03-毅然なる刺客
雅紀:「……」
理人:「……」
雅紀が僕たちの部屋の
机(要手作り)に
ずっと突っ伏していた。
それだけならただ単に、
‖
(雅紀も疲れて
眠っちゃったん
だろうな〜)
‖
なんていう
想像ができるが、
雅紀は…
雅紀:「………はぁ」
なんて具合に、溜め息を
ついていた。
あの雅紀が!
言っちゃ悪いけど
単細胞馬鹿一直線の
あの雅紀が!!
…悩みなんて
あるのだろうか‥
‖
‖
《毅然なる刺客》
‖
‖
雅紀、要。
そしてついにきた。
……直弥だ。
子供の頃から僕たちを
支えてくれた。
僕たちと楽しく遊んだ。
そして、
僕たちを守ってくれた‥
雅紀、要、炎と一緒に
直弥とまた昔みたいに
遊びたい。
たったそれだけなんだ。
Ι
Ι
直弥:
「……で、
ついにここまで
辿り着いたわけだ」
直弥。僕は本気だよ。
直弥を元通りに
するためなら、
僕は命だって投げ出す
覚悟だよ。
直弥:
「…ったく。
お前らも理人と
同じ意見みたいだな」
どうやら雅紀たちも
直弥に視線を送っている
みたいだ。
直弥:
「理人、お前は
何がしたくてここまで
必死になる」
理人:
「みんなと…
また、笑うためだよ」
直弥:「雅紀は、要は?」
雅紀:
「理人が言ったことと
一言一句、違いねえぜ」
要:「同文だ」
2人の熱い想いを
聞いても動じず、
しばらく無言になる。
直弥:「……炎」
直弥はどんな答えを
待ち望んでいるのか。
僕たちの答えにはそれが
なかったのか?
炎、君なら何て答える?
炎:
「…私の
知ったことではない」
……ってええええ!!
解答拒否した!?
直弥も眼を
丸くしてるし…
何で炎はそんな‥‥
炎:
「バカ兄、
それは私たちが
まだ未熟だからだ」
直弥:
「!
……それで?」
それで、って?
今のに続きなんて‥
炎:
「私たちひとりひとりが
綺麗に輝く星となる…
それが私たちの、
ウィアスターズの
根本だ」
…そうだ。
ウィアスターズの始まり
はそれがテーマだった。
炎はそれを
覚えていたのか。
直弥:
「……はぁ、わかったよ
俺の決意も固まった。
この先俺が
どんなに拒んでも
お前らはまだ
強くねえからな…
…ウィアスターズ、
再結成だぁぁ!!」
ついに、
そうついに再結成……!
理人&雅紀&要&炎:
「やったぁー!!
(よっしゃぁー!!)」
これからまた始まる
新しい物語…
最後まで直弥は再結成に
悩みがあったみたい
だけど、あとは僕たちが
直弥をカバーすればいい
そうしたらあとは‥‥!
パチ、パチ、パチ。
教室の入り口側から
拍手の音が聞こえる。
振り返るとそこには‥
舞風:
「やあ理人君。
君のむさ苦しい男相手の
葛藤は見ものだったよ。
賛辞を贈ろう」
在夢:
「やあやあ
久しぶりだねぇ。
炎ちゃんは身長が
少し伸びたかなぁ?」
ヴェル:
「またこうして会えて
嬉しいですよ、
リヒトさん、炎さん」
未頼:
「ただいま、かな?
おかえり…もおかしいね
う〜ん、何だろう‥?」
舞風:
「そんな困っている
未頼君のための応援団、
MIRAI FAN CLUBを近々
結成しようかな‥‥」
在夢:
「ふ、不穏な発言‥」
ヴェル:
「ベリー
クレイジーアンド
ストレンジです…」
理人:
「え、えーと‥」
舞風:「……?」
あれ?
名前も顔も、
すぐ出てくるんだけど、
《いつどこで》それを
覚えたのか思い出せない
在夢:
「ん?
理人君はそんな顔して
どうしたのかなぁ?」
〈在夢さん〉…
あらゆる意味で、いや
普通にトラブルメーカー
な彼女とは中学からの
知り合いだから
よく知っている。
未頼:
「本当に顔色悪いよ、
大丈夫?
保健室に行く?」
〈未頼さん〉…
この穏やかな顔立ちから
友人も多いらしい。
でも特別接点なんて
なかったはず‥
ヴェル:
「……直弥さん、
やっぱり…ですか?」
〈ヴェル〉…
たしかラグナス共和国
出身の日本好きで、
僕たちと
よく遊んでいた……
きっかけは何だ?
舞風:
「直弥、君はわかって
いるんじゃないのか?
理人君が何故こんな
慌てふためくのか」
理人:
「べ、別に僕は
慌てふためいてなんて
ないよ、舞風さん」
〈舞風さん〉…
鋭い洞察力と
優れた運動神経をもち、
成績も優秀な彼女が
僕たちに関わる
ことなんて‥
直弥:
「さあな…
……理人。
お前は俺たちを
昔みたいに戻してくれた
だから疲れもあるだろう
ひとまず今日は部屋に
戻って休め。
明日からは凄い
ドンチャン騒ぎに
なるだろうからな」
直弥は好意で
休ませようと
しているのか?
それとも
そうしてくれれば
都合がいいのか?
僕は‥‥
その時
背後から何かを感じた。
その…もう大方
誰か予想が
ついているんだけど、
振り向かなきゃ駄目?
舞風:
「そうだな。
ゆっくりと休むがいいさ
ゆっくりとな……
あ、ついでに炎君も
連れて行ってくれ」
理人:「へ、炎も?」
何故炎を指名?
炎:
「何で私も行かなきゃ
ならんのだっ…
……っておい!」
炎の体は直弥に軽々と
持ち上げられ、廊下に
運ばれる。
炎:
「っ!何すんだバカ‥」
直弥:「理人、炎連れて
部屋に戻ってろ」
理人:「う、うん」
そうして、
僕と炎は寮の部屋に
戻ることに……
Ι
Ι
理人:「……」
炎:「……ずず」
炎は昔要の部屋に
いた時のように
僕の部屋で
お茶を啜っていた。
理人:「あの…炎?」
炎:「ん、なんだ理人」
理人:
「こ、これから
どうしよっか」
炎:「そうだな……」
何かを思案していた
その時、誰かがドアを
ノックする音が。
炎:
「!、私が出よう。
馬鹿たちかもしれない」
理人:
「あ、いいよいいよ
炎は出なくて…って」
正座から素早く
立ち上がったかと思うと
すでに視界に
炎の姿はいなくて、
玄関からギィィ、と
ドアが開く音がする。
《炎:
「っ!
だ、誰だお前!!」》
……違う。
直弥たちじゃない。
誰が来たんだろう‥
《?:
「水無月理人、
……いるかい?」》
男の声…
僕を呼んでいるのか。
ひとまず僕が出ないと‥
理人:
「炎ー?
誰が来た……の?」
茶色混じりの少し長髪。
物腰柔らかそうな
顔立ちをしている、
いわゆる青少年って
やつだ。
?:
「君が……
水無月理人君かい?」
理人:「は、はい‥」
?:「ふーん‥」
物珍しそうに
顔を覗き込まれるのって
変な気分だな〜‥
?:
「じゃあさ、この世界に
ついて知ってる?」
炎:
「…何の話を
してるんだお前は」
?:「君は…崋崎炎だね?
なら君も関係あるよ」
理人:
「僕と炎に…
何の用事ですか?」
その少年はちょっと
困ったような顔をして、
?:「んー…
大変申し上げにくいこと
なんですが!
……死んでくれる?」
……ちょっと
聞き取れなかったかも。
気のせいかな?
チャキ。
短銃が
胸の前に向けられる。
あー、この展開は‥
炎:「り、理人っ!!」
?:「グッバイ、水無月」
………バンッ!