始まり
能力こそが全てだ。
無能力者は何も出来ない。
出来損ないだ……。
この恵まれない俺に、
チカラを施してくれた貴女さえも俺は守れない。
俺が生まれて来なければ貴方は死なないですんだかもしれないのに……。
夜の暗雲の空から降り注ぐ雨にうたれながら俺は目の前にある死体。
実の母親を見つめ続ける。
守れなかった……。
母を……。
能力が全てなんだ。
無能力者は何をする事も出来ないんだ。
母を狙う悪の組織から守れたかもしれなかったのに……。
『ごめんなさい…………ごめんなさい…………母さん……』
例え、俺の躰が有毒物質無効な体質であっても、
その力で、
誰かを守ることなんて出来ない。
これが運命だったのだろうか……。
これが……俺の運命だったのか?
これは避けられない事だったのか……?
いや……
そんな訳……無い。
『母さん……待ってて……。俺が必ず、母さんを……』
それが数年前の話……。
それから、何年か経って俺は中学3年生になっていた。
後、数ヶ月もすれば卒業する俺は日々ら無能力者ながら、研究を重ねた。
無能力者だから、
やっぱり差別されて、それは避けられ無かった
だけど、そんなちっぽけな事は関係なかった。
俺の頭の中にあるのは……
"母さんを――――――――――事だ"
そして、今日も、それに向けて熱闘する。
そんな時、何処かで聞いたことのある声がした。
『……ルト……?』