10-最強への挑戦
ぱきっ、と小枝が
折れる音が響き渡る。
物凄い速さで
駆け回る狸がいる。
現在進行形で
熊と相撲とってる
雅紀がい‥‥
理人:
「って何してんのさ!?」
雅紀:
「うおぉりゃぁぁ!!」
熊:「グルオァァ!!」
……見なかった
ことにしておこう。
‖
‖
《最強への挑戦》
‖
‖
道なりに沿って進むと、
工房だろうか、
鉄の建物がそこにあった
ノックしてみる。
「……」
ノックしてみる。
「……」
雅紀をぶつけてみる。
「………(怒)」
あ、イラっときたね
この扉。
その時後方から
こっちに向かって
動く物体が!
そして扉の前で
構え直して、
舞風:
「斬鉄!!」
雅紀を斬った。
雅紀:
「うおおぉぉーーっ!!
…って、あれ?」
壊れたのは刀の方だった
ちなみにさっちの
立ち位置を再現すると、
■■´´´´´´´´
■■‖´´´´´´´
■■‖雅\舞´´´理
舞風:
「くっ、まだ叶わぬか」
雅紀:
「てめこら舞風ぇぇ!!
殺す気かぁ!?」
舞風:
「ん?
…なに、熊じゃない!!」
雅紀:
「俺は熊じゃなくて」
炎:
「ミジンコだ」
雅紀:
「そう、ミジンコだ!
……ってホントか!!」
信じ込まされた!!
雅紀:
「畜生…
俺はまだまだ
世界から見たら
ちっぽけな
存在だったのかよ‥」
理人:
「うまい!
…じゃない!!」
Ι
Ι
舞風:
「そうか、
そんなに心配
してくれていたか」
理人:
「そりゃね。
…ここで鍛治修行
してるんだっけ?」
舞風:
「ああ。
今まで私が持ってた
模造刀では
勝てない敵もいることを
ある男から
悟られたからな」
炎:
「誰に勝てないんだ?」
舞風:
「それはわからんさ。
しかし、それを聞いた時
私の中で
最強の刀を追い求める
衝動にかられてな」
炎:「それでか」
舞風:
「他のメンバーも
近くにいるんだろう?
呼んでもらっていいか」
理人:
「うん、いいよ」
電話を直弥にかける。
[理人:
「もしもし、直弥?」]
[直弥:
「…………ああ」]
まだ落ち込んでるのか‥
[理人:
「元気だしてよ直弥。
ほら、炎が直弥に
何か言いたい
ことがあるんだって」]
[直弥:
「言いたいこと?」]
理人:
「炎、励ましてあげて」
炎:「ん」
携帯を炎に渡す。
[直弥:
「……炎?」]
[炎:
「くたばれロリコン」]
それだけ言うと
炎は即座に電話をきって
僕に無言で返す。
炎:
「完璧だ」
理人:
「違うよね!?
とどめさしたよね!?」
舞風:
「はっはっは。
本当に飽きないよ」
Ι
Ι
というわけで一同集合。
未頼:
「わあぁ〜
広いねえここ〜」
要:
「一度はこんな所で
思いっきり
練習してみたいものだ」
直弥:
「(治った)
で、最強の刀とやらは
完成したのか?」
舞風:
「いや、まったく」
そう言うと舞風さんは
奥の方に置いてあった
無惨な姿になった
鉄クズを
上に持ち上げて、
重力に任せて落とす。
直弥:
「…よくわかった」
理人:
「何か手伝えないの?」
この軽はずみな発言が
あとで後悔することに
なるなんて、
この時誰も考えては
いなかっただろう。
そう誰も‥
Ι
Ι
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《まずは火力を
上げたいな、やはり》
要&雅紀:
「うおっしゃぁぁーー!!
任せておけぇーーっ!!」
火力班
【要・雅紀】
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《刀の魂は心。
でも物理的問題もある。
そういえば近くに
廃材になった
鉄があったな‥》
ヴェル:
「くんくん…
在夢さん、
こっちですよ、
こっちから臭いが!」
在夢:
「よくやった副官A!
(くっくっく。
やっぱりヴェルは
動物だねぇ)」
材料収集班
【ヴェル・在夢】
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《ひとまず
私の心の癒やしに‥》
炎:
「何ぃぃーーっ!!」
未頼:
「……ふぇ?」
癒やし班
【炎・未頼】
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《まあ
散歩でもしておけ。
特別理人君には
言ってないからな。
その隣の奴にだ》
直弥:
「………」
理人:
「なんかもう
適当だよね‥」
ぐだぐだ班
【直弥・理人】
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Ι
Ι
雅紀:
「要っちよう、
少し俺は席外すぜ」
要:
「ん、どこに
行くつもりだ?」
雅紀:
「森のくまさんに
手伝ってくれるよう
頼んでくる」
要:
「(こいつまた
意味のわからんことを)
なら行ってこい。
しかし、
連れてこれなかったら
お前は一週間
俺の弓の的に
なってもらうぞ」
雅紀:
「いいぜ。
じゃあちょっくら
行ってくるぜ」
そして雅紀は
山奥に消えていった。
‖
10分後
‖
要:
「ふー、
なかなか多いな」
用意された薪は50本。
対して人数は1人。
それに使い慣れない
道具に手間取っていた。
要:
「せめて
あの馬鹿がいたなら…
一体どこをほっつき
歩いているん‥だ‥‥」
雅紀の影ではない、
とてつもない大きさの
影が突然要の視界に
飛び込んできた。
そしてその隣には
ちょっと大きめ
サイズの人影が‥
雅紀:
「要っち〜
来てくれたぜ〜」
熊:
「ヴォウヴォウ」
要:
「………(……え?)」
Ι
Ι
ヴェル:
「こっこ掘れ
ワンワンですっ!」
在夢:
「よっしゃあぁ!
在夢さんの
クレーンさばきを見よ!!
…あ、ルネアどいてぇ」
ガガガガガと、
廃材の山を近くにあった
クレーン車で彼女は
豪快に壊していた。
在夢:
「痛快ぃーーっ!」
ヴェル:
「次はここですよー」
在夢:
「よしきたぁぁ!!」
Ι
Ι
舞風:
「ふははははは!」
未頼:
「やーめЖЖЖЖЖ
※この場面には
18歳以上あっても
閲覧することを禁ずる。
Ι
Ι
直弥:
「…なあ理人」
理人:
「ん、なに直弥?」
こんな感じで、
2人だけで話すのなんて
遠い昔の気がするなぁ‥
直弥:
「お前は
この世界をどう思う?」
理人:
「どうって…
戦争のない平和な
良い世界だと思うよ」
直弥:
「そうじゃなくて‥」
直弥の視線が
横の木の上をとらえる。
理人:
「…どうしたの?」
直弥:
「いや…何でもない
(気のせいか‥)」
?:「……」
Ι
Ι
それから僕たちは
しばらく緑道を
散歩したあと、
工房へゆっくり帰った。
直弥:
「あと何回だ‥」
そう呟いた直弥の顔は
少し辛そうだった。