表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/22

21-欠ける一番星

直弥:

「お前は俺たちを

見捨てなきゃいけない!

なのにお前はまた!!!」


理人:

「ごめん、直弥。

僕はみんなを

見捨てることなんて

絶対に無理…だ!」


倒れている直弥を

力の限り担ぎ上げる。

諦めたりしない、

もし諦めたら

僕は自分を殺す。


直弥:

「理人……バカヤロウ」


理人:

「うん、大馬鹿だよ」

《欠ける一番星》

辺り一面明るい…

というか燃えているから

通路がわかりやすい。

見取り図によれば

もう少しで

非常口に出るはず‥


理人:

「!」


やっと出れた。

空に光る星々が

宿の炎をかき消すように

光り輝いていた。


炎:

「理人ぉぉーー!!」


待ちきれなかったのか

炎が出口付近まで

走り寄ってくる。


直弥:

「ふ……っ!!炎!!!!」


直弥がいきなり

炎に向かって走り出す。

でもその形相は

喜びの顔じゃなかった。


直弥:

「危ないっ来るな!!」


その瞬間炎の頭上付近の

瓦がなだれ込んで

炎に突っ込んでくる。


直弥:

「炎っ『炎っ!!!』」


僕は何をしてるんだ。

いま炎を助ければ

僕は死んでしまう。

直弥が助けようと

しているんだから

放っておけばいいのに。


ねぇ、炎。

僕は正しいのかな。


僕は迷わず

飛び出していたーー



周りがぼやけてる。


ああ、今度こそ

本当に死んだんだ。


霧のようなそこは

きっと天国かな。


水越:

「こんばんは水無月君」


理人:

「……水越さん?」


突然水晶玉を持った

水越さんが現れた。


水越:

「どうです、ここは?」


理人:

「どうって…

水越さんも死んだの?」


ははっ、僕は一体

なんて明らかなことを

天国まで来て

訊いているんだろう。


水越:

「…そうですね、

死ぬんでしょうね」


その言葉に

僕は動揺してしまった。

水越さんが

断定じゃなく推量的に

喋ったからだ。


水越:

「この水晶玉‥」


水越さんが水晶玉を

自然落下させて

水晶玉を割る。

水越さんはしゃがんで

その中から

色さまざまな

鍵らしきものを

僕に手渡す。


理人:

「ーーこれは?」


水越:

「あなたの記憶です」


理人:

「記憶?」


水越さんは

黙って頷いた。


水越:

「それはあなたの

直弥さんが作った世界の

皆さんとの記憶の鍵。

それを壊せば

ヴェルさんと同じ

効力を持つ鍵と

一緒の力を持ちます」


ヴェルと一緒の鍵…

ヴェルの鍵は

向こうの世界から

こちらの世界への

唯一の架け橋。

それをもう一度‥


理人:

「壊したら…

壊したらみんなに

また会えるかな」


水越:

「はい、きっと。

でも私のことは

忘れているでしょう。

私は向こうの世界で

あなたに初めて

会いましたから」


理人:

「そっか‥」


僕は強く鍵を握りしめ、

精一杯に躊躇なく

鍵を壊した。


水越:

「ーーさようなら、

彼らと私の希望ーー」


記憶がなくなっても、

僕はみんなを、

水越さんたちを

忘れはしない。


Time will shine.

I live again..




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ