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20/22

20-夢の果て

ヴェル:

「この世界の中心、

つまり創造主です。

この世界の外見は

直弥さんが創りました。

そして私は…

外への鍵です」

《夢の果て》

理人:

「ヴェ、ヴェル?

どうしたの?

外への…鍵?」


ヴェル:

「その門の向こう、

その先はもう

何もありません。

外見上の崩壊です。

でも絶対として

この門だけは消えない」


直弥はヴェルが言うには

外見をただ現実に

似せただけだという。


そしたらヴェルは?

鍵?……門…!


理人:

「ヴェルは、

この世界の核」


ヴェルが

こくりと頷く。

その顔には似合わない

真剣な顔つきをしてる。


炎:

「理人ぉぉーーッ!!」


理人:

「炎?」


振り向くと校舎の方から

こっちに向かって

炎が走っていた。


近くまで来ると

すぐにわかった。

涙ぐんでいる。


炎:

「理人…ヴェル‥」


ヴェル:

「炎さん‥」

?:

「役者は揃ったな」

ヴェル:

「あ‥!」


炎:

「バ、バカ兄‥!」


理人:

「…直弥」


直弥は苦しそうでもなく

悲しそうでもなく、

嬉しそうでもなかった。

Ι

Ι

直弥:

「ヴェル、

理人には話したな?」


ヴェル:

「…はい」


直弥の瞳はまるで

機械のようだ。

顔色ひとつ変わらない。


直弥:

「理人、事情とか

そんなのはわかったな」


理人:

「直弥はこれから

僕たちをどうするの?

ヴェルや直弥は?

雅紀たちは?」


幾つかパターンを

想像してみる、

最悪のパターンを‥

もしかすると

みんな死んでしまう、

誰も生き残れない。

それさえ考えた。

だが返ってきた答えは

僕にとって

それよりも悪かった。


直弥:

「ああ…

理人と炎はこれから

校門をくぐってもらう。

俺は別の方法で

門の先に

行かせてもらう。

雅紀たちは

もう行ってる」


理人:

「ヴェルは?」


ヴェル:

「私は…残ります」


残る!?この世界に?

人も動物も太陽も

なにもかも

無くなったこの世界に?


炎:

「バカ兄ッ!!」


直弥:

「しょうがないんだ!!」


直弥が声を荒げて

大声を出す。


直弥:

「あの時、修学旅行で

俺とヴェルだけが

無事に生還した!

俺はお前らと

離れるなんて

考えられない!!

ヴェルは言った、

みんなが元気で過ごせる

世界を創ろう、と。

ヴェルは自ら

この世界の鍵になった。

それが何を意味するのか

知っていながらな!」


直弥の眼からは

涙が溢れてきていた。

ヴェルも

ずっと俯いてる。


理人:

「でも!!」


ヴェル:

「…直弥さん、

開けますね?」


炎:

「ヴェル!!」


ヴェル:

「私は、いいんです。

みなさんと出会えて、

嬉しかったです。

それに…私は既に

独り身ですから」


理人:

「独り身じゃない!

僕たちがいる!」


ヴェル:

「祖国…ラグナス」


…ああ、そうだった。

ヴェルの生まれた国、

ラグナス共和国。

確か内戦に

巻き込まれて‥

ヴェルの家族も‥


ヴェル:

「ありがとう、理人。

知ってたんでしょう?

実は私も知ってました。

でも言い出せなくて…

遅くなっちゃいましたが

ありがとうです。

そして、さよならーー」

Ι

Ι

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー

ーーそしてーーーーーー

ーーー門は開いたーーー

ーーーーーーーーーーー

Ι

Ι

Ι

Ι

Ι

Ι

要:

「…きろ!

起きてくれ理人!」


理人:

「うん……う?」


空気がやけに熱い。

ところどころで

火花が散っている。

そうか、あの日に

戻ってきたのか。


要:

「今雅紀がヴェルを

先に外へ出してる。

舞風たちも多分

先に外へーー?」


動かない体を

無理やり動かして

要の袖を引っ張る。


要:

「どうした?」


理人:

「まだ…だ、だめだ。

舞風さ…んたちは

まだ中、に‥」


要:

「何だと!?

わかった、俺がいく。

直弥、理人を頼んだ」


直弥:

「わかった。

要…死ぬなよ」


要:

「…ああ」


そして要は奥の方へと

走っていった。


直弥:

「理人、炎、立てるか」


炎:

「き、きつい‥」


直弥:

「我慢しろ。

生き残れたら

猫でもなんでも

お前にやるよ」


炎:

「わかった、頑張る」


炎が膝を震わしながら

なんとか立ち上がる。


炎:

「理人も、ほら」


差しのべられた

小さい手のひら。

僕も負けていられない、

死んじゃいけないんだ。


直弥:

「よし、とにかく

向こうへ走…れ」


理人:

「直弥ッ!!」


炎:

「バカ兄ッ!!」


直弥が僕たちを庇って

木の下敷きになる。

どかそうにも

力が足りなかった。


直弥:

「俺はいい…早く行け」


炎:

「そんな…こと‥」


…直弥が何か持ってる。


理人:

「直弥、これ‥」


直弥:

「ああ、さっきまで

部屋でパソコン

いじってたろ。

そん時に作った」


この旅館の

見取り図だった。

そして何やら

赤い線が引かれてある。


直弥:

「避難経路だ。

そいつに従え…

間違っても

窓なんか開けて

バックドラフト

起こさないようにな」


ごめん、前に

言ってほしかったよ。


理人:

「…直」


直弥:

「行け、炎を連れて」


僕はそれだけ聞くと

炎の手を取り

無言のままに

走り出していた。


炎:

「な、と、止まれ!

まだバカ兄が!!」


理人:

「ダメだ止まっちゃ」


ここで

止まるわけには

いかないんだ。

みんなを…置いてく。

僕たちだけしか

助からないんだ。

Ι

Ι

なおや:

「泣くなよ〜理人」


りひと:

「だってぇ‥」


頭をよしよしと

なおやになでられる。


なおや:

「俺がお前を

おいてくわけないだろ」


りひと:

「……うん」


なおや:

「よし、なら行こうぜ!

まだ日はくれない、

俺たちは輝き続ける。

"ウィアスターズ"

俺たちはずっと一緒だ」

Ι

Ι

周りは

ひたすら暗かった。

時間は多分1時頃。

目の前には

燃えている旅館。


理人:

「炎、ひとりでもう

大丈夫だよね?」


炎:

「…り、理人?

私を…置いていくな」


理人:

「待ってて、

すぐ帰ってくるから」


要ひとりで

舞風さんたち全員を

助けれるわけない。

直弥も助ける。

でも炎が危険だ。

だから炎は

連れていかない。

直弥:

「……まだ生きてる」


死に損なったか。

まあいい、理人と炎さえ

この先生きて

幸せになってくれれば‥


理人:

「直弥、起きて?」


目の前になんで

理人がいるんだ?

ついに幻覚まで

見えてきたか。


理人:

「…直弥‥‥っ!!」


なんで…なんで…


直弥:

「お前がここにいんだよ

理人ぉぉーーッ!!!」



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