第六話
高校。チャイムの音が鳴っている。
教室にいるのは、生徒1、生徒2、熊谷。
野村、睦月、教室にやってくる。
野村「何か綾瀬先生に質問ありますか?」
生徒1「先生、彼氏とかいるんですか?」
睦月「いないかな。」
生徒2「えー。嘘だー!」
睦月「本当です。」
生徒1「じゃあ、俺、先生の彼氏に立候補しまーす!」
睦月「えっ?」
生徒2「私も!」
睦月「えっ?」
野村「私も!」
睦月「えっ…と(ちょっと引く」)」
野村「ゴホン、…熊谷さん。綾瀬先生を困らせないの。」
熊谷「私は何も…」
野村「他に質問ありますか?」
生徒1「じゃあ、好みのタイプは?」
睦月「秘密です。」
生・野「えぇー!!」
生徒2「じゃあ、女の子は好きですか?」
野村「よく聞いた!」
睦月「(ドン引き)」
野村「だから、綾瀬先生を困らせないの。」
生徒1「困らせてるのは先生でーす。」
野村「ちょっと何を言ってるか分かりませんが、質問はもうありませんね。綾瀬先生、ありがとうございました。(何故か握手を求める)」
睦月「…いえ。気軽に何でも相談してくださいね。三週間、お世話になります。」
野村「じゃあ、授業始めますよ。」
高橋、信太朗、教室にやってくる。
教室にいるのは、生徒3、生徒4.
信太郎「本日より3週間、皆と一緒に勉強させて頂く望月信太郎です。よろしくお願いします。」
高橋「望月センセイ(笑)に何か聞きたいことはあるか?」
生徒達「…」
高橋「はい。終了。」
信太郎「ちょっと待ったぁぁあああ!えっ、何かしらあるでしょ?」
生徒3「じゃあ…。元気ですか?」
信太郎「はい。元気です。」
高橋「はい。終了。」
信太郎「だからぁぁあああ!元気ですか?って英語の授業じゃないんだから。ほら、もっとこうあるでしょ?彼女いるんですか?とか。」
生徒4「じゃ、それで。」
信太郎「それって言っちゃった。ちゃんと聞いてほしいな…。」
高橋「めんどくせー奴だな。」
生徒3「先生は彼女とかいるんですか?」
信太郎「出たな、古典的な質問。いません。」
生徒4「やっぱり。」
信太郎「やっぱりってなんだ!」
高橋「はい。本当の本当に終了。」
信太郎「えっ、もう!?」
チャイムがなる。
高橋「はい。朝会も終了。おい、日直、号令。」
生1・3「きりーつ、れい、かいさん」
先生と生徒達、去る。
休み時間。結菜がやってくる。
結菜「朝会どうだった?」
睦月「私はまあまあだったよ。…ちょっと気持ち悪かったけど。」
信太郎「なんだよ。気持ち悪かったって。俺はもう最悪。初日から容赦なし。」
結菜「それはあんたが悪いんでしょ?」
チャイムがなる。
先生、生徒達、帰ってくる。
睦月「とにかく次の授業も頑張ろう!」
結菜、去る。
信太郎と睦月の授業。
睦月「それでは戦争に負けた日本はどのように変わっていったのでしょうか?ここで押さえるべきポイントは三つです。一つ目は占領統治下の諸改革、二つ目が日本国憲法、最後が占領政策の転換です。」
生徒1「おぉー、野村の授業より分かりやすい。」
睦月「ふふ、ありがとう。」
野村「全くですね。今度個人的に教えてくれませんか。」
睦月「(ドン引き)。…熊谷さん、顔色悪いけど大丈夫?」
熊谷「えっ、はい。」
睦月「そう。辛かったら言ってね。では、一つ目から見ていきましょう。戦争に負けた日本初の内閣、それが東久邇宮稔彦内閣です。その内閣の基…」
高橋、信太郎に向かって紙屑を投げている。
信太郎「国体護持…と。戦争終結前最後の内閣では国体護持、天皇を中心とした政体を重視し、戦後最初の内閣、東久邇宮稔彦内閣…(黒板に書く)。あれ?」
高橋「(紙屑を信太郎に向けて投げる)」
信太郎「(投げつけられた紙屑を一つ拾って)…これを投げたのは誰ですか?」
生徒達「…」
信太郎「怒りませんから。正直に名乗り出てください。」
生徒3「先生。私たちじゃないよ。」
信太郎「じゃあ、誰?」
高橋「私だよ。」
生徒・信「…」
高橋「なに?何か言いたいことがあるのか?」
信太郎「…こういうのは良くないと思います。」
高橋「開けてみな。」
信太郎「え?」
高橋「その紙を開けてみな。あんたが板書で間違えた漢字や、ひらがなで書いた漢字。」
信太郎「…」
高橋「せっかく助けてやろうと思ったのに。ちょっと職員室に来い…。」
信太郎「…はい。」
信太郎、高橋、生徒達、去る
信太郎、高橋の説教から解放され現れる。
待っていたかの様に結菜現れる。
結菜「やっと出てきた。大変だったね…」
信太郎「ん?仕方ないよ。俺が八割位悪いんだから」
結菜「残りの二割は?」
信太郎「高橋のいびり。」
結菜「(笑い)。…変わらないね、あんたは。」
信太郎「そうか?」
結菜「うん。変わらない。良いところも悪いところも。」
信太郎「悪かったな。治ってなくって。…はぁ。それにしても、やっと1週間が終わったー!」
結菜「そうだ。明日気晴らしに遊びに行かない?」
信太郎「おっ、いいね!睦月とかも誘うか!!」
結菜「…二人がいいな」
信太郎「あっと…わかった。」
結菜「…じゃあ、明日10時に駅前集合ね。」
信太郎「…おう。」
結菜、去る。
ゲーム機の電源が入り、渚と天使見習いが現れる。どこともいえぬ場所。
渚「あなたの人生を変えるゲーム、これまでの人生をセーブしますか?しませんか?」
信太郎「久しぶりに現れたな。」
渚「…順調そうで良かったですね。」
信太郎「順調なもんかよ。毎日、怒られてばかりだよ。」
渚「でも、これからデートですよね?」
信太郎「んぐっ!!」
渚「良いですね。羨ましいですね。私が現世に干渉できたら、即恋人にチクってやるんですが。あっ、そう言えば、今まで貯めた徳を使えば現世に干渉したり出来るん…」
信太郎「望月信太郎、これまでの人生をセーブします!!」
渚「あっ、忘れてました。それでは、望月信太郎に神の御加護があ。」
信太朗「略した!!」
渚、去る。どことも言えぬ場所から、繁華街に変わる。
信太郎「はあ…。どっと疲れが…。」
結菜「お待たせーー!…どうかしたの?」
信太郎「いや。で、今日どこ行く?」
結菜「ネコカフェに行きたい。」
信太朗「おっ、イイネ。俺、ネコ初めてなんだよな。」
信太郎、結菜、去る。