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17/22

17-約束を契って

炎:

「……?」


今なにか…

ピアノの音も、

舞風の気配も消えた?

《約束を契って》

気になって音楽室に

戻ってみる。


炎:

「……っ!?」


なんだこれ?

途中から

前に進めないぞ!

音楽室は

すぐそこなのに‥


手を伸ばしても

それでも届かない。


炎:

「もう少しでいい…

もう少しだけ

舞風と話したいんだ‥」


まだ…私は…

どうしたらいい‥?


?:

「しょぼくれた顔は

似合いませんよ、

炎ちゃんっ」


?:

「水無月には

見せれない顔よ」


底抜けに明るい声と

冷静な声が後ろから

聞こえてきた。


白石:

「いい?

そっちは前じゃないわ」


在夢:

「そっちは後ろ。

もう後戻りできないよ」


舞風は…いない?


炎:

「待て!

まだあそこには

舞風が残ってっ‥!!」


白石:

「……はぁ」


舞風みたく、

頭の悪い子を見るような

目で私を見て、

溜め息をつく。


在夢:

「…誘い次は私たち。

姉貴はもう…

そこにはいないんだ」


炎:

「……っ!」


これは現実なのか?

夢なのか?


もし夢なら、

早く覚めろわたし‥

Ι

Ι

在夢:

「いやぁ、

懐かしいねここもぅ」


連れてこられたのは

執行部室。

私は初めてきた。


白石:

「あのリーダー格から

与えられた

時間は有限よ。

チャイムで

知らせてくれるみたい」


在夢:

「わぁお!

ドッキドキだねぇ」


白石:

「で、はい紅茶」


白石が馬鹿と

私に紅茶を

持ってきてくれた。


でも馬鹿

(炎視点で在夢)と

白石がなんで

ペアで登場なんだ?

意味がわからん。


白石:

「あの人じゃないけど、

あなたの考えてること

言い当てて

みましょうか?」


在夢:

「え、なに!?

お姉ちゃん

まさかのエスパー!?」


白石:

「そんなわけ

ないでしょう、

もう在夢ったら」


炎:

「お、お姉ちゃん?

在夢ったら?

お前らどんな関係だ!!

そんな青少年少女に

みせてもいい

間柄なのか!?」


在夢:

「誤解ですよぉ!!」


白石:

「姉妹よ、ただの。

で、言い当てて

みましょうか?」


炎:

「なんだ」


白石:

「もう答えは

わかったでしょう?」


確かに本当に姉妹なら

矛盾しないな、うん。


炎:

「そのとおりだ」


在夢:

「がーん!

まさか妹にも

隠さないといけない

事情があったのかぁ?

………つづく」


続かんでいい。

終われ。


在夢:

「もう、

絡み足りないなぁ。

じゃ、本題に

いきましょうかねぇ」

Ι

Ι

白石:

「あの人から

どこまで聞いたかは

知らないけど、

彼女なら多分

全ては明かして

ないでしょうね」


ごもっとも。

だから戻りたいんだ。


在夢:

「さてさて、

じゃあ炎ちゃんは

何故ここに

お姉ちゃんまでいるのか

知りたくない?」


炎:

「知りたくない」


在夢:

「即却下!?

ていうか既に

準備してたよねぇ!?」


面倒くさい、

適当に返事しておこう。


炎:

「ああああ」


在夢:

「適当すぎぃぃ!!」


白石:

「くだらない談は

とらなくていいの。

ここからが本題よ。

何故あなたたち

メンバーでもない私が

ここにいる理由、

それはこの子のためよ」


馬鹿の?

あほの子の?


在夢:

「今なんか

侮辱された気が

したようなねぇ‥」


白石:

「…話が一向に

進まないんだけど、

気づいてる?」


炎:

「ん、あ、何だったか」


白石:

「私のいる理由よ!

私はあなたの兄に

誘われたのよ」


炎:

「バカ兄が?

お前はロリの対象に

入らないと思うんだが」


白石:

「…相当の

言われようね。

そんなのじゃなくて、

私はこの子と

離れたくなかったの」


炎:

「…ん?

お前ら顔をあわせる度に

喧嘩してなかったか?」


疑問を投げかけてみる。


在夢:

「それはお姉ちゃんが」


白石:

「この子が安全に

学校に行ける

ようにするための

一種のフェイクよ」


在夢:

「最後まで

言わせてぇぇぇ!」


段々あほの子が

更にあほになってるな。


同感よ、ホント。

いつになったら

まともになれるのか

気が気でならないわ。


なに!?

意識にまで

干渉してきたぞ!!


白石:

「いいじゃない別に。

減るもんじゃないわ」


炎:

「…まあいいけど」


在夢:

「2人だけで

以心伝心するなぁぁ!!」

ボカッ。


白石:

「少しは黙りなさい」


在夢:

「はい‥」


話を戻すように

コホン、と咳をつく。


白石:

「あなたや水無月は

気づいてないけど、

この世界は

ループしてるのよ」


炎:

「るーぷ?」


在夢:

「はいはーい!

それはずばり

腰らへんに付けて

おもいっきり回‥‥」


どんがらがっしゃん

ドドドドドガラッ!!


黒輝在夢、

志半ばにして意気消沈。


何が起きたかはお約束。


白石:

「ループ…

循環することよ。

あなたたちの

記憶以外だけどね」


炎:

「どういうことだ?」


白石:

「もし記憶が

残っていたら、

あなたたち2人は

もう立ち上がれない

ところまで堕ちてるわ。

それほど過酷なのよ」


炎:

「…そのループしたあと

私たちはどうなった?」


白石:

「………」


なかなか

明かそうとしない。

言いにくいんだろう。

きっと、私たちは‥


白石:

「死んではないわ」


意外だった。

生きてるのか?


白石:

「でも終わってない」


炎:

「終わってない?

なにがだ?」


白石:

「その、世界よ」

Ι

Ι

白石:

「あなたの兄、

崋崎直弥は幾度となく

あなたたちが

危険に遭う直前に

世界をリセットした。

もちろんそんな

簡単なことじゃない。

没落した部分も

なかには出てくる。

この世界の場合、

宮島要と磯貝雅紀の

記憶が著しく欠如した」


…そういえば確かに

最初あいつらは

何かおかしかった。

でも理人のおかげで

元にもどった。


白石:

「正確には

崋崎直弥がその後

彼らに吹き込んだ‥」


っ!!

意識が読まれてる!?


白石:

「当然よ。

ここは私たちの

虚空のテリトリー。

そこに足を踏み入れれば

すぐにその人の

心が読める」


炎:

「…良い趣味

じゃないな」


白石:

「今だけよ。妥協して」


炎:

「ん……

もしかして舞風も

読んでいたのか?」


白石:

「読めてたはずよ」


あいつ…

現実に戻ったら

いつか罵倒してやる。


在夢:

「そんなこんなで

在夢ふっかーつ!!

炎ちゃんっ!

あんまり私からは

お伝えできることは

なかったですけれども!!

最後に…一言…

……………いてね」


炎:

「うん?

よく聞こえなかったぞ。

もう1回言え」


在夢の微笑んだ顔には

微かに軌跡が

見えては消え、

流れていってた。


在夢:

「…元気で、いてねっ!!

約束、なんだから…

約束…」


もう顔は

笑ってなどいなかった。

それでも、必死に

笑おうとしていた。


そして私も、

必死に…笑おうと‥‥


炎:

「在夢!!

あっちでも

私たち親友だっ!!

また会えるんだ!

だから……泣くな」


炎は泣きじゃくりながら

突っ込んできた在夢を

胸に沈ませて、

「よーし、よーし」と

肩をさすっていた。


白石:

「…崋崎炎。

これ、ヴェルロッサに

渡しといてくれない?」


白石はポケットから

それを取り出すと、

拳に隠しながら

私に渡した。


炎:

「これは…御守り?」


開けた拳には

白い御守りがひとつ。

何を意味するかは

私は知らない。


炎:

「渡せばいいんだな」


白石:

「ええ、お願い」


私は御守りを慎重に

ポケットに入れた。

それを見届けた白石は、


白石:

「崋崎炎、あなたに

幸があらんことを‥」


続いて在夢も、


在夢:

「また教室で

会おうね、みんなと!」


炎:

「うん!」


それを最後に、

私は振り返ることなく

執行部室をあとにした。


直後、私の目の前で

部屋は青白い光に

包み込まれて、

次第に、部屋の中から

手を振っていた2人は

見えなくなって

消えてしまった。


炎:

「…………はっ」


まだ忘れられない

最期のビジョンで

放心していた私を

頬をたたいて

元にもどす。


炎:

「まだ舞風も

在夢も白石も、

死んだわけじゃない。

まだどこかで

きっと見てるんだ。

私がしっかりしなくて

どうするんだ」


炎は廊下をまた

歩き始めていった。


炎:

「そういえば

理人のやつ、

今頃どうしてるかな」




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