森
新章突入です。
この章は通過点みたいなものなので早めに終わると思います。
人里まではもう少しかかりそう……
それでは、どうぞ!
【転移】特有の光が収まると、そこは見渡す限りの『白』であった。
(……ん?なんか下から風が吹いてる?それに、なんか濡れる……?)
体制を変えようとするが、思うように変えることができない。
「……あれ?どうなって──」
そうしてしばらくもがいていると、周りの『白』が晴れる。
下を見れば視界いっぱいの大きな森に、外側に少し見える平原。
「まず……い、落ち、てる?」
周りに比較する物が無く、わかりずらいがかなりの速度で落ちているようだ。
落ちながら上を見れば、そこには空を覆う雲が見える。
「なるほど、あの雲の中に、飛ばされた、と……【重力眼】!」
片目を瞑り、開くと虹彩の色がオレンジ色に変わると共に、少しだけ落下速度が減速するが──
「──あ、無理っぽい」
さすがに加速した勢いを殺し切ることはできず、そのまま落ち続ける。
「──『弱下方減速術式、1から縦列に225番まで展開』」
落下している軌道上に【魔法陣】が縦一列に展開され、そのひとつひとつを通過するたびに減速され、最後の【魔法陣】を抜けた時には【重力眼】のみで空中に浮けるくらいにまでなっていた。
「ごめんごめん、少し遅くなった」
「ん、間に合ったから、いい」
【白銀刃翼】で飛ぶレイが謝罪すると、完結に答え、二人で地に足を着ける。
「はぁ、全く。あんなところに飛ばさなくてもいいのに……次会ったらお仕置きだね」
「ん、わたしも」
──こうして、『光神』リムはお仕置きされることが確定したのであった。
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「……で、ここはどこ?」
「……森だね」
「うん、それは見れば、わかる」
「……それはそうか。さて、どうしたものか」
「わたしも、こんな所に飛ばすなんて、思っていなかったから。確認して無かった」
「でも、こんなに森が広いところなんて、限られてくるハズ……」
「大気中の『魔力』からして、ここは『魔大陸』じゃないね」
二人は歩きながら議論する。
「……ああ、『迷いの森』か」
「『迷いの森』?」
「ああ、こっちの大陸にある場所でね。何故か奥まで潜ろうとすると途中で道に迷い、三日間歩き回った末に何故か外に出れるという言い伝えでがあってね……」
「……?それなら、このまま進めば、出られるんじゃあ……」
レイの話に疑問に思ったイリスが問いかける。
「……いや、これは噂なんだけどね?どうやってか知らないが奥まで行ったと思われる冒険者はいたんだけど……その人、未だに見つかっていないらしいんだよね」
ポツリポツリと、雨が降り始め、雷が鳴り始める。
「……へ?つまり──」
「未だにその森の中をさ迷っていて、迷った人間を襲っているっていう噂があるんだ。現に、見たことかある人もいたらしい──」
ビシャァァアアアン!
雷がどこかに落ちたのか、轟音が鳴り響いた。
「ひぃっ……」
それにイリスが息を飲み──
「はーい、いい演出だったよ。ご苦労さま」
そう言ってパンパンと手を二回叩く。
『『『わぁぁあああ!?』』』
雲が霧散するとともに、そんな声が聞こえてきた。
『あれれ?見つかっちゃった?』
『なんでかな?かな?』
声とともに水色や緑、黄色などの球体が現れ、浮遊する。
「これは……『準精霊』?」
「……音に魔力を乗せて【魔法】を妨害する。思ったよりもいい出来だね。さしずめ【魔法妨害】と言ったところか……速度を変えて一点で重なるようにすればもっと大きなチカラも生み出せそうだ」
イリスが珍しそうな声を上げながら手でそっと触れる。
いや、実際珍しいのだ。
とはいえ自然が多いところならば希に見かけることもあるのだが、何せイリスには過去の記憶が無いのだから、見るのは初めてである。
「……『精霊』ね。識ってはいたけど見るとまた面白いものだね。やっぱり『知識』でしか無い、という事か」
そんなことを言いながら、レイもそっと触れる。
『わぁ、このヒト魔力が純粋だよ』
『混じり気が無いね。綺麗だね』
「……『精霊』も魔力、見えるの?」
『見えるよ。でも、このヒトのは見えないの』
『でも、感じるの。透き通ってるの』
イリスの疑問に精霊達が答える。
「まあ、その話は一旦置いておいて……君たちココがどこかわかる?」
『んー、わかんなーい』
『僕達生まれた時からここにいるもんねー』
『あっ、でも王様たちなら知ってるんじゃない?』
「……王様?」
『そう、王様』
『連れてってあげようか?』
『魔力をくれたら連れてってあげる』
「魔力か……」
それを聞いたレイが手から無色の魔力を出す。
『わー、すっごい!』
『んー、綺麗な【無属性】!』
『【属性】が有ったら、かんぺきなのになー』
「ああ、そっか。ならこれでどう?」
そう言って、三本の指から、『青』『緑』『黄』──それぞれ【水】【風】【光】の【属性】の魔力を放出した。
すると、さっきとは比べ物にならない速度で精霊達が飛びついた。
『わっ!すごい!』
『純粋な【属性】だ!』
『王さまより純粋かも……ん?あれれ?』
指にまでかじり付いていた精霊達が突然、明滅し始めた。
「おや?精霊たちのようすが……」
「ん、ホントだ。何かしたの?」
「いや、何もして無いよ。……ああ、そうか。このネタは通じないよね」
地味にボケたのに通じないことに落ち込むレイであったが、そんなことはお構い無しに精霊達は明滅を繰り返し、最後に強く輝き──
『せい、ちょう!』
『なんと精霊達は』
『下位精霊にしんかした!』
──光の中から、小さな人形が現れた。
「精霊の、成長?」
「そうだね。魔力をたくさん食べたからね。こんなふう……にっ!」
レイが腕を振るうと、何も無かったハズの空中に色とりどりの光が浮かび始めた。
「キレイ、だけど……なに、これ」
「目に見えないくらいに弱い『微精霊』に魔力をあげたんだ。『準精霊』にはなったばかりだから『念話』さえできないだろうけどね。それで、連れて行ってくれるのかな?」
『もっちろん!』
『早く王さまに報告したいな、したいな』
『成長したからわかるけど、そっちの女の子。『光神』サマの加護を感じるね』
『連れて行こう、連れて行こう』
『付いてきてね!』
そう言って空を飛んでいく精霊を二人は追いかける。
『まあ、そんなこと言ってもスグなんだけどね』
『ここから下に行くの』
ある程度高度が上がったところで精霊達は止まり、そう言って下へと急降下していく。
「……どうするの?」
「まあ、行ってから決めようか。その『王サマ』とやらの話も聞いておきたいし、調べたいこともあるからね」
そんなやり取りをした後に二人も遅れて降下する。
──すると、目の前の光景が一瞬歪み、大きな木を中心として木がまばらになり、少しした家などがある場所が見えた。
──そして、その大きな木は目の前にあり、元の世界で言うところのビル並の大きさの木であった。
「すごい、大きい」
「──あれは……そうか、アレが……」
『着いたよー』
『あの木、大きいよね』
『……あ、水の王様だ』
「よくここまで来ました。ようこそ『精霊の森』へ。光のチカラを授かりし者よ──って、あら?何故あなた達が成長して……と言うより、これはどういった状況です?」
後から来た青い髪の女性が、突如成長した元『準精霊』と何故か『微精霊』が大量発生しているという混沌とした状況を理解できずに混乱していた。




