癒しの女神様
幾ら、何人、何体……、どれだけの者達を僕は殺せば許されるのだろうか?
最初は怖くて殺すことが出来なかったのに
今となっては命惜しまず簡単に殺すことができる。そう、僕は【暗殺者】に成り下がってしまった。正義を掲げる戦闘部隊は表の顔。裏の僕は人を殺す、世を脅かす悪人だ。
いつ、殺されても可笑しくない。
まだ、異能力を持ってない頃の無能力者だった頃の僕のままだったらどうだろう?
弱みを握られて反抗出来ないから人を殺す。そんなの間違っている。あの頃の僕に怒られてしまうだろうか?
人を殺すのを重ねるたびに僕は血塗られた体と共に闇へ闇へと落ちてゆく。
目を閉じれば殺した時の人の叫び声。『バケモノ』『やめろ!』
たくさんの入り混じった混沌の世界で僕は未ださまよってる。
ロマ『ルト……久しぶりの任務だが大丈夫か?』
ルト『はい。問題無いです』
そんな時に僕は出会った。女神みたいな麗しい彼女に。
ナノハ『貴方がルトさんですか?救護班のナノハと申します。今日はルトさんのサポートとして同行を…………ルトさん?』
一目惚れだった。ふんわりとしたオーラを身にまとい優しく笑うと癒される。本当に『女神』では?と勘違いするほどの美しい人だった。
いままでずっとひとりって思い込んで苦しくてたくさんの人を殺した僕は彼女を見た瞬間、自然と涙が出てしまった。
ナノハ『どうされました?何か悲しい事ありましたか?ご相談にのりますよ?』
対応も神のようだった。ずっとこの人と一緒に居たい……そう思って僕はその日を始めに射止めるために彼女と居る時間を長くするために何時も以上に励んだ。
ナノハ『ルトさんはお優しいですね。私は何時もひとりでご飯を食べていたのですが、一緒に誰かと食べるとこんなにも楽しくて美味しく感じるのですね。』
ルト『そっそうだね………///』
ナノハ『私の異能力は異常状態を吸収する力なので、ルトさんが擦り傷を付けてしまっても毒や麻痺・痙攣状態とかでは無い限り使えないので何時も申し訳ないです。』
ルト『そっそんなことはないよ。何時も応急処置もしてくれるし痛みを和らげてくれるし助かって……』
ナノハ『痛みを消すことが出来ても血は止まらないし使いすぎたら相手が痛みを感じることが出来ない体になってしまうデメリットがあるから怖いです…。ルトさんお体は変わりないですか?何時も任務から帰ってきたら怪我してるから心配です。学校帰りもですが。』
ルト『大丈夫だよ。僕にはナノハさんが付いているから!』
ナノハ『私がいると言っても怪我は駄目ですよ?人間の体はとても繊細なのですから。』
ルト『うん。ナノハさんありがとう。』
ナノハ『いえ。ルトさんが健康であるのが私は嬉しいのです』
ルト『…………』
ナノハ『どうかしましたか?』
ルト『……えっと……ナノハさん……その―――――――――――――』
ナノハさんと知り合って3ヶ月。僕は勇気を振り絞って彼女に告白をした。そして、僕は晴れてリア充となった。




