”己(おのれ)”を使え
【『水流』ダンジョン 湖『死地』】
『gya?!』
『gyaッ!gyaaーーーーーーッ!!』
『gyao・・・・・・ッ』
近接式”炸裂(burst)”の爆発を使って飛び込んだ先で、サハギンを斬り飛ばし蹴り飛ばしながら、ソルはウィズを背負って前へ進む。
幸い、周りを囲んでいたサハギン達は通常個体のようだ。”閃光(Flash)”の目くらましにより、しばらくは混乱しており、対処は容易い。
その隙をついて、できるだけ通路への直線距離を稼ぐ・・・・・!
だが、当然
「っ、来るよな!!」
通路まで半分ほど進んだところで、通路前に『アルファ』が風のような速さで陣取る。
多少遅れたものの、敵の目的をいち早く理解し、最善と思われる手を打つ。
―――――――本当に抜け目がない。いい統率者だ。
「・・・・・そう、だよな。
ほかにいなければ、お前が来るよな」
そう言って、いままでサハギンを薙ぎ払っていた剣を足元へ捨て、使い終わった籠手を脱ぎ捨てる。
「じゃあ、っ”防壁(shield)”」
その隙を見逃す『アルファ』ではない。瞬時に近づき、胸を目がけた刺突を繰り出してきた。
だが、予想していたソルが防ぐ。
「っく、次は・・・・・!」
『gyy!』
が、今度は様々な方向から見えない速度の攻撃が迫ってくる。手持ちの”防壁(shield)”では防ぎきれず、いくらか隙間を突かれてしまう。
「なら!」
そこから現状を打開するため、先ほどと同じように近接式”炸裂(burst)”用の籠手を装備し、ソルが手を振り上げた・・・・・!
当然、
『g!!』
「――――――――っ!」
そうはさせまいと、”防壁(shield)”の隙間を縫って、『アルファ』が迫り―――――
「・・・・・・ぐ!!!!!!」
――――――――――――――横薙ぎに、一閃。
ソルの右腕が、籠手ごと吹き飛ばされ|、
「っ、ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
ソルの絶叫が、湖に響いた。
――――――――――――直後。
「そう、するよな」
『―――――?!』
ソルの左腕が、『アルファ』の頭をがっちりと掴む。
―――――――――――餌に、かかった。
「―――――――――――”炸裂(burst)”」
爆発。頭部への突然の熱と衝撃に『アルファ』が驚き、たたらを踏む。
―――――――――――ソルの残った腕には、先ほど吹き飛ばされた右腕と同じ籠手が装備されていた。
さらに
「・・・・食らえ」
『gッ?!』
ソルが足元の剣を蹴り上げて残った手に持ち替え、『アルファ』の腹部へ突き刺す。
発動は、一言。
「・・・・・・・・・・・・・”炸裂(burst)”」
衝撃、爆発、炎上。
先ほどまで剣として使っていたヒルトボムの術式が発動。
剣ごと、『アルファ』が腹部から燃え上がる。
『gyaAAAAAAAAAAAA?!?!!??!』
頭を爆破され、体内を焼かれた『アルファ』は悶えのたうち回る。そこへ
「・・・・・”閃光(flash)”」
再びの閃光。『アルファ』が怯んでいる、という状況に動揺したサハギン達は対応できず、再び目をくらませる。
「・・・・・・・・・へへ。囲い、抜けた」
その隙に、ウィズを背負ったソルは、通路へとたどり着いた。
そのまま、混乱に乗じて出口へと進む。
「・・・マギさん。やっと、わかった気がしますわ・・・『自分を使う』、っての。
自分を、道具として使う、ってことすか。
はは・・・・・さすが人形。考え方がぶっ飛んでるわ。
・・・・・でもこれ、ちょっと・・・・人間には、しんどすぎや、しませんか・・・・・?」
朦朧としたまま、ウィズを抱えて洞窟を進むソル。
ゆっくりとだが、止まることなく、出口へと進み続け・・・・・・・
―――――――――――――――――『アルファ』が落ち着き、サハギンが視力を回復した頃には。
ソルたちは、そこから姿を消していたのだった。




