神は意外とノリが軽い
初投稿ですのでいろいろとご指導いただけるとありがたいです。
本作品はpixiv及びアルファポリスでも投稿しています。
「お疲れ様だったねティナ。今日も素敵だったよ」
「ありがとうジョー。明日もよろしくね」
「ああ、気を付けて帰るんだよ」
店のドアを開けて外に出たティナは小雨が降っていることに気付いたが、傘を取りに戻るほどでもないと思い駅まで急いだ。
深夜とはいえ繁華街は明るいし人通りも多い。
終電の間に合うよう急ぎ足で交差点を渡っていたティナに車が突っ込んできた。
運動神経には自信があると豪語していたティナだったが、自分に向かってくるヘッドライトに足がすくみ動けない。
ティナの体が宙を舞うと同時に車がガードレールにぶつかる大きな音がした。
少しの静寂の後、悲鳴が上がり数人がティナに向かって救助の手を差し伸べた。
「ティナ・・・ティナ・・・起きろよ。今は痛くないだろう?」
何かくぐもったような子どもの声が聞こえる。
確か事故にあったはずだが痛みは少しも無い。
「えっ!ここどこ?えっっっ!あれって私の体?ってことは・・・ワタシ死んだ?」
枕元と足元に置かれた医療機器から大量の管がティナの体に繋がれている。
それを天上から見下ろす自分にティナは混乱しパニック状態になった。
「ええええええっっっ!!!!どういうこと!!!」
「おい!ティナ!ティナ!落ち着け!おいコラ!話を聞け!」
先ほどから聞こえている声が少し焦ったように話しかける。
「落ち着けって・・・誰よあんた!わたし死んだのよ?落ち着けるわけないじゃん!これで落ち着いてたら神だわ」
「そうだ。私が神だ。だから少し落ち着いてくれ」
「はぁぁぁ?バカ言ってなじゃいわよ!神なら早く戻しなさいよ!まだ死にたくないんだから!」
「いや・・・今戻ると死ぬほど痛いぞ?」
「えっ?そうなの?それは・・・嫌かも・・・」
「だから治ってから戻ればいいじゃん!だろ?そうすれば痛く無いし。加害者は相当な金持ちを選んだから治療費も心配要らないぞ?絶対その方がお得だと思うけど・・・」
「治療費要らないの?まあわたしは一方的な被害者だから・・・ってあんた誰?」
「だから神だって言ってんじゃん!人の話聞けよ!」
「はぁぁ?死神ってこと?ってことはやっぱり死ぬのねわたし」
「いやいや違うから。死神って神じゃないから。俺は王道、奴は邪道。ほら魚でも鯛の仲間じゃないのに名前に鯛ってついてるやつ多いじゃん?あれと一緒だから」
「はぁなるほど・・・わかりやすいわ」
「理解できたか?では今からお前に使命を与える。神直々の指示であるから光栄に思え」
「いや。断る」
「じゃああの体に戻って『神様いっそ殺してください・・・楽にしてください』って願うほどの痛みを経験するか?」
「それも嫌だ。断固として拒否する」
「じゃあ使命を果たすしか道は無いんだよ!マジで戻すぞ?あの体に。骨折5か所に脳にも損傷を負って内臓も傷んでいる状態だぞ?」
「そんなに酷いの?じゃあなんで生きてるのよ」
「だから俺が生かしてるから!体があった方が後々便利だろ?いい加減諦めろ!」
「・・・‥まあ、話だけ聞こうか?」
「よし!やっとその気になったか。いいか?お前は今から過去に転生する」
「転生?」
神はティナにゆっくりと噛んで含めるように説明を始めた。