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勇者said:幻影は彼らに新たな武具を、そして彼らは帰還する。

少しばかり投稿ペースを上げていきたいと思っている今日この頃です。


今回は、違和感を盛大に感じてください。


それでは、どうぞ

レイのものと思われる家を見つけ、さらに地下へと降りたそこには──



「どこかで見たことのある光景だね」


──台座に突き刺さる、柄が黒い剣があった。



「……なんか、こういう剣は台座に刺さっていないといけないものなのか?」


「……さあ?」


隆静の言葉に鈴が返すが、その会話中も二人は目の前の剣から目線を外さない。


絵は黒で中心には赤い宝玉のようなものが埋め込まれており、刀身は銀の直剣だ。


「コウキ、『鑑定』は?」


「ダメです。既に試しましたが通りません」



そう言いながら、一歩前に進んだ。



──その時だった。



「うわっ!?」


「な、何だ!?」


目を開けていられないほどの閃光が、辺りを埋め尽くす。


そして、その光が収まった先には──


「よくぞここまで辿り着きましたね。勇者たちよ」



「……は?」


「ん?」


「──え?」




「どうしたのさ?そんな存在しない存在でも見たような顔して」



──見覚えのある、いつかの零刀の姿があった。



「「「レイ(くん)(ちゃん)!!?」」」



「さて、久しぶり……いや、この場合は『初めまして』かな?」


驚く一同を他所に、話を進める。


「いや、待ってくれ!レイ、今までどこに──」


「その質問には答えられないかな」


光輝の言葉を遮って言う。


「なっ、どうして──」


「ああ、どうしてって言うのは本来ここに居ないから、かな。今ここにいる僕はまあ、『ホログラム』みたいなものでプログラムされたこと以外は話すことはできない──というか、言ってしまえばただの映像みたいなものだからね」


「……なら、今はどこに?」


「だから、質問には答えられないんだけど……まあ、疑問に思っているだろうことは今から伝えるから、聞いてね」


そして、少しの間を置き



「今君たちがこれを聞いている頃には、僕はもういないでしょう」



そう言い放った。


「……それって、まさか」


「ああ、死んではないからね?そこは安心していいよ。とりあえず、この迷宮の中には居ないからねってことだから」


そう言うと、皆が安心したように一息つく。


「驚かせないでよ」


「ははは、ごめんね。とりあえず生存報告はこれで終わり。今日はみんなにプレゼントがあるんだ」


そう言って一歩、横にズレる。


「光輝はどうせ『聖剣』とか手に入れてるだろうから鎧とかも考えてみたんだけど……なんか防御系の能力も使えるようになってそうだからさ、『剣』にしてみたんだ。銘は──シンプルに『魔剣』。さぁ、抜いてみて」


光輝が一歩歩み寄り、その『魔剣』を引き抜く。



「うわっ!?」



瞬間、黒い光が溢れ、光輝を包み込む。



「コウキ!?大丈夫か!?」


「え、ええ。異常はなにも……」


「──光に焦ってるかもしれないけど、それただの演出だから何も無いよ」


「「「無いのかいっ!」」」


「ナイスツッコミ。まあ、とりあえず『鑑定』してみて。最初は見えなかったかもしれないけど今なら見れるハズだよ」


「……『鑑定』」


------------------------------

魔剣


別名『魔を断つ魔剣』『魔明しの剣』


『魔を断つ魔剣』

魔剣でありながら『魔』に関連する事象を切り裂き、断ち切ることができる。

【魔法】そのものを斬ることもでき、さらには『魔力』のみを斬ることもできる。


『魔明しの剣』

『魔』を明かし、対象の情報を明かすチカラが増す。

技能スキル』、『鑑定』のLvを強制的に引き上げる。

さらに『隠蔽』を突破する『看破』を付与する。


------------------------------



「そこそこに自信作だよ」


「いや……『聖剣』並みに大変な性能なんだけど……」


「さて、次に行こうか」


光輝の話しを無視して次に進める。

とはいえ、本人?は『プログラム』だと言っていたわけだから会話のように見えているこの光景が異常なのだが……


「鈴にはこれを」


「何これ?バール?スティック?」


「魔力を込めればわかるよ」


「──おお!魔力で槌が形成された!?」


「銘を『魔撃槌マナインパクト』。その名の通り魔力で衝撃を生み出すこともできるし【軽量化】と【重量化】もかかっているから場面に応じて使い分けてね」


「やったー!ありがと!これでこの槌は要らないから捨てちゃおうかな」


「彩にはこれ」


そう言って豪華絢爛と言っても差し支えない装飾がされ、楕円が三つ先端に付き、角度によってはアスタリスクにも見える杖を渡す。


「祭杖?」


「銘は『根源回帰ノ祭杖』。【回復系統魔法】の威力の底上げに加えて、一日に三回だけ、死んでいなければ完全復活できる能力が『付与』されてるからね」


「……これ、『魔道武具』と言うよりも、神器じゃあ……」


「じゃあ次に隆静」


「おう」


「隆静は思いつかなかったから無しで」


「おいっ!?」


「──って言うのは冗談で、この盾を」


そう言って、お盆サイズの盾を渡す。


「……さすがに、これだと小さすぎるんだが……」


「……とか思ってるのかもしれないけど、魔力を流せば魔力の盾ができて大きくなるから。【硬化】とかまあいろいろと『付与』してあるから。銘は『城塞フォートレス』。はい次」


「なんで会話が成り立ってるのかとかツッコミどころは多いんだが……なんか俺だけ適当じゃあ無いか?」


「あとはアドルフさんに」


「俺にもか?」


「お世話になりましたし、光輝たちがお世話になっていますからね。この『魔法剣』を。【魔力増幅】に加え【魔力消費軽減】、さらには【魔力充填】が『付与』してありますので、魔力を気にせずに【飛斬】やもっと上の技術が使えるようになりますよ」


「いや……そこまで『付与』されてる剣とか、おかしすぎるんだが……」


「そして最後に、桜先生」


「え、わ、私!?」


「先生にはこれを。無理し過ぎないようにお願いしますね。『樹術師』である貴女なら、着ければわかるハズです」


「……手甲ガントレットか?それ、しかも、木製?」


アドルフが覗き込みながら、言う。


「あははは、恐らく木でできていますし、『樹術師』である私に合わせて作られたのかと……恐らくアドルフさんと同じような能力では?」


そう言いながら、手に装着する。


「これで全員だね。さて、あと言うことといえば……ああ、そうそう。この先の階層では『転移結晶』の登録ができないから気をつけてね」


「なっ、なんだって!?」


その言葉に一番驚いたのがアドルフである。


「それって、どういう……」


「いいか、攻略する階層が深くなればなるほど徒歩で移動しなくてはならなくなる。さらに言えば食糧の問題が出てくる。つまり──」


「階層が深くなればなるほど、探索が困難になるというわけですね」


桜が察し、アドルフの言葉を引き継ぐ。


「あと最後に、これは忠告──いや、警告かな?──『神には気をつけてね』」


そう言って零刀は歩き出し、彼らの間を抜けていく。


「──白?」


「レイ!待っ──」


光輝が手を伸ばすが、途中でホログラムであることを思い出し宙に手を彷徨わせる。


彩の呟きは光輝のその声に埋もれてしまった。



「────!」


「──じゃあ、後は頑張ってね」



最後に零刀は──レイは彩の肩に手を置き、そう言って消えていった。



「レイ、くん……」


そう言い、レイの触れた肩に手で触れると、まだ熱が残っていた──











「……なんか、夢でも見ていたみたいだな」


信じられないことの連続があったせいかアドルフがそう零し、今出て来たばかりの家を振り返って、見る。


「それでも、夢で無かった証拠ならありますよ」


そう言って各々が自分の新たな武具を見つめて、笑みを浮かべる。


「さて、とりあえず迷宮から出るか。こうしていろいろな事実がわかったんだ。それの報告もしなくてはならないしな」


そう言って『転移結晶』を起動させ、光に包まれていく。


そんな中、名残り惜しげに彩と鈴が家を眺めるとそこには、白い長髪の人影が見え──


「あっ───」


そのまま視界は、眩い光に包まれ、見えなくなった。


しかし、最後に見えた口の動きは



──またね



と言っているように見えた。




------------------------------------------------------------




「くっ、冒険者の収集を急げ!」


「おいっ!こっちにも火の手が!【水属性】使いはいるか!?」


「こっちは怪我人だ!誰か【回復魔法】を使えるヤツはいるか!?」



──【転移】特有の光が晴れ、彼らの目に入ったのはそんな、戦地の様な光景であった。


次も勇者saidですね。

そろそろ出したかったキャラも少しずつ出てくる頃かな?

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