ここまでの清算(2)
今日はキリが良いので2話投稿です!
読み飛ばしなきようにお願いします。
永禄2年5月12日昼過ぎ。
村長の所には我縁坊に着いて来てもらった。まだ500文は…とかいいながらも着いて来てくれるあたりやはり優しい。
「広江殿。広江殿はおられるかな?」
無駄にいい声で戸口で村長さんを呼ぶ。へぇ、広江さんって言うんだ。あ、うそやだ。苗字じゃん。苗字持ちじゃん。やばい、何の気構えもしてなかった!
「和尚か。」
ずんぐりむっくりとした、むくつけき男が出てきた。でけぇし、筋肉がパンパンだ。
「なんのようだ、そっちのひょろいのはなんだ。」
やっべ、初対面でひょろいの扱いだわ。でも殴り掛かっても勝てないなこりゃ。大人しくしとこう。
「月の初めに海岸に流れ着いた看護師の川崎こゆづ殿だ。本来なら村長にまず目通りするべきだったが寺が立て込んでいてな。挨拶が遅れたが許してはくれんか。」
「川崎家…由緒がありそうで、どこにでもありそうだ。武士って訳でもなさそうだ。家に来なくて良かったな。3秒で叩きだして、一晩でのたれ死んでおったわ。」
その、挨拶に。
「挨拶ってのは、村のもんたぶらかして作物やらタコやら蝦蛄やら蜂蜜だらを報酬も払わずに持って行く事なのかよ。はーん。お前のとこではどうか知らんがワシの目が黒いうちは犯罪者一歩手前だ。」
「まぁまぁ、こうして酒も持参した。飲んでいって話を聞いてはもらえまいか?」
おれの所在なさげにもっていた酒を奪ってがばっと飲んだ。いや、200mlで10度だからストロングゼロくらいには強いはずなんだが。この度数はコメでもどぶろくじゃ出ないぞ。
「酒は飲んじまったな。話は終わりだ。邪魔しねぇよーに端っこで虫みたいに生きて、気に障らねぇうちに出て行け。いいな。」
そういって、ぴしゃんと扉を閉めた。
しばし、我縁坊と顔を見合わせて絶句した。
「なんかすまんかったの。」
そこで謝ってくれるところが凄い所ですよ。人間性がパナい。特に村長見た後なので。取り敢えず帰ることにした。
===============
三平太さん。まじめな話があります。吾平さんも聞いてね。三平太さんは…ごめん。答えにくいとは思うけど、家の中でどのくらいの仕事をしていてどのくらいの生産性がありますか?
「なんでそんなことを聞くだか?」訝しむ三平太さんだが、これは吾平さんが察してくれた。
「三平太は普段は田畑の手伝いをしておる。立派な働き手じゃが、生産をしているとまではいいがたいであろう。ただし、手先は器用であるし、地頭もよい。体も出来上がっている。と父の欲目で言えばそうだ。」
ぐふぅ。ですよね。安くは叩けない。
とりあえず、通いで年給を1石…だめでしょうか。年3回で分割払いで。多分最初はこれが限界です。
「1石だと?」「年給に1石?」
ざわついてる…吾平さんの息子さんたちも出てきた。針の筵PART2である。
ダメですか…?このあたりが限界なんです…。
「いや、その1石取りにして何をさせようというのか。従軍させるつもりか?」
え、殺そうとしてると思われてる?
いやいや、出来る限り戦場とかでなくて俺のお使いとか仕事の手伝いをお願いしたいなと。
「そんな仕事で1石は多すぎる。」「流石に田舎の農家の3男に1石は過分。」
お、おや?少ないと怒っているわけではなさそうだ。
「本当に宜しいのですかな?要するに身の回りの世話と仕事の手伝いで1石で雇うと。」
はい、特別に大変な仕事があれば特別給も検討しますので…。そこまでいうとみんなが笑いだした。特別給までもらえるのだそうだぞ三平太。
「その、本当におらでよろしいのですかぁ?ただの農家の三男じゃぞ?」
いや、三平太さんに来ていただきたいんですよ!オネガイシマス。
「困ったなぁ。頭を上げてください。こちらこそどうかよろしくお願いしますだ。」
そういうことになった。部下が出来たぞ。やったぁ!
ちょっとずつ、評価やブックマーク増えています。本当にありがたいです。モチベ上がりまくりです。
どうか、よろしくお願いいたします。