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第二話

あの世とこの世の狭間の世界。

信太郎、横になっている。近くには渚が立っている。

信太朗の周りを四人の見習い天使が囲っている。

(見習い天使にも等級がある。1級が高く、4級が低い)


渚「お目覚めですか?」

信太郎「うわぁーー!!…あんた、誰?」

渚「私は死んだ者を死後の世界に案内する水先案内人。天使の渚です!」

信太郎 「死神の間違いじゃないの?」

渚「はい、地獄行き決定…と。」

信太郎 「嘘!嘘です!!…全身黒いスーツ姿だったから、死神かと思ったよ。」

渚「はい、地獄行き決定…と。」

信太郎 「ワンモア・チャンス・プリーズ!!」

渚「死神なんかと一緒にしないで下さい。私はこの仕事に誇りと夢を持っているんですから。」

信太郎「誇りと夢?」

渚「はい。私には人間に転生するという夢があるんです。それを叶える為に私は今日まで誇りをもって、天使の仕事を全うし、徳を積み重ねてきました。」

信太郎「はあ…。」

渚「…では、本題に入らせて頂きます。」

信太郎「本題?」

渚「貴方、交通事故に合われて死んだんです。」

信太朗「えっ…?あっ!!いたたたたぁぁぁぁあああああ……くない。どういう事?」

渚「思念体ですから、痛みはありません。話を戻しますが、実は貴方、まだ死ぬ予定では無かったのです。」

信太郎「さっき、地獄に落とされそうになったのに?」

渚「貴方が死ぬのはあと五十年後…。それがちょっとした手違いがありまして。」

信太郎「手違いってなんだよ?」

渚「…『金の矢と鉛の矢』って話をご存知ですか?」

信太郎「いや。」

渚「天使が持つ矢には二種類存在します。一つが刺さった者に少しの幸せを呼び寄せる『金の矢』。もう一つが、刺さった者に不幸を呼び寄せる『鉛の矢』。これを見て下さい。」

信太朗「これは?」

渚「おめでとうございます。あなたにはその『鉛の矢』が少し前から刺っております。」

信太郎「ちょっと待て!もしかして、俺のプロポーズが保留にされたり、交通事故にあったのって…。」

渚「…」

二人「(笑いあう。)」

信太郎「人の一世一代のプロポーズを何だとおもっとんじゃーー!!」

渚「ごめんなさぁぁぁあああい!!」

信太郎「ごめんですむかぁぁあああ!!」

渚「…そこでですね。貴方にプレゼントがあります。」

信太郎「そんなんで許してもらえると思っとんのか!?」

渚「(見習い天使がゲーム機を取り)トゥッ、トゥルー!これは貴方の運命を決めるゲーム機です。」

信太郎「バカにしてんの!?」

渚「嘘ではありません。まぁ、決めると言っても、まだ何もセーブされておりませんので、今はやり直す事はできません。ですが、貴方は一つだけ選ぶことが出来ます。『生きる』か、『死ぬ』かです。(天使見習い達が『最初からはじめる』と『ゲームをやめる』のパネルを出す)」

信太郎「極端!!」

渚「先程も言いましたが、貴方は現在仮死状態です。生きる事も、死ぬことも可能です。あなたが『最初からはじめる』を選択すれば、病院のベッドで貴方は目を覚まします。逆に『ゲームをやめる』を選択すれば、そっと息を引きとります。ではあと10秒のうちに選択して下さい。」

見習1級「十…(以後、見習い天使がカウントする)」

信太郎「えっ、そんな急に!」

渚「ゲームのコンティニュー時間は10秒と決まっています。」

信太郎「えっ!!」

見習2級「三…」

信太郎「生き返る!!望月信太郎、『最初からゲームをはじめます』!!」

渚「…この先沢山の辛い事が待ち受けていたとしても?」

信太郎「それでも、生き返るチャンスがあるのに生き返らない奴はいないだろ。」

渚「…わかりました。では、ゲームの説明をさせて頂きます。」

信太郎「ああ。」

渚「現世に戻る際、貴方にこのゲーム機をお貸し致します。これを持っているとセーブポイントが現れ、そのセーブポイントで貴方は、今までの人生をセーブするか、しないかを選択できます。ただしセーブをする際は気を付けて下さい。メモリには一つの未来しかセーブ出来ません。」

信太郎「じゃあ、セーブしなければいいんじゃ?」

渚「それもダメです。セーブデータは1週間しか保持できません。1週間が過ぎてしまうと、『ゲームをやめる』しか選択出来なくなります。ということは…」

信太郎「死ぬの!?」

渚「それはもう苦しんで!!」

信太郎「マジで!?」

渚「マジです!ですので、小まめなセーブをオススメします。最後に、掛け声の説明です。『続きからはじめる』場合は、ゲーム機の電源を入れながら大きな声で」

見習1級「『チェーンジ・マイ・ライフ』」

渚「と叫んでください。」

信太郎「えっ?」

渚「『最初からはじめる』場合は」

見習2級「『ツベルクリンハンノーゥ』。」

渚「『ゲームをやめる』場合は」

見習3級「『ウィンドブレイカー』。」

渚「以上でゲームの説明は終了です。」

信太郎「ちょっと待ったぁーーーッ!」

渚「はい。望月さん。」

信太郎「おかしいでしょ、最後の二つ!言い方だけで、物凄く聞いたことがある単語でしたけど!!」

渚「叫ぶ言葉なんてなんだっていいのです。ですので、ヒーローの必殺技の名前っぽい単語にしてみました。」

信太郎「イヤァァぁあーー!」

渚「他にも」

見習4級「『イヤホンジャァァァクッ!』」

渚「とか考えたんですけど…」

信太郎「もう。さっきので良いです。」

渚「他にはございませんか?」

信太郎「要はこのゲーム機を持って生活して、現れるセーブポイントでセーブして、やり直したくなったらゲームを起動すればいいんでしょ?」

渚「そうです。大丈夫そうですね。ちなみに同じセーブポイントから始められるのは2回までです。それでは…」

信太郎「ウェイト・ア・ミニッツぅぅううう―――!!えっ、回数があるの?」

渚「はい。2回までやり直せます。2回以上やり直そうとすると、選ぶことが出来るのは、『ゲームをやめる』のみとなります。」

信太郎「大事な事をしれっと…」

渚「では、最後にもう一度だけ聞きます。」

信太郎「…」

渚「あなたの運命を決めるゲーム。はじめますか?それともやめますか?」

信太郎「はじめてくれ。」

渚「それでは望月信太郎に神のご加護があらんことを。」


見習1級、指をはじく。渚、見習い天使、去る。

オープニング。

暗転


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