トラウマはお早めに
【『深層』ダンジョンにて】
「というわけで、ソルくんの初仕事ー!荷物持ち、よろしくー!!」
「・・・・う、うす」
比較的元気なマギの声掛けに対して、ガチガチのソル。
二人は、『深層』のダンジョンへと定期巡回へ来ていた。
数日間ソルが体力が回復するのを待ち、さっそくツケを返してもらうことにしたのだ。
てっきり店番などの手伝いだと思っていたソルは、突然マギに連れ出され、あれよあれよと
『深層』ダンジョンまで連行されてしまったのだ。
「んん~?元気ないぞソルくん。そんなんじゃ金返せないぞー」
「・・・す、すんません」
無理もない。先日痛い目にあったダンジョンに数日でカムバック。
しかも、装備は妙に重いリュックと、手渡された小さいハンマーのようなもののみ。
こんなものでどうあの鋼鉄の生き物・・・人形たちに対抗しろというのか。
―――――『深層』のダンジョンは、人形主体のダンジョンだというのに。
「とりあえず一通り巡回して、必要な素材は回収、救助民も見つけたらたすける。
ソルくんは、死なないようにすること」
「し、死なないように・・・」
無茶を言う。ついこのあいだ、ここで死にかけた人間に。
しかも、ろくな装備もなしで、そんな軽いノリで・・・・
「・・・大丈夫だよ」
「はい?!」
不安さが顔に出ていたせいか、いつの間にか、マギに顔をのぞき込まれていた。
「君にはきちんと冒険者として認められた実力が、経験がある。
戦いのスタイルも、このあいだ見た時にだいたいわかった。
そのうえで、更にちょっと勉強しよう。いま自分が持っているものがなんなのか。
どう使うのか。
なにが適しているのか。
・・・自分を、どう使ったら一番間違いないのか」
「自分を・・・使う???」
最後のはわけがわからず聞き返したが、曖昧に微笑まれるだけで返事はなかった。
だが、自分に求められているものはわかった。
・・・・・成長、しなければならない。もうあんな、死ぬ思いをしないように。
「というわけで、まずは背中の荷物の解説たーいむ♪そのあとは、『深層』にいる人形の解説ね!
しっかり覚えてねー!じゃないと死ぬから」
「ぅおっ、はい!!」
妙なテンションの上下で驚いてしまったが、ダンジョンに入り、進みながら解説を聞いていく。
道中、モンスターを対象にした実演をまじえながら、ひとつひとつ、頭に叩き込む。
・・・・・これは。思っていたよりずっと有意義な借金返済になるかもしれない。
ソルは、最初感じていた緊張も不安も忘れ、マギの「授業」に没頭していった。




