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月光の狐  作者: 葉暮銀


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シロの視点(神界への道は恥ずかしい)

富士の樹海からナギの家に帰る途中でスーパーに寄ってお肉をたくさん買う。

ナギはビールも買っていた。

焼肉は大好きだ。

家に着くまでワクワクしてしまう。


やっとナギの家に着いた。

日本家屋の落ち着く家。

お風呂に入り、早速焼肉を食べ始める。

焼肉を食べているとナギに質問された。


「シロちゃんが地狐(ちこ)に神格が上がればできる事も増えるんでしょ?」


「そうね、物質界で人型になる時、狐耳と尻尾が隠せるようになると思う」


言葉にしてから気がついた。

人型で狐耳と尻尾が隠せれば、もう犬のキャリーバッグに入らなくて済む。

普通に街中を歩けるじゃないか。

そうしたらナギとも出歩く事もできるようになる。

街中をナギと一緒に歩く自分を想像して顔がほてってくる。

ナギは私のことをどう思っているんだろ?

ナギは上機嫌にビールを飲み続けている。

こんなナギを見るのは初めてだ。

楽しそうだから良いか。


ナギがトイレに行こうとすると足がフラついている。

これが千鳥足ってものなのかな?

肩を貸してナギをトイレに行かせる。

そのままナギの部屋のベッドまで連れていく。

食事の後片付けをして狐姿になる。

そのまま陽だまりの笑顔のナギのベッドに潜り込んだ。

最近はナギと一緒に寝ると気持ち良く眠れる。


起床するとナギは既にベッドにいなかった。

朝の鍛錬をしているのだろう。

私はナギのスマホを操作して、肉じゃがとほうれん草のおひたしの作り方を調べる。

料理に最近ハマっている。

料理をしている時は集中できる。

その時はお母さんの事で不安にならないからだ。


お味噌汁を作って食卓に朝食を並べていく。

ちょうどナギが戻ってきた。

2人で食べる朝食。

会話が無くとも寂しくない。

朝食の味は自分でもなかなか上手くいったと思う。

今日は神界の神格管理局に行って霊片を納品する予定だ。

果たして地狐(ちこ)になれるかな。


ナギが身体を清めにお風呂に入りにいった。

私は自分の部屋に布団を敷き始める。

シーツは洗い立てのものにしなければならない。

朝の日差しがシーツの白を際立たせている。

いつもは夜の暗闇の中で行っていたがこんなに明るいのは初めてだ。

ナギを神界に連れて行く儀式を考えて顔が熱くなった。

冷静にならないと…。


白い作務衣姿のナギが部屋に入ってきた。

心臓がドキドキしている。

ナギはすぐに敷かれた布団に仰向けに寝て目を閉じる。

私は着ている服を一枚ずつ脱いでいく。

いつもやっている事だが明るいせいか、とても恥ずかしい。


ナギの身体の上に身体を預ける。

私の身体から神力が出てくる。

この神力でナギを包まないといけない。

神力が伝わりやすくする為に服を脱ぐ必要がある。


丁寧にナギの身体を触っていく。

心臓がドキドキする。頭にまで心臓のドキドキが聞こえてくる。

その時ナギの身体の一部が硬くなっている事に気が付いた。

カァーっと頭が熱くなる。

一瞬、儀式を止めてしまった。


慌てて儀式を再開する。

私が動揺していたせいか、いつもより時間がかかっている。

ナギを神力で包むことができた。

あとは引き金を引くだけ。

恥ずかしいがナギの唇に自分の唇を合わせた。


無事にナギを神界に連れて来ることができて良かった。

ナギはまだ意識が戻ってない。

急いで巫女装束を着る。


社の中は神袋から送られてきた霊片がところ狭しと転がっていた。

社の一角に霊片を集めた終わったところでナギが意識を取り戻した。

ダメだ。恥ずかしくてナギの顔が見れない。

ナギの顔を見ないまま自然を装って口を開く。


「用意ができたら神格管理局に行きましょう」


「あぁ、すぐ用意するよ」


ナギの声を聞くだけで恥ずかくなってくる。

ナギの用意ができるまで私の心臓はドキドキしていた。

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