09-炎を纏う刀身
舞風:「………」
ある日、
古風な店の前で
何かを物欲しそうに見る
舞風さんを見かけた。
僕にはその時、それが
何だったのかを
知る由はなかった。
‖
‖
《炎を纏う刀身》
‖
‖
年中無休で
女の子を付け狙ってた
舞風さんが突如、
学校を休んだ。
しかも何日も。
未頼:
「何か心配だね〜」
在夢:
「まああんな性格でも
いなくなると
寂しいものだよねぇ」
自然と舞風さん
消失事件の話題が出る。
ヴェル:
「言っては悪いかも
しれないのですが、
私は少し
安心しました‥」
まあ一番の標的に
されてたのが
ヴェルだったからね。
ヴェル:
「しばらくは安心して
玄関のドアを開けて
登校できますっ」
理人:
「あれ?
でもカメラって
内側に
ついてるんでしょ?
確かに舞風さん
本人からの襲撃は
避けられるけど‥」
ヴェル:
「それなら
問題ありませんっ!
プロの方と
要さんの心眼で全部
外してもらえました!!」
理人:
「…聞くのが
怖い気もするけど、
何個あったの?」
…ヴェルの顔に
表情の変化が見られない
それどころか
なんか言いづらそうだ。
ヴェル:
「えーとですね……
カメラは……27個‥」
うわぁ‥
ついにそのレベルにまで
達したか‥‥
要:
「しかし
あれは酷かったな」
そこに当事者の要登場。
要:
「俺参上ぉぉーーっ!!」
理人:
「いや、
地の文を
アレンジして
繰り返さなくても
いいからさ」
要:
「細かいことは
気にするな。
…あの腐女め、
冷蔵庫の
卵の殻の中にまで
潜ませていたからな」
理人:
「卵の殻の中って?」
ヴェル:
「絵にするとこう‥‥」
ヴェルが机の上に
その絵を書いてくれた。
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要:
「舞風に聞いたら、
ものの数秒で
やってのけたと
言っていたな、確か」
ヴェル:
「あの時は何も
言葉が出ませんでした」
直弥:
「……っと、
何の話してんだ?」
そこにさらに
偶然(故意)直弥登場。
直弥:
「俺参じょ……
いや、
なんかやめとこ」
理人:
「要が
もう使ったからね」
直弥:
「セーフ!!
…で、何の話だ?」
改めて聞き直す。
理人:
「直弥は舞風さんから
何か聞いてない?」
直弥:
「舞風?
ああ、あいつなら
しばらくは
帰ってこねえよ」
どうやら直弥は何か
知っているようだ。
直弥:
「なんだ、お前らは
聞いてないのか?
あいつ、
本物の刀欲しいからって
山奥にいる知人んとこで
鍛治修行
するみたいだぜ」
理人:「鍛治修行!?」
そうか、
あの時見ていたものは
真剣だったのか。
在夢:
「姉貴すげえーー」
直弥:
「行きたいなら
連れてってやるぞ」
要:
「どうやってだ?
まさか、直弥が車でも
運転するとでも
言うのか?」
要は正直ふざけ半分で
言ったに違いない。
その顔は笑っていた、
直弥の言葉を聞くまで‥
直弥:
「当たり前だろ。
俺が運転するんだよ」
ヴェル:
「え……ええ!!
だ、だってまだ
高校生ですよ!?」
在夢:
「そうですよ兄貴!
冗談がきついなぁ‥」
理人:
「直弥、嘘だよね?」
認めたくなかった。
なんか…なんでだろう?
直弥:「…ああ、嘘さ」
それを聞くと
安心したように、
要:
「だ、だろうな。
俺たちはまだ
未成年者の
はずだからな」
直弥:
「…って言った
俺の言葉が嘘だ」
おもむろに直弥は
手を懐に突っ込むと、
財布の中から
免許証を取り出した。
在夢:
「かっくいぃ!!」
ヴェル:
「凄いです直弥さん!」
理人:
「いや、軽く法に
触れかけたからね」
多分法なんかには
一切触れてないだろう。
でもこういうツッコミを
入れておかないと、
自分の中でまだ
認められなかった。
直弥:
「で、行くのか、
行かないのか?」
在夢:
「もちろん…GO!!」
Ι
Ι
車乗車メンバー
【直弥・炎・理人・
要・雅紀・未頼・
ヴェル・(在夢)】
在夢:
「兄貴…
なんすかこれ?」
直弥:
「何って、
乗車メンバー
早見表だろ」
在夢:
「(在夢)って
なんですかぁぁー!」
直弥:
「お前独りだと確実に
お前は騒ぎを起こす。
だから()にした。
連れてはいくけど
後々ややこしいからな」
雅紀:
「おい、向こうに
美味いもんてあ‥っ!!」
炎の跳び膝蹴り炸裂。
雅紀:
「……で、美味いも‥」
炎:「懲りろっ!」
顔面に跳び膝蹴り炸裂。
そしてついに雅紀ダウン
直弥:
「でもこんな
総出で行っても
邪魔なだけだからな。
チームに分けるぞ。
炎は理人とだ。
あとは未頼、在夢、要。
ヴェル、雅紀、
俺でいく」
と、即座に直弥を除く
全員が直弥とヴェルに
目を移していく。
何度も何度も。
そう何度も何度‥
直弥:
「ここでもかあぁぁ!!」
ヴェル:
「直弥さん、
チーム決めは
ちゃんと公正に‥」
直弥:
「したぜ!?
したはずだった!」
炎:
「お前は今日から
《生まれてきて
ごめんなさい》だ」
直弥:「………」
あ、落ち込んだ。
この人野原で
三角座りしてるよ、
下見ながら。
要:
「ったく。
昔から炎にだけは
弱いな直弥。
とにかく炎と理人は
先に行ってくれ。
道はちゃんと
箒で掃かれてるから
それに沿ってだ」
理人:
「わかった。
行こう、炎」
炎:
「ん?
……あ、ああ、行こう」






