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月光の狐  作者: 葉暮銀


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33/57

シロ視点(心の中でありがとう)

車に戻ってからナギは一言も口を開かない。心臓のドキドキの音が頭に響く。


急に車が止まった。

ナギが私を見つめている。

私もナギを見つめ返した。

ナギが唐突に話し出す。


「シロちゃん、俺はシロちゃんが好きだ。俺の初恋の女性はシロちゃんなんだ。今でもシロちゃんを魅力的に感じている。だからこそこんな形は嫌なんだ。房中術を試すためだけにシロちゃんは抱けないよ。なんて言えば良いのかな。シロちゃんが純粋な心で俺に抱かれたいと思ってくれるまではそんな事はできないよ」


ナギが私の事を好き!?私がナギの初恋の人!?今でも魅力的!?

その言葉を聞いて頭がポーっとなる。


でもその後の言葉を反芻して頭が冷静になる。

房中術のために性的な関係を求めた私。

なんてナギに対して失礼な事をしてしまったのだろう。


私はナギの事をどう思っているんだろ?

陽だまりのような笑顔を見せてくれる男性。

不甲斐ない私をいつもフォローしてくれる人。

狐姿で一緒に寝ていると安心できる人。

ナギといると嬉しい気持ちに包まれる。


この気持ちは恋なのかな?

私が子供だからわからないのかな?

分かっている事はナギは掛け替えの無い人って事だ。

私の気持ちは私自身が良く分かってないや。

ナギに謝らなければ…。


「ごめんなさい。ナギの言う通りね。私はナギを好ましく思っている。だけどこの気持ちが恋なのかはまだ分かっていないと思う。房中術を試すためにそのような行為はおかしいわね。先程の私の言葉は忘れてくれると嬉しいかな」


「了解だ、シロちゃん。結構痩せ我慢しているんだけどね。それにしてもどうしたの?シロちゃんらしくなかったけど?」


ここは正直に言うべきなんだろうな。


「ナラクさんに自分の眷属は身も心も繋ぎ止めて置くように言われてきたの。そうしないとナギがまた他の妖狐の房中術に引っかかるって」


「俺のせいでシロちゃんを心配にさせてしまっていたんだね。俺は確かに前に付き合っていた女性に房中術をかけられた経験があるみたいだ。でも安心して欲しい。俺には揺るぎない想いがある事を理解したから。シロちゃん以外の房中術にはもうかからないよ」


ナギは優しい笑みをしてくれる。

その笑みは気が張っていた私の心を癒やしてくれた。


「シロちゃん、慌てる事はないよ。俺たちの関係は、俺たちのペースでゆっくりやっていこう」


走り出した車の中で私はナギに心の中でありがとうと言った。

キリが良いところだったため、文字数が少なめです。

ご了承の程よろしくお願いします。

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