ダンジョンの”上書き”
【現在 ダンジョン街】
「ほーい、先遣隊の皆さんお疲れさまー!まぁまぁ休みねぇ休みねぇ」
「負傷がある方たちは診療所でお預かりします」
「お疲れ様でーす!!はーい、慰労のポーション鍋でございまあああす!」
ダンジョン入口にて、マギ、ミーア、ウィズに迎えられた神殿騎士たち。
先遣隊として出ていた面々の帰還であった。
ミーアは治療中と同じ無表情で「唾つけときゃ治る!」「自前の薬がありますので!」と言う負傷者を次々引きずって診療所へ引き渡し、ウィズは困惑する面々に寸胴からポーション鍋をすくって一杯ずつ振舞いはじめる。
最後に殿を務めていたソルが『深層』から出てくるのが見えたので、マギが駆け寄った。
「ソル君もおつおつ。で、どうだった?」
報告をうながすと、ソルが言いづらそうに報告をしはじめた。
「・・・・・負傷者は多少出ましたが、全員命に別状はなく、無事帰還できました。
結構深くまで行ったんですが、道中も大した危険に遭遇することなく潜れましたよ」
全員無事。誰一人欠けることない帰還。それは普通、喜ぶべきことのはずなのだが・・・報告するソルの表情は暗い。
「・・・そっか。それはかなりやばいね」
「ええ。ちょっと洒落になってないです」
返すマギも、普段のゆるんだ表情を引き締め、深刻そのものだった。というのも―――――
「以前より明らかに人形の数が減ってます。中層に至るまでほとんど遭遇しませんでした。
各所に残骸もありましたよ、まるで見せびらかすように。
・・・・下手すると、出てくるより面倒なことになってる可能性もあります」
ソルの報告が、マギの懸念をより強くさせるものだったからだ。
ダンジョンというのは、住み着いた種を保存し生産する仕組みになっている。
元々ただの洞窟だったりした場所の魔力や魔力が一定量を越えると『コア』と呼ばれるダンジョンの心臓部が作られ、多く住み着いた種を記録する。
記録されたものたちは自力で増えるほか、一定間隔で『コア』から生み出されるようになると言われている。
――――――そして。ダンジョンにもともと多く住んでいたものが減っていき、住み着いた種族の総数がひっくり返った場合に何が起こるのか。
「そっかー・・・このまま人形掃討されちゃうとまずいね。
居心地よかったのかなぁ。『深層』、龍に乗っ取られちゃうかもか・・・・・」
『深層』の『コア』の上書き――――龍ダンジョン出現の危険性が出ていたのだった。




