甘い考え
父は有能な科学者だ。その名はたくさんの人に知れ渡っている。
しかし、そんな父も俺の事は気に食わないようだった。
所詮科学者。
異能力を持つ者が全て。
父もそのうちのひとり。父は俺とは違って異能力者だった。
そんな父も息子の自慢をしたいのか、無能力者と見られたくはないからと俺を無能力者と見られないように励んでいた。
例として、俺に毒が効かないのは父の実験体となり成功したからである。
だが、そんな父と俺は最近は互いに嫌悪感を抱き別々に暮らしている。
無能力者ということがどんなに不利益でしかなく、誇れない羞恥心的な事なのかはわかっている。
だからといって、俺は引き下がる気なんて更々なかった。
だから、ずっと学校を休みっぱなしで、ひとり自分の穴蔵に居座り認められるように劣らぬように、
無能力者でも異能力者には負けないところを見せるために、力を蓄え付けた。
そんなある日、俺の場所は横取りされかけた。
異能力者の軍団に。
『てめぇ……いたい思いしたくなかったらさっさとここを出ていきな!』
如何にも悪っぽい喋り方。
金髪に染めて軽く浮遊している。
それが、多数。
彼らは皆、異能力を与えられた者達ということがすぐ分かった
そして、俺はこんなヤツらに負けることはないということも。
『やっちまえ!』
その声と同時に相手がかかってくる。
しかし、やられたのは俺ではなく返り討ちにあった悪共。
だが、その後予想もしないことが起きた。
『テメェら……何勝手にこんなガキ相手にやられてんだよ!俺様が舐められっちまうだろうがよ。』
『すっすんません……』
ペコペコと頭を下げる手下たち。
そして頭領とみえる男はとてつもなく危険な奴だった。
『ダークブールの目に見るからに無能力者だな。細身でも鍛えられたその体はフェイクってとこか。』
その男には全てお見通しであった。
そして彼には俺は叶うはずもなく負けた。
『ちょうど、先日コレクション達を逃がしてしまったんだよな。ちょうど良いな。今日からお前が俺様のコレクションだ。わかったな?』