民全てに行き渡らせるのはなかなか大変な事だぞ?』


『そうね・・・玄米パンを主流にして豚肉の摂取量を高める・・・口で言うのは簡単だけど貧しい国民にどう繁栄していくかよね・・・』


『だからこそ国政に関与できる地位が必要なわけだ』


『やっぱり発言力というか影響力が必要よね・・・』


『そうだな。国王さえも耳を傾けるほどの発言力・・・』


二人は同時に言った。


『『聖女!』』


『やっぱりお前が聖女と呼ばれるようになるしかいな』


『でも聖女って・・・あんたの番でしょ?』


『それは本当の聖女の事だ。お前は・・・そうだな・・・聖女もどき?』


『何よそれ・・・なんか悲しくなるわね』


『俺はお前が聖女ってことでもいいぞ?』


『はぁ?結婚する前から浮気?それって男としてどうなのよ』


『だって・・・番がみつかっても天寿を全うしてから来るんだし・・・たぶんそれまで相当な年数掛かるし・・・俺は寂しいし・・・』


『三百年待ったんだからほんの五十年くらい待てるでしょうに・・・私をワンポイントリリーフに使おうだなんて百万年早いのよ!』


『うん・・・わかってるさ・・・冗談だよ』


『まあともかく聖女枠狙うのが一番かもね。あの教会って貴族が良く来るんでしょ?適当ななメンツが来た時に聖力見せればなんとかなるかしら』


『聖力ってどうやるの?』


『何言ってるの!あんたが何とかするしかないでしょう?私は偽物なんだから』


『神が詐欺に加担するのか?』


『そもそも歴史が変わるの承知でしょ?今さら何言ってるのよ』


『うん・・・そうだな・・・分かったよ』


『あんたねぇ・・・自分の女房欲しさに私を利用してるんだからさぁ、もっと悪人面しなさいよ』


『お前・・・神を何だと思ってるんだ?』


『ただの女好きのロリコンオタクだと思ってるけど?』


『・・・・・・』


『冗談よ!そんなに落ち込まないでよ。罪悪感感じるわ・・・じゃあそういう事で良いわね?』


『分かった・・・頑張る』


『いい子ね』


『ちょっと聞くだけなんだけど・・・お前さぁ・・・俺の事・・・どう思ってる?』


『どうって・・・神なんでしょ?自分で言ってたじゃん』


『まあ・・・そうだけど・・・男としてっていうか・・・』


『ごめん・・・そういう風に見たこと無いわ。っていうか友達的には超好きよ。ノリが良いし、やることめちゃくちゃだけどそこも気に入ってる』


『そうか・・・まあいいよ。頑張ってくれ!俺の幸せのために!』


『はいはい。精いっぱい頑張らせていただきますよ。じゃあ明後日の朝には薬飲むから』


『分かった』


『じゃあね?おやすみなさい』


『ああ、おやすみ』


『ああ、そうだ。もし冷蔵庫の電源切り忘れてたら切ってね』


『ああ分かった』


神の姿が消え、ティナは自宅で初めての眠りについた。

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