パーフェクト・スペース
逆らえば自身が死ぬ。
その恐れによって既に無能力者から特殊異能者となった今でも怖くて逆らえない。
嫌なのにどうしようもなく死を恐れず立ち向かうことが出来ない自分に腹が立つ。
俺の頭の中は既にパンク状態だった。
『彼はパートナーだ。』
奴は軽々と嘘を玲央たちに付いた。これを玲央たちが信じてしまったら破滅的、俺は完全に終わる。
しかし、世の中そんなに捨てたものでもなかった。
何時も俺を見下していたと見られるミハルが意外な行動をとったのだ。
『ルト……オ……イデ』
片言ではあったが勇気ある行動だった。
なんせ、彼に対抗するという意でもあるものだった。
『お嬢さん、死にたくなかったらそんな無意味な事をしない方が身のためだよ。失せな』
やめてくれ。そう思う半面、俺はミハルの勇気ある行動に心が少し救われた気がした。
『ルト……こんな奴に負けてんじゃないわよ。それでもあんた男?モタモタしてんじゃないわよ。』
言葉は少々、ガサツではあったが、
とても嬉しかったのは事実だった。男は女には叶わない、それは伊達では無かった。
そうしている間にミハルに腹を立てた彼は
『お嬢さん、残念だ。君みたいな子を殺すなんて。だから、せめて君の美しい瞳をルトにつけてあげようとするか。ルト待ってろ……今すぐにお前に目をやる。』
俺の目をまた、弄られる。
そう考えただけで、身体が凍りつく。激しい痛みと燃えるような熱さが俺を襲うからだ。
そして、今の俺の目は原型を留めておらず、
これは元の俺の目ではなく、彼が他人から奪い取った他人の目。
俺の目は特区に金にして売買されて、世をさまよい今はどこにあるかすらわからない。
『お前の目、意外と高値で売れたよ』
コレクターたちに売り飛ばしてざっと数百万で売りとばした。
龍の目と嘘の肩書きをつけて。
『ドカーンっと一発やっちまうか!』
その言葉と同時にミハルは爆発の音に見舞われる。
かろうじて俺が『ミハル!』と叫びあげたその途端……、
彼は残念そうに顔を歪めていた。
『無傷かよ……テメェ……見る限りではAランク異能力者か。厄介な奴だなぁ…おぃ。』
ミハル『【絶対防御空間】これが、破られない限り、私は倒せない。残念だったわね。』
『……なら、操るまでだ。ルトのようにな。』
しかし、それもミハルの絶対防御空間の力によって回避された。
ある意味、防御に至ってはミハルは最強といえた。
絶対防御空間は相手の効果的攻撃を遮断し受けない。
受けるとしたら、物理的攻撃のみ。
つまりは、ミハルは物理的攻撃のみを避ければ相手の攻撃を受けることは無いということだ。
『ルト……今、助けるから大人しくしてなさいよ!』
女だからとか関係ない、
そのときのミハルはとても、強くてかっこよくみえた。