ファイブ(V)入団
入学式が終わってからの学校帰り、俺は先日、入院中に渡された戦闘部隊チームVの入団案内の紙を辿ってとても古びた建物にやって来た。
見かけは古く年期の入った建物だが、きっとここで間違えのない確証が得られた。
その理由は…Vの隊長殿と見受けられる人がヤケにソワソワして後ろ約数10mの距離感を保ちながら今か今かと俺が建物の中に入るのを心待ちにしている様子だったからだ。
それに来る途中で罠かなんかをほかの隊員達にも仕掛けられたことだし。
地味に嫌がるものをチマチマとやられた。
例えば雨の時に起きる車が水をはねる音。そしてそれを被せようとしたり(避けたけど)、
おばあちゃんに変装して有り得ないほどの体重をかけておんぶさせたり、
とにかく地味に嫌なことを繰り返しされた。
そして、やっと着いたのがここの建物。
新入りいじりとかあったりするのか?と少々心配ではあったが、
その心配は不要だった。
建物地下3F、ここがチームVのチームフロア。
この建物には他のチームも住んでいるらしいが、今日は誰とも会わなかった。
この地下3Fに来るまでは。
3Fの大きな中心と言える大部屋のドアを開けると
急に鳴り響くクラッカーの音と、パイ投げならぬシュークリーム投げで俺は顔がべっちょり。
そして『主役です』と書かれたタスキを着せられた。
この状態をどう表したらいいのだろうか?
俺は几帳面で綺麗好きな性格を受け継ぐ程のものではないが、初対面でこれはないだろう?と
周りの空気読まずしてしまい
『えっ?地鳴り?』
この、折角開いてくれたものを台無しにしてしまった。
ロマ『気を取り直して皆に紹介しよう!彼は新たなるこのVに入団することになった月雛ルト君だ!』
ルト『どうも……月雛ルトです……』
ロマ『ルト君。俺の名はロマ=ゼルスティだ。あと……こちらから―――』
ロマさんに団員を紹介された。Vではない団員の人たちもいたが、この建物に住む人たちは基本的にはみな、仲がよかった。
ロマさんはガタイが大きく厳ついイメージがあったが、以外と優しくていい人だった。
ロマ『これから宜しくな。ルト』
ルト『こちらこそ宜しくお願いしますロマさん……。』
ロマ『ロマさん……なんかいいな!それ』
ロマさんは『団長』とばかり呼ばれていた為に新鮮味があったらしく呼び方を変えずそのままロマさんと呼んでいいと喜んでいた。
ロマ『親近感があっていいじゃないか!』
ルト『そうなんですか?』
ロマ『あぁ、そうだ!なんならルト君のも……』
ルト『結構です。』