カナデの怒り
洞妖窟を出ると直人の震えが収まっている。
カナデを任せる事にした。
カナデを起こしたほうが良いのかな?
「シロちゃん、カナデはどうする?」
「ちょっと待ってね。リュックから巻き物取ってくれる」
リュックの底のほうに巻き物が入っていた。
それをシロちゃんに渡す。
シロちゃんは右手に水の入ったペットボトルと左手に巻き物を持っている。
「準備完了!ではカナデを起こすわよ」
シロちゃんはカナデに近づきペットボトルの水をカナデの顔にぶちまけた。
咳き込んで飛び起きるカナデ。
状況の判断がまだできていないようだ。
目の焦点が合ってきたカナデ。
シロちゃんと俺を確認できたようだ。
「なんで貴女たちがいるのよ!水をかけたのはシロ!貴女ね!」
シロちゃんは無言で巻き物を開き、カナデの顔の前に広げる。
「カナデ、まずはこれを確認しなさい。貴女は現在、私の部下になります。上司である私が部下である貴女に命令します。明朝までここで待機。その後、速やかに帰宅。それから神格管理局に出頭するように。理解しましたか?」
頭がまだ回っていないカナデに命令を出すシロちゃん。
少し経って落ち着いたカナデが反論する。
「何を寝言を言ってるの!この劣等生が!なんで私があなたの部下になるのよ!そんなわけないでしょ!」
「寝言を言っているのはカナデ、あなたのほうです。この辞令をしっかり見なさい。あなたのお母さんである局長代理のサクラさんの署名が入っています」
巻き物の辞令をシロちゃんから奪い取り、辞令の内容を凝視するカナデ。
巻き物を持つ手が怒りのためか震えている。
「わかりましたか。現在、私はあなたの上司です。命令に従ってもらいます。命令違反は神格管理局の登録抹消になりますので注意してください。命令内容は覚えていますか?命令が理解できていない場合はもう一度だけ説明します」
カナデはシロちゃんを殺すような目で睨む。
シロちゃんは静かに言葉を続ける。
「返事が無いようですので、理解したと判断します。今後はしっかりと返事をするように。それでは私の命令通りにやりなさい。返事は!」
震えながら下を見るカナデ。
絞り出すように声を出す。
「了解しました……。」
「分かれば結構です。私から他に言う事はありません。局長代理のサクラさんと、その眷属の秀一さんから叱責されてください。以上です」
シロちゃんはカナデに背を向けて離れていく。
俺もそれについていく。
「なんか損な役回りだな」
「しょうがないわよ。あんな山蜘蛛の怪僧に勝てる眷属は貴方くらいなんだから」
「助けに来て恨まれちゃ意味ないじゃん」
「サクラさんのカナデを想う気持ちに応えたかったの。ナギ、ごめんね」
「また謝っているね。そこはありがとうでしょ」
「そうだったわね。ありがとう、ナギ」
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