第八話
あの世とこの世の狭間の世界。
睦月、横になっている。近くには渚が立っている。
睦月の周りを四人の見習い天使が囲っている。
渚「お目覚めですか?」
睦月「きゃぁぁあああーー!!」
渚「私は死んだ者を死後の世界に案内する水先案内人。天使の渚です!短い間ですがどうぞよろしく。綾瀬睦月さん。」
睦月「天使…?私てっきり死にが…」
渚「何か仰いました?」
睦月「…いえ。」
渚「まったく、最近ここに来る奴はどいつもこいつも私の事を死神、死神って…」
睦月「でも!どうして私の名前を?」
渚「失礼しました。実は綾瀬睦月さん。あなた、死んだんです。」
睦月「えっ…」
渚「ここに来る前、貴方何をしていましたか?」
睦月「確か…きゃぁぁああああ――――!!」
渚「落ち着いてください。」
睦月「はぁ…はぁ…はぁ。」
渚「少しは落ち着きましたか?これから貴方は私と一緒に死後の世界に行って頂きます。」
睦月「…」
渚「ですがその前に、貴方には四十九日間現世に留まり、貴方に残っている未練や恨みを払い落として頂きます。」
睦月「…どうやって?」
渚「自分が死んだ後の日常を傍観して頂きます。」
睦月「…見たくないです。」
渚「ダメです。掟ですから。」
睦月「…」
渚「…では、天使見習いという事で、私の仕事の手伝いをするというのはどうでしょう?」
見習全員「(胡散臭く)天使見習いへようこそ!」
睦月「…天使見習いって何をするんですか?」
見習1級「死者の案内です。ただし!一人だけタイムリープを許している方がいるので、その方のフォローも行います。」
睦月「タイムリープ?」
見習2級「簡単に言うと、タイムトラベルです。」
睦月「へー」
見習3級「私達はその方に呼ばれたら現れて、時間を戻すかを聞いて、指を鳴らすだけです。」
睦月「簡単ですね。」
見習4級「でしょ?しかも、普通は時間を戻されると、その人以外記憶を超越出来ないのですが、私達天使は記憶を維持することが可能です。」
睦月「なんだか良くわからないですけど、お得なんですね。…わかりました。頑張ります。」
渚「結構です。」
見習1級「よろしくな、後輩。」
見習2級「よろしくね、新人ちゃん」
見習3級「よろしく、パシリちゃん」
見習4級「よろしく、ドベ」
渚「それでは、参ります。付いてきてください。」
睦月、渚、去る。
天使見習いから弔問客へ