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第七話

居酒屋『ねずみ小僧』

睦月、つかさ、弘志、卓を囲っている。

不二子、店の仕事をしている。


つかさ「ごめんね。教育実習で疲れてるのに、呼び出して。」

睦月「ううん。大丈夫。」

弘志「本当は信太郎も誘ったんだけど、メールの返信なくってさ。」

睦月「そうなの?何で連絡がないんだろう?」

不二子「きっと、返信が出来ないほど、何かに夢中なのね。」

弘志「彼女が出来たとか。」

睦月「…」

つかさ「ぅぅおおーーーいぃーー!!何言っちゃってるのアンタ!!大丈夫だよ、ムッチャン!!」

弘志「ごっ、ごめん。」

睦月「…なっ、何言ってるの。しっ、信太朗がそんな事するはずないでしょ?」

つかさ「…そうだよね。…ねえ!アンタのせいでしょ?どうにかしなさいよ!!」

弘志「う~ん…。」

不二子「悩みなさい。若人達…。」


猫カフェ。

信太郎と結菜が猫1(『鉛の矢』が刺さっている)とジャレている。


結菜「猫抱けるようになって良かったね…。あっ、飲み物取ってくるね。何が良い?」

信太郎「何でもいいよ。悪いな。」

結菜「はーい。」


結菜。去る。


弘志「…よし!電話しよう!」

つかさ「なんで?」

弘志「電話して、確かめれば済む話だろう?」

睦月「そうね!」

つかさ「えっ!」

弘志「よし、決まりだな!」


弘志、信太郎に電話する。

信太郎、ネコ1と戯れている。電話を取る。


信太郎 「はい、もしもし。」

弘志  「あっ、信太郎?昨日何回もメールしたんだけど。」

信太郎「悪い。寝ちゃってた。」

弘志「別にいいけど。今、睦月ちゃん達と居酒屋『ねずみ小僧』で飲んでるんだけど、どう?」

信太郎 「睦月もいるのか…うーん…でも、今回はいいや。」

弘志  「そうか。」

信太郎 「じゃあ、またな。…ほら、あっち行ってろって。」

弘志  「えっ?誰かいるの?」


信太郎、電話をきる。


弘志  「信太郎?信太郎!?…ダメだ。切れちゃった。」

つかさ 「どうだった?」

弘志  「信太郎、誰かといるみたいなんだよ。」

睦月  「一人でいるんじゃないの?」

弘志  「でも、あっち行ってろって言ってた。」

つかさ 「どういう事?」

弘志  「やっぱり仲良くなった女子生徒とよろしくやってるとか?」

つかさ 「なんで女子生徒って分かるの!?」

弘志  「こう言うときは女子って決まってんだよ。」

不二子「ラブコメの王道ね。」

睦月  「…」

つかさ 「…大丈夫だよ、ムッチャン。信太郎はそんなことしないよ。」

弘志  「なんか、楽しくなってきた!師匠、こんな時、私はどうしたら…。」

不二子「もう一回かけてみましょう。」

つかさ 「不二子さんまで!!」


弘志、電話をかける。


信太郎「もしもし?」

弘志「信太郎?今、誰かといるの?」

信太郎「えっ、いないよ。」


結菜、飲み物を取ってくる。


結菜「はい。誰と電話してるの?」

信太郎「おう、サンキュー。…悪いけど、後でかけなおすわ。」

弘志「えっ、今女の子の声しなかった?」

信太郎「わるいな。」


信太郎、電話をきる。


弘志「切られちゃった。」

つかさ「信太郎、女の子といるの?」

弘志「そうみたい。」

つかさ「でも、なんで女の子と…」

不二子「決まってるでしょ。」

弘志「浮気とか?」

つかさ「馬鹿ぁぁあああーー!!」

弘志「なんで俺だけ!!」

睦月「…」

つかさ「大丈夫。信太郎はそんなことしないって!?ね?」

睦月「つかさちゃん…」

弘志「師匠、こんな時私はどうしたら?」

つかさ「私に教えられる事は全て教えたわ。あとは自分で考えなさい。」

弘志「よし!もう一回電話してみよう!」

つかさ「それしか教わってないもんね!?」

睦月「電話してどうするの?」

弘志「何してるか聞く!」

つかさ「直球ぅぅうううーーー!?」


結菜「その猫ばかり見つめてどうしたの?」

信太朗「この猫(猫4)、なんか俺と近いものを感じるんだよな…。」

結菜「そうなの?そうだ、お客さん、ほとんどいないし、ネコたくさん集めて来てあげるよ!」


結菜、猫を集めに去る。

信太郎に電話がかかってくる。


信太郎「もしもし。何度もどうした?」

弘志「お前、今なにやってんだよ。」

信太郎「えっ?…べっ、別に何も。」

弘志「本当か?」


結菜、ネコ2、ネコ3、付いて来る。ネコ3、信太郎にじゃれる。


信太郎「本当だって…あぁん…。」

弘志「えっ、変な声だしてどうした?」

信太郎「舐めるなって、くすぐったい…。わ、悪い!15…いや30分後に連絡するから!」


電話が切れる。


一同「…」

弘志「俺、焼き討ちに行ってくるわ~!!」

つかさ「焼き討ち!?焼き討ちって何!?」

不二子「弘志、落ち着きなさい!!」

弘志「すみません。師匠。ムッチャンと言うものがありながら、別の女とヤってると思ったら、意識が…」

睦月「どういう事?」

弘志「いや、よく分からないんだけど、なんか舐めるとか聞こえてきて…。」

睦月「…」

つかさ「ムッチャン、気を確かに!!」


結菜「なんか電話多いけど大丈夫?急ぎの用なんじゃ?」

信太郎「大丈夫だよ。つかさと弘志にこれから呑みに行かないかって誘われただけだよ。」

結菜「そうなんだ。…行くの?」

信太郎「いや、今日は結菜と先に約束してたから。今度にしてもらった。」

結菜「本当?ありがとう。」


つかさ「行くって言っても、場所分かるの?」

弘志「その辺は大丈夫。俺、前に名探偵専門学校に通ってたから。しばし待たれい…。」


弘志、ガラ携を取り出し設置するとその周りをおもむろに乱舞する。


つかさ「なに、その胡散臭い名前の専門学校は?」

弘志「ダメだ。大体の位置は特定できたけど、詳細な位置までは…」

つかさ「なんでわかるの!?」

弘志「師匠、どうしましょう!?」

不二子「仕方ないわね…。」


不二子、スマホを取り出し、軽く操作する。


つかさ「いやいや、見つかるはずが…」

不二子「見つけたわ。」

つかさ「はやッ!!っていうか、不二子さんって何者?」

弘志「あれ、みんな知らないの?不二子さんは俺に色々な専門学校を紹介してくれる師匠であり、前に言った東京怪盗専門学校の創始者の一人で、第48代ネズミ小僧を襲名した大怪盗なんだ。しかも、『優れた怪盗程何でも熟せる(こなせる)』と言わせる程、何でも卒なくこなせる…って何やってるの!!」

つかさ「警察に通報。」

弘志「止めてぇぇえええーーー!!」

睦月「…ねずみ小僧って、世襲制なんだ。」

不二子「それより大変よ。」

睦月「何ですか?」

不二子「これを見て。この辺りってホテル街よ!」

弘志「あっ、本当だ。あいつ、やっぱりホテルでやってるんじゃ…」

睦月「…わっ、私は信太郎を信じてる」


睦月、出ていこうとする。


つかさ「って、言っておきながらどこ行くの、ムッチャン!?」

睦月「だって!」

弘志「とりあえず、行ってみようぜ!!」

睦月「うん!」

つかさ「仕方ない。」

不二子「いってらしゃーい。」


睦月、つかさ、弘志、去る。不二子見送る。

信太郎と結菜、ネコと戯れている。


信太郎「そんなに無抵抗だとやられるぞ。」

ネコ1「世渡り上手なんです。」

信太郎「そうか…」

結菜「信太郎、猫の言葉がわかるの?」

信太郎「うん?全然。」

結菜「なにそれ。そろそろ行こっか。」

信太郎「そうだな。」


信太郎、結菜、去る。

睦月、つかさ、弘志、入る。


つかさ「地図によるとここら辺だよね?」

弘志「あっ、ここだ!やっぱりホテルだったか…」

睦月「信太郎…」

弘志「よし。俺らも入ろう!」

睦・つ「入りません。」

弘志「なんで?」

つかさ「こっちの台詞よ!大体、三人で入ったら、ホテルの人に警戒されるって!」

弘志「そうなの?」


信太郎、別の入り口から出てくる。


一同「…。あぁぁぁああああーーー―――ッ!!」

睦月「…(信太朗にビンタ。)」



睦月、出ていく。


信太郎「睦月!!」

つかさ「アンタ、こんな所で何してんの?」

弘志「やっぱりお前、女子高生とホテルに行ってたのかよ?」

信太郎「はぁ――!?」

結菜声「どうしたの?」


結菜、信太郎と同じ出口から出てくる。


弘志「女子高生じゃなくて、お姉様だったか…」

信太郎「よく状況が呑み込めないんだけど?」

弘志「だから、お前がゲスだったって話だよ。」

信太郎「汚れてないよ!?お前らが思ってるほど俺は汚れてないよ!!」

弘志「汚れてない奴が彼女いるのに、別の女の子とホテルに行くかよ!?」

信太郎「ホテルなんか行ってないって。」

つかさ「じゃあ、なんでホテルから出てくんのよ?」

信太郎「いや、俺が出てきたのはこっちだから!」

弘志「…猫カフェ!?じゃあ、この子は?」

信太郎「お前等分からないのかよ。高校までつるんでた…」

つかさ「結菜ちゃん!?」

信太郎「そう。」

結菜「皆、久しぶり!!」

信太朗「今、たまたま同じ高校で教育実習を受けてるんだ。」

つかさ「そしたらアンタ、結菜ちゃんとホテルでよろしくやってたの?」

信太郎「だから、よろしくやってねぇって!!」

弘志「でも、舐める、舐めるって!!」

信太郎「結菜が大量のネコを連れてきて、そいつらが人懐っこくって。」

弘志「地図はここを示してるし!」

信太郎「ちょっと待て。少しずれてないか?」

結菜「本当だ。拡大すると余計にズレてる。これ隣の猫カフェのビルね。」

弘志「えっと…。いやぁ、浮気とかじゃなくて良かった。これにて一件落着。」

一同「弘志!!」

弘志「ごめんなさぁぁああーーい」

つかさ「うわっ、どうしよ。アンタが女子高生とホテルでよろしくやってるって言うから。」

弘志「なんだよっ!!全部俺のせいだっていうのかよ!!」

つかさ「全部とは言ってないけど…。」

弘志「だいたい、信太郎が変な声だすから」

信太郎「だから、あれは猫が…。って、俺のせいかよっ!!」

結菜「ちょっと落ち着いて!」

結菜つかさ「そんなことより、あっ、そうだ。睦月ちゃん、追わないとなくていいの!!」

信太郎「そうだった…。ちょっと待てよ。」


信太郎、つかさ、弘志、結菜、睦月を追って去る。

繁華街から公園へ。睦月、足早にやってくる。それを追って信太郎走ってくる。


信太郎「待てって…。」

睦月「放して!(腕を振り解く)きゃっ…」


睦月、去る。車のブレーキ音と衝突音。

つかさ、弘志、結菜、やってくる。


つかさ「信太郎、ムッチャン?」

信太郎「…睦月。むつきぃぃいいいーーーー!」


暗転。


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