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月光の狐  作者: 葉暮銀


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房中術

神界から自宅に戻ってきた。

ナラクさんがシロちゃんと俺に説明する。


「良いか。シロのお母さんのサトミは神格管理局の地下二階におる。野狐の里で捕獲したシオリを結界に閉じ込めておくためじゃ。現在、シオリは尻尾が六本にまで増えておる。妖力が増えると尻尾を分裂させていくのじゃ」


俺が口を挟む。


「なんで極秘任務になっていて、シロちゃんのお母さんがその結界を維持する任務をしているのですか?」


「尻尾が六本の妖狐が神格管理局の地下にいるんじゃぞ。地狐程度の神力だと怯えてしまってパニックになる可能性がある。だから気狐以上の神力を持ったものじゃないと知らせる事ができんのじゃ。サトミが結界の維持をしているのは金狐で神力が優れているのと、シロがいたせいじゃ」


シロちゃんがポカンとしている。


「神格管理局からこの依頼を受けないとシロに不利益を与えると言ってな。まぁ簡単にいえば脅しじゃ」


シロちゃんが泣きそうな顔になる。

俺はシロちゃんの頭を撫でる。

ナラクさんは話を続ける。


「だからシロは神格管理局に屈しない強さが必要になるんじゃ。今は気狐になったが、シロはまだまだ神力が上がるのじゃ。ここまでの話で、二人共やらなければならない事は分かるな。今夜は妾は外に行って警戒しておくから気を使わずに存分にやるのじゃ」


そう言ってナラクさんはふらふら外に出ていった。

顔を赤くしているシロちゃん。

今の時間は午後六時。

俺はシロちゃんを誘って外に食事に行くことにした。

以前二人で行った洋食レストランだ。

今回も個室してもらう。

シロちゃんは食事をしていても上の空だ。

シロちゃんに昔の話をする事にした。


「シロちゃんはいつも同じところで日光浴をしていたよね。あそこはお気に入りの場所なの?」


「あそこはお庭の中で一番日当たりが良いの。日の暖かさがお母さんに似ていたから」


「それなら早くお母さんと一緒に過ごせるようにしないとね。俺はよくシロちゃんの尻尾を引っ張ってシロちゃんのお母さんに怒られていたからなぁ」


「あれは本当に痛いのよ。耳もいじくり回すし」


「そんな事ばかりしてたか。まぁ子供の時だから許してね」


少しはシロちゃんの緊張も取れたかな?

デザートを食べるシロちゃんは目が輝いていた。

レストランを出て帰宅する。

家に入るとシロちゃんは無口になる。

やっぱり無理かな。


「シロちゃん、無理する必要は無いよ。そんな顔してちゃ俺が悲しくなるからさ。いつものように笑顔を見せてくれないかな?」


「そうじゃないの。無理じゃないの。今はもう確信している。私はナギが好きなの。いつでも私の為に頑張ってくれている。私の事を第一に考えてくれる。私はナギの陽だまりのような笑顔が大好きなの。ただ初めてだから緊張しちゃって。ナギにガッカリされるかもって考えちゃって」


俺は胸が締め付けられた。

狂おしいくらいに愛おしい。

無言のまま、シロちゃんの唇に自分の唇を合わす。

両手でシロちゃんの頭を撫で回す。

絡み合う舌が興奮を高めていく。


ただ単純に肌を合わすのでは房中術にならない。

興奮した気持ちを落ち着かせるように風呂に入り身体を清める。

シロちゃんの部屋に布団がしいてある。


神界にわたる時と同じように俺は布団の上に仰向けになり目を閉じた。

衣擦れの音がする。

俺の鼓動が高まっていく。

身体に重さがかかる。

柔らかい感触が伝わってくる。


「ナギ、もっとリラックスして。私も緊張してるから難しいかな?」


耳元でシロちゃんの甘い声がする。

神聖な匂いがしてくる。

身体が浮いていく感覚に包まれていく。

とても気持ちが良い。


いつもはここで唇に柔らかい感触がするが、今日は俺の下腹部に刺激がきた。

俺の下腹部がビクビクする。

そのまま柔らかいものに包まれていた。


房中術、男女の気を交えて体内の陰陽の気の調和を図る術である。男女(陰陽)の精が一つになって万物が生まれ出る、万物の生成論である。

やりようによっては神力を上げることにつながる。


長い時間が過ぎた。

もう深夜だ。

体力はまだまだある。


その時シロちゃんの身体に異変が起きた。

銀色に光りだすシロちゃん。

外から入る月明かりに照らされて、まるで月の女神だ。

あまりの神々しい姿に、猛りまくっていた俺の物も大人しくなる。


俺は自然と涙を流していた。

シロちゃんは俺の涙を舌ですくってくれた。

おれの気持ちは落ち着いていた。

ゆっくりと抱きしめ合い、俺たち二人は朝まで肌を重ね合った。

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