地雷と来世に逝くまで
この話は真実であり、登場人物など一切の事実と異なりません。イサは産王の四年で地雷系、秋葉のコンカフェで働き、28歳年上と一年半の同棲を経て、交際一年半記念日である明日八月十一日に結婚する。いつもと変わらない真夏の暑い日中は、毎日夕方までベッドで寝て過ごす。蝉がやかましくても気にすることなく白目を剥いて爆睡しているかと思えば、時々客からのツイートに眼をやり、寝ては起きを繰り返し、ギリギリまで寝るのが日課。そこからいきなりガンガンに音楽をかけて三十分で一気に化粧とコテで地雷系に仕上げて出るのだから大したものだ。テーマ曲は大統領になったらとか量産型女子、今日も世界の平和を守るよBabyとか。トレードマークはぱっつん前髪と両サイドのアンテナ、そしてどこまでも真っ直ぐに伸びる黒髪にかろうじて残ったピンクのエクステが混ざる。服装はドンペンTシャツにジャージ。もちろん黒い付け爪も自慢だが、エクステ同様すぐ取れるし出費もかさむのが玉に傷だ。今月も給料日前になると夜勤とか言って来なくなるせーじなどの推しが来ない間どうやって食い繋ごうか。隣で寝てるオジも甘やかさないからと言ってあんまりくれないから大変だ。学校まで起きれないからと言って尾山台に住んでいるが、毎日汗だくで九品仏まで歩き、そこから大井町経由で秋葉の店まで結構遠い。コロナでオンラインでなくても、元々行く気がない学校のために何でここに住んだのだろうか?そもそも親の本籍が尾山台だと最近気づいたが、生まれ育った世田谷を夜逃げ同然で離れ菊名に住んでから新横のキャバでこのオジと出会い、また世田谷に戻ってきた。当初は九品仏のクソボロいアパートに居たが、犬がいることがバレて尾山台に移ってきて直ぐに犬が死んだ。ミニチュアダックスは胴が長く椎間板ヘルニアから脊椎軟化症であっという間に死んでしまった。5月の連休に引っ越して直ぐ発症して下半身が動けなくなり、それから一週間の命だった。享年四歳童貞。三月五日に誕生ケーキを食わせたばかりだった。あんなに賑やかだった家が急にしんとなり、淋しくなったので、この海の日の連休に大江戸温泉で金魚をすくってきた。赤と黒一匹ずつだが赤は直ぐ死に、オジが水槽キットと共に紅い金魚を一匹買い、再び紅と黒の二匹になった。黒は出目金ぽい。秋葉のコンカフェはコロナでも営業を続けている。自由が丘も外人のバーがオリンピックを中継しながら真夜中までやっていて酒も飲めるので外人がサッカーを見ながら盛り上がっている。