ナラクさんの鍛錬
俺がシロちゃんの眷属になってから、狐神界では周囲がうるさかった。
今回、シロちゃんが地狐になる事になったら、今まで以上にうるさくなった。
俺も馬鹿ではない。
力徳流刀技は神界において破格の威力を発揮する。
現実の世界では全く役に立たないが、神界では有無を言わせない力を俺は得てしまっている。
自分の立ち位置や振る舞いを地に足をつけたものにしていかないと痛い目にあいそうだ。
ナラクさんは家の道場に結界を張り、神界と同じような環境にする事ができる。
刀に気を流すと光り輝く。
力徳流刀技光刃斬を使う事もできる。
しかしナラクさんには当たらない。
もともとナラクさんは攻撃は効かない空狐ではあるが、鍛錬中は実体化してくれている。
鍛錬の成果で光刃斬の呼吸法は三分間持つようになった。
目覚ましい進化ではある。
相変わらずボコボコにされるが…。
今、俺の前には直径が1mほどの丸い黒い物体がある。
ナラクさんが作った金剛石である。
金剛石というとダイヤモンドと思うかもしれないが、それとは違う。
確かにダイヤモンドは硬い物質ではあるが外部からの衝撃には強くなく、鉄の金槌で簡単に砕く事ができる。
ダイヤモンドは靭性が水晶並みだ。
某漫画でダイヤモンドは砕けないと言っているがそれは間違いである。
目の前の金剛石は昔から言われている意味の金剛石だ。
もともと金剛は仏教用語だ。
金属の中で最もかたいもの、きわめて強固で破れないもの、という意味を持つ言葉である。
金剛力士像をダイヤモンド力士像とは誰も言わない。
何を長々言っているかと言うと、ナラクさんが用意した黒い金剛石を刀で切るのを課題に出されているからだ。
何の物質でできているか全く分からん。
ただ硬い。
傷一つ付かない。
ナラクさんの用意した神刀を使っているが、神刀のほうが先にダメになる。
力徳流刀技では、切れる、切れないとは考えない。
ただ一心に斬る。
その一心になるのが難しい。
どうしてもこれは切れないものと認識してしまう。
ナラクさん曰く、それが自分で限界を決めてしまっていると言う事だそうだ。
今日も黒い金剛石を相手に刀を振るっている。
特殊な呼吸法の集中力がもたない。
数分で気力が萎えてしまう。
神水で喉を潤す。
まだまだこの金剛石を斬るのは修行が必要みたいだ。
三千年を優に超えて生きているナラクさんが、もし街中で暴れ出すと天災に匹敵するものらしい。
核爆弾のような妖狐と一緒にいると思うと少し怖くはなる。
これからは師匠って呼ぼうかなぁ。
鍛錬の合間にナラクさんと気楽な会話をするようにはなっている。
ナラクさんは狐神界の政治には関わらず不干渉が原則みたいだが、情報に疎いわけではない。
神格管理局のトップである局長は天狐のユメジさん。
狐神界だけでなく神界の中央にも仕事があるようで、あまり狐神界にはいないそうだ。
ただ天狐は千里眼が使えるため、そんなに問題はないみたい。
その代理が仙狐のサクラさん。
シロちゃんのお母さんの金狐のサトミさんとは幼馴染だったようだ。
サクラさんが実質の狐神界の神格管理局の責任者みたいなものだそうだ。
サトミさんは神格管理局の相談役みたいなものをやっていたそうだ。
一度ナラクさんにサトミさんの行方を聞いてみたが教えてくれなかった。
神格管理局局長のユメジさんに止められているそうだ。
俺の研修期間はいつまでなのか確認したら、ナラクさんが飽きるまでとの事。
どうやら俺はナラクさんの暇つぶしみたい。
そんな日々を過ごしていたら、地狐の研修を終えたシロちゃんが帰ってきた。
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