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月光の狐  作者: 葉暮銀


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シロの視点(空狐のナラクさん)

一週間の地狐(ちこ)の研修が終わった。

やっとナギに会える。

喜んでナギの家に戻ってきた。

家の中には誰もいない。


道場に向かうとそこには顔を腫らしたナギが現れる。

誰がこんな酷い事を!

慌てて回復術をかけるが全く治らない。

焦る私に悠然と声をかける女性が現れる。


「まぁ焦るでないわ」


そう言ったかと思うとナギに回復術をかける。あっという間に治るナギ。

なんだこの神力は!?


女性は巫女装束を着崩し、両肩を出している。

胸の谷間が丸見えだ。煽情(せんじょう)的過ぎる。

白い肌が軽く透き通っている。


「こちらが空狐のナラク師匠。おれの鍛錬をしてくれてるんだ」


空狐!?伝説の存在。この女性が…。

それでも怒りは湧く。


「これはいくらなんでもやり過ぎです!」


「シロちゃん、大丈夫だよ。この程度は慣れてきたからね」


「そういう問題じゃないんです!自分の眷属をここまでボロボロにされて怒らない主人はいません!」


私の怒声をナラクさんは痛痒にも感じないようである。

ナラクさんは親友に話しかけるような気安さで言葉をかけてくる。


「お主はナギを取られるのが嫌なんじゃろ。若いのぉ。安心するのじゃ。妾はナギを取る気は無いからな」


頭に血がのぼった。気がつくとまた怒声をあげていた。


「そんな事は言ってないです!ナギの身体が心配なんです!」


ナギが言葉を挟む。


「シロちゃん、俺の身体を心配してくれてありがとうね。でもナラクさんの指導はとても為になるんだ。安全にも気をつかってもらっているから大丈夫だよ」


空狐(くうこ)のナラクさんの味方をするナギに少しイライラする。

横で笑うナラクさんの笑い声が(かん)(さわ)る。

ナギがこの空気を宥めるように話し出す。


「それよりシロちゃん、狐耳と尻尾が隠せるようになっているね。研修頑張ってきたんだね。お疲れ様」


やっと私は狐耳と尻尾が隠せるようになった。

ナギはその事にすぐに気づいてくれた。

嬉しくなっていると、唐突にナラクさんが声をあげる。


「おぉ、そうじゃ。せっかくだから二人でデートしてくるのじゃ。シロも狐耳と尻尾を隠す訓練になるしな」


「で、デート!?」


思いもしない単語に動揺してしまう。

そのため狐耳と尻尾が出てきてしまった。


「ほら、この程度の動揺で変化の術が解けるのはまずいじゃろ。ナギもデートして助けてやらんとな。ナギはデート中にシロが動揺する事をするんじゃ。わかったな」


ナラクさんは私の手を引いてナギから離れる。

囁くような声で私に言葉をかける。


「シロよ。地狐(ちこ)の研修で房中術のやり方を教わったんじゃろ。早速使う時が来たぞ。今は解けているが、ナギは以前の女性に房中術をかけられておった。お前がしっかりと眷属を自分のものにしておくのじゃ。その為の房中術じゃぞ」


ナラクさんの言葉を聞いて頬が熱くなるのを感じた。

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