ことの起こり/僕はこうしてここに来た
【 ??? 】
―――――――修復(repair)―――――――――――――――修復(repair)―――――――――――――――――――――――――――修復(repair)――――――――――――――――――――――――――――完了(clear)
――――――――――――――術式(system)起動(on)
――――魂(core)固着(confine)再設定(restart)――――――――――――完了(clear)
マナ回路(circuit)起動(on)―――――――修復(repair)―――――――――――――――失敗(error)――――――状態(status)・破損(crash)―――――――維持(keep)・復帰(recovery)――――――――
――――記憶(log)・再設定(restart)―――――――――――――更新(update)――――――――――――――――再起動(reboot)
「蒔田さーん。蒔田 朱音(まきた あかね)さーん」
まぶしさで目を開けた。整然と並んだ椅子と真っ白なカウンターが目の前に広がっている。
・・・・市役所の、受付?
「○○病院の、蒔田朱音さーーん。いらっしゃってますかー?」
・・・・どうやら、自分が呼ばれているようだ。だが、残念ながら僕は自力で動けないし、
いまは車椅子にも乗っていない。
喉には人工呼吸器が刺さっているので、返事をしようにも声は出ない。せいぜいが、軽く手を挙げる程度。
なので、頑張って上げようと・・・・・ん?
「あ。いらっしゃってるじゃないですか、よかった。じゃ、2番のカウンターへどうぞー」
思った以上にぐん!と手が動いた。おかしい、僕の腕は全力でも45度くらいしか上がらないはずなのに、
いまは肩からまっすぐ上に伸びた。どころか、普通に椅子に座っていることに気づいた。
(・・・・背中、いや身体が、全然痛くないな・・・・・・・)
少し動くだけで起こっていた痛みをまったく感じない。一体、これは・・・・
「ん?蒔田さんどうしました?・・・・・あ、そっか!しまった、生前、身体不自由でしたもんね!
慣れてないか。じゃあ、こっち寄せますねー」
ぐん、と急にカウンターが目の前に来た!・・・・いや、自分が寄せられたのか?
状態が飲み込めず、周囲を見渡してしまう。
というか、いま、不思議なことを言わなかったか?
「すみませんね、気づかなくて。あ、ここは、そんな時間いただきませんから。
ちょっとご自身の書類確認してもらうだけなんで」
???書類の確認?いったいなんの・・・・・
「これ、死亡時の状態ね、間違いあったら教えてください。
あと、精神部分での追記あったら、そこの空欄に記入してください」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・は。
一瞬呆けた後、書類の文字を確認し。
「死因」
「死亡時刻」
「死亡時の周囲の状況」
さらに
「備考欄:追記したいことがあれば記入してください」
という、冗談のような一文を見て、
自分が死んだ、ということを思い出した。