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ステージエンドまであとわずか

十日後か・・・とティナはベッドに寝転んで考えた。

ひと月以内に王都に行くとなると、屋敷の引き渡しもぎりぎり伸ばせる範囲だろう。

食堂の譲渡契約も早く進めるべきだし、クラブへも早めに辞める話をしなくては迷惑を掛けてしまう。


「さぁ・・・どうする?」


考えていたら眠れなくなったティナはごそごそと起き出して机に向かった。


「まあ一番の問題点は屋敷を買い取ったおっさん・・・ジャルジュっていったっけ?あいつからどうやって金だけ巻き上げるかだわ・・・領収証の写しを確認しないと引き渡さないとは言ってあるけど、抜け目なさそうだったから私を手に入れない内は換金されないとかいろいろ手を打っているだろうし」


複雑な問題が多い上にやることも山積みだ。

ひとつひとつ声に出してメモを取ることにした。

紙の上に一本の線を引きひと月以内の処理案件を時系列で図にしてみた。


「ステージエンドは王都出発よね?」


引いた線の右端に大きく〇印の書く。

線を三分割にして十日後のハーベスト出立予定日に△印を記入し小さくため息を吐いた。


「はぁ~超好みなんだけどなぁ~。やっぱり戴いちゃおうかしら・・・」


そう言うと△印のすぐ横にハートマークを記入した。


「まあ一回くらいならねぇ?ふふふ・・・ちょっと楽しみ・・・」


ティナは悪い顔で微笑んだ。


食堂を譲ってもらう話を店主と女将さんにしなくてはならない。

かなり前だがティナに任せて故郷に帰りたいと言っていたから大きな問題は無いはずだ。


「えっと・・・お店を買う話を進めながら、クラブには辞める話をして・・・ジャルジュかぁ~。いっそバックレようかしら?」


義理も恩も家族愛も無い伯爵たちのためにあの不潔そうなおっさんに抱かれるのはまっぴらだとティナは考えている。


「でもそれだとビスタ達に迷惑がかかるのよねぇ~」


せっかくここまで仕えてくれたビスタとリアには絶対に幸せな暮らしを保証したい。

しかし契約が不履行になった場合、ジャルジュという男が黙っているはずは無かった。


「私が消えると絶対ビスタとリアに嫌がらせをするわね・・・」


彼らに相談したら構わないから逃げろと言うだろう。

それだけは避けたい。

でもあのおっさんには抱かれたくない。

ましてや今のティナは処女だ。

純潔を捧げるなら‥‥


「やっぱり麗しの王子様でしょう!」


そう言うとティナは先ほど書いたハートマークを撫でた。


「マダムラッテに相談してみようかな・・・うん。そうね、明日にでも早めに行って話してみよう」


少し安心できたティナは眠気を覚え、ベッドに潜り込んだ。

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