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不穏な動き

「そうか・・・ティナはそんなに手際よく仕事をこなしているのか・・・」


「ええ、常連たちの評判も上々でした。中性的だとは言われていますが女性だと確信している者はいないようです。まあ貴族令嬢の中では背が高い方ですし、スリムな体形だからでしょうね」


「おまえ・・・それはティナがぺちゃパイだと言っているのか?」


「そんな露骨に言ったつもりはありませんが・・・大きくは無いでしょう?殿下はどちらかというと肉欲的な女性が好みですものねぇ」


「肉欲的って・・・どうせ愛も無く抱くのだから触り心地を優先しているだけだろ!」


「なかなかクズな発言ですねぇ・・・まあ、らしいっちゃらしいですけど」


「お前・・・」


「話を戻しましょう。彼女は毎朝5時前には出勤して仕込みや掃除を担当しています。開店後は主にホールでの給仕をして、閉店後は洗い物を手伝って帰るという毎日ですね」


「しかしよく働くなぁ~。で、給料はどのくらいなのだろうか?」


「相場の範囲のようですよ?低くもありませんがそう良い給料というわけでも無いでしょう。日当で5シルバー位だと思います」


「そんな安いのか・・・倍払うから俺の専属にしたいな・・・」


「そんなに安くは無いですよ?まあ高級ではありませんが相場です。それに賄い飯が着きますし、店主夫婦に気に入られているので夕飯も持たせて貰っているようですし」


「なるほど金も稼げて飯もつく・・・なかなか抜け目が無いな」


「明日は夜の仕事もある日なので、そちらを探ってみます」


「ああ、頼む」


キリウスの報告に戸惑いながらもなぜか妙に納得したハーベストは、ティナの身に近々起こるかもしれない忌々しい出来事に思いを馳せた。


(あと半月あまりで最悪ティナは命を断つかもしれん。自害を思いとどまったとしても、あの可憐なティナが凌辱され娼婦になるしか無いとは・・・いっそその男・・・ジャルジュといったか・・・切り捨ててやろうか!)


ハーベストは拳を強く握った。


(いや、待て待て。それではティナが望んでいる残りの半金がダメになる。そうなると新たな問題が発生するではないか・・・ふぅぅぅ・・・それにしてもベルーシュとかいう女は悪魔だな・・・我が親戚筋だと思うと余計に腹が立つ!)


それから夕食までの間、ハーベストは自室に籠りティナをどう助ければ良いか真剣に考えた。

そんな毎日をおくりながら数日が過ぎた頃、国境を警備していた騎士から気になる情報があったとキリウスが報告に部屋に入ってきた。


「消えただと?」


「ええ、傭兵崩れと思われる数人が残っているだけで、戦闘に参加していた農民たちが姿を消しています」


「理由は?」


「おそらく農繁期を前に土地に戻ることを望んだのでしょう」


「まあ、種を蒔かないと一年を棒に振る事になるからな」


「ええ、相手が農民だと分かっているから手を出しそびれていたのですから、今なら思う存分叩きのめすことも可能かと・・・」


「傭兵崩れの連中なら手加減の必要もないか」


「そういう事です」


「残ったのは数人だと言ったな。そんなに少なかったか?」


「見かけた数人は見張りだと思われます。少なくともあと20や30は居たはずですから」


「そいつらの行方は掴めんのか」


「今探らせているところです」


「・・・‥‥もしかしたら移動するつもりかもしれないな。奴らが移動前に起こす行動といえば・・・略奪か!」


「今夜から市中の警戒態勢を強化しましょう」


「そうだな、動くなら早い時期だろう」


キリウスは小さくお辞儀をして部屋を出た。

すぐさま各班の責任者が集められ警戒態勢が組まれた。

ハーベストはティナに事情を話して仕事を休ませるべきか迷っていた。

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