三平太登場
永禄2年5月6日午前中
御坊に教えてもらった裏山に行くと藻が生えてるが、結構綺麗な沼があった。池って言ってもいいかな?そこでじゃぶじゃぶと入っていく。蓮の葉っぽいの…取ったり!あー狙ったものがあると脳汁が出るなぁ。
蓮の葉のようなジュンサイの近くをゆっくりと掬い取ると、食用となるのは葉が開く前の蕾のような芽の部分芽と茎、花のつぼみを手作業で摘み取ったものって事になる。試食用によさそうなとこだけちょっとだけいただきます。
皆はジュンサイは知ってるかな?収穫されたジュンサイは寒天状の膜に包まれていて、プリプリする歯ごたえとつるっとした食感を楽しむものなんだ。両端が尖った長い巻物状のものが葉になる前の芽の部分。茶色で丸い部分が花になる蕾の部分になるよ。それらを包み込むように透明なゼリー状の膜があるんだ。このゼリー状の部分がツルッとした食感となり、茎や芽の部分がプリプリした歯ざわりを楽しませてくれる。
試食してみないとだけど前菜はこれで行けると思う。これも日持ちはしないから食事会の前にまた取りに来なきゃだけど。
ジュンサイを籠に入れてびっしゃびしゃの不審者が村を横切る。不審過ぎて誰も話しかけてこない。俺だって他の人がそうなってたら目を逸らすさ。そうさ…。
だが捨てる神あれば救う神あり。
「おい、大丈夫だか。沼にでもはまっただか?」
そう、沼に。ええ。自分から。はい。
「あーあれだか。おまえ、海に流れ着いて、我縁坊に拾われて、傷だらけのお侍さんの命を助け、おらのおやじとタコ取りに行ったっていう。」
ひ、広まってるぅ。
「おらは吾平の息子だか。三平太っていうだよ。」
三人目だから…?とは恐ろしくて聞けなかった。Zガンダムのフォゥも自分の名前と過去にはコンプレックスを持っていた。なーいーしょっと。三平太君何やってるの?
「あさの野良仕事が終わったからちょっと散歩だか。夕方までやるごとないだか。」
あーねあーね。そこで僕は会心の笑みを浮かべた。三平太君。アナじゃこの取り方わかる?そうそう。筆が無くてさ。あ、お寺?賢いねー。一緒にどうだい?そういうことになった。
「で、あれか。筆を集りに来たのか。」
おおよそその通りでさ。隣の三平太君は完全にただ、全力で知らん顔してる。流石に通じないだろ。
「さすがに新品のは無理じゃが使い古しのなら良いぞ。」
やった!次回、三平太君とアナじゃこ釣!絶対見てくれよな!