超越者と魔王と理不尽と
活動報告にも載せますが来週は諸事情により恐らく投稿できません。
とりあえず今週は【我が道】も【戦いたい】も最低一回ずつは投稿する予定です。
今回は『ステータス』回となっております。
……え?早く先に進めろって?大丈夫です。もうすぐ迷宮編も終わるはずです。
それでは、どうぞ
「ふぅ、食べたねぇ」
「うん、食べた」
そう言って食器を片付け終わると二人はゆっくりとしていた。
「あー、そーいえば……細かいことはわからないんだけど……多分、次の階層で最後だと思うから」
「え?」
そんな中で、レイがサラッと言い、自分の耳を疑ったイリスは聞き返す。
「いや、だから最後。多分ラスボスでもいるんじゃあないかな?」
再度、何でもないようにいう。
「アレ?疑ってる?」
「いや、疑うも何も……根拠は?」
「あれ?説明して無かったっけ?」
イリスはそれにコクリと頷く。
「んー、なんというか……見えるんだよね」
「……え?」
「いや、馬鹿らしいと思うかもしれ無いけどね。これはそういう『眼』だからさ」
「それってあの、『銀色の眼』?」
「そうそう、それそれ」
それを聞いたイリスに疑問が生まれる。
「『魔眼』?でもそれなら、わたしも使えるはず──」
「──『無眼』、その名の通りその眼に見えぬものは無く、無を見通すための眼でもある。故に見えぬもの知らぬものはこの眼により、見えるのである」
そこまで聞いてからイリスは首を傾げる。
「それって『全知』って、こと?」
「『全知』とは別物だよ。……元よりこの『技能』で全てを知れる訳では無いし、まず『知る』んじゃなくて見えないものを『見る』だけ。『全知』は全てを知る。つまり『世界の記録』にでもアクセスできる権限でしょ?あるかは知らないけどね」
「『世界の記録』?」
「あー、通じないかな?まあ、世界における全ての記録とでも言えるものだよ。あるかどうかなんて定かでないけどね。でも、この世界における『記憶』や『記録』は『魔素の配列』だからどこかに、それこそ何らかの物体を形取って存在してるかもね」
「配列?」
「そ、この前『原子』については説明したでしょ?で、僕がいた世界は知らないけどこの世界ではそれよりも小さい『魔素』が『原子』を構成してるって話」
そう言ってイリスを見てコクリと頷いたのを確認して続ける。
「それだけ小さい『魔素』が単体では大きな量の情報を扱えないから色々な性質の『魔素』が並んで結合することによって『記憶』や『記録』っていう情報を構築してるって話。『完全記憶』とかの『技能』はこれを利用してるんだよ」
イリスは「へぇー」と言いながら頷いている。
(この話について来れるのってだいぶすごいと思うんだけどなぁ……)
そう思いながら見ているとイリスは知識を整理し終えたのか、レイへと問いかける。
「それで、本来見えないはずの『情報』を見て、どう感じた?」
「──かなり、ヤバいと思うよ。正直に言って【死】の可能性すら感じるほどに」
そう言った。
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「まあ、しんみりした話はここまでにして。『ステータス』の確認大会〜。わ〜」
レイが装備を手入れしたり、改造したりしながらそう言い、一人でパチパチと手を叩く。
「わ、わぁー」
「あ、のってくれた。ありがとう」
「どう、いたしまして」
そんな会話をしながら手を止めずに作業をしているレイはやはりすごいのであろう。
「じゃあイリス『ステータス』からでいい?一応見たことはあるけど再確認しとかないとね」
「……『魔王』の職業には一定レベルを超えるまでは『ステータス』が絶対に『隠蔽』される代わりに、そのレベルを超えると『職業』と『名前』、後は【魔王】の『称号』がどれだけ低い『技能』Lv.の『鑑定』でも開示されるようになる。って書いてあるんだけど……なんで見えてるの?」
「いや、だって見えないものを見る『眼』だから」
「……納得?」
イリスもそんな理由だけで見れるものなのかと疑問を抱いているが、最終的にはレイだからと無理矢理納得する。
「って言うか面白い性質だね。強者の余裕って感じかな??」
「確か【強者の運命】」
「そんなのもあるのね……まあ、『無眼』に関しても僕もわからないことはあるから何とも言えないかな」
「……いろいろ、わからない『技能』が多い」
「まあ、それも含めて確認するよ」
「ん、じゃあ『ステータス』」
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イリス LV130 Age 5015
種族:魔族
称号:【魔王】
体力 58000/58000
魔力量 1000/350000
魔力 300000
筋力 15000
敏捷 50000
耐性 32000
魔耐性 30000
固有技能:全魔眼
技能:魔王 【王威 ステータス増加率上昇 獲得経験値量増加 強者の運命】
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「うーん、僕みたいなチート無しでコレだもんなぁ……ホント『理不尽』……まあ、味方である時点で頼もしいと言うしかないけどね……?」
そんなことを言いながらイリスの『ステータス』を見ていると何を思ったか首を傾げる。
「どうか、した?」
「いや、そう言えば……あの『加護』は?」
「『加護』?」
「ああ……そこまで隠蔽されてるのか」
「『加護』……?隠蔽……??」
(イリス本人が知らない……というよりも、知らなかった?ああ、他者への隠蔽だけでなく本人にまで──)
そう言って悩み出したイリスを尻目に零刀は思考に耽ると、ふと思いつく。
「イリス、少し待ってて……『我が眼に見えぬものは無く、全てを見通す。それを今ここに示せ』──【無眼・制限解放】」
すると少しして、イリスの『ステータス』の下に文字が浮かび上がる。
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〈加護〉:魔王@Dj5pmy3pの加護
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「ふぅ、こんなものかな?その部分の『ステータス』そのものが『隠蔽』、もしくは『偽装』されてたみたい。それに情報そのものを狂わせて見れないようにされてるみたいだね」
「『ステータス』を隠したり数値をを低く『偽装』することはできても、『ステータス』の表記そのものを変えることはできないはず──いや、一人だけ知ってる」
「?……だれ?って聞いても僕にわかるわけ──」
とレイは考えたのだが次の瞬間そんなことは無かったと理解する。
なにせ、イリスはレイを指差したのだから。
「あなたの『ステータス』表記。アレは確実に『偽装』されてる。と言うよりも、【看破の瞳】でも『偽装』されてるって出てなかったから表記の『改変』に近い。それに前に言ってた。『経験値がなくても強くなれる』って。『生体魔素』を使って『ステータス』を強化できるとも。何か、知らない?」
「……知らないかな。と言うか……『改竄』してたことわかってたんだ……」
「と言うか、さっき説明してくれた『無眼』なんて『技能』見て、なかったし」
「あー、そう言えば表記して無かったっけ?まあ、先に『技能』の確認と行こうか」
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魔王
魔を統べる者に贈られる称号。
魔眼を統べるものであり、魔族を統べるものである。
この者には王の器が備わっている。
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魔王
職業が『魔王』である者が習得できる『技能』。
様々な【技能】が包括されている。
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「『魔王』って魔眼の王って意味合いもあったんだねぇ。それと『魔王』って『技能』は『勇者』と似たようなもの……かな?でも『魔法系統』の『技能』は無いのかな?」
『勇者』の方には【光】に関する【魔法】なども含まれていたことを思い出しながら問いかける。
「……わたしにおける『魔王』はただの『魔王』じゃなくて、『魔眼の王』って意味もある。だから【魔法】は使えない……らしい」
「へぇ、説明文に対して【鑑定眼】を使ったわけね。それにしても『魔王』なのに【魔法】が使え無いのか。この前魔法が使えないって言ってたのはそういう事か。そこは『錬成師』と似てるね……まあ、結局『魔眼』で同じようなことが出来てるし」
「ん、便利」
「『全魔眼』については前に見たし……次は僕か。……やっぱり『改竄』した『ステータス』を見せるのは無し?」
「無し」
「りょーかい。ほいっと」
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「」 LVー Age-
種族:
職業:練成師
称号:【超越者】【無純】
体力 200000/200000
魔力量 200000/200000
魔力 200000
筋力 200000
敏捷 200000
耐性 200000
魔耐性 200000
〈固有技能〉:完全記憶 魔素支配 錬成 無属性魔法 変換 演算 天翔爆地 無眼 料理 無刀剣舞
〈技能〉:
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「……なに、この『固有技能』の量。これが、レイの『ステータス』?ここまでの、強さをどうやって……?」
『固有技能』はその名の通りにそのものの『固有』であるという意味が強い。
しかし、普通の『技能』も極め自分特有の、それこそ『固有』の域にまで高めることによって『固有技能』へと至る。
その際に他者との明確な差があればあるほどその『技能』そのものの名まで変わることがあるのだ。
それを【記録眼】で知っていたイリスはレイの『ステータス』に驚愕する。
「まあ、いろいろとあったからね……」
レイがそう言ったことによりイリスは深くまで聞くことができなかった。
「……とりあえず、ひとつひとつ確認して、いい?」
「どうぞ。気になることがあって知れなかったら聞いてね」
「了解」
そう言って確認していく。
(すごい。量も凄いけどひとつひとつの『技能』そのものが強い。『完全記憶』はわたしの【記録眼】に似ているけど『魔素支配』なんて魔力を構成する『魔素』そのものを支配できるってこと?あと気になるのは……『無属性魔法』?【鑑定眼】でも、情報が見れない……)
イリスは確認していく中で、本来記載されることの無いはずのものを見つける。
「『無属性魔法』って、なに?」
「ああ、そのまんまの意味だよ。それを自分固有のものとして習得しただけ」
その問いに対する答えはそれだけであった。
(技術を固有化することでも『固有技能』に、なるのかな?あと気になるのは『無刀剣舞』?)
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無刀剣舞
剣術を突き詰めた末に、到達した一種の境地。
その剣に限界は無く、無限であり無剣である。
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(なんか、よくわからないけど……『剣術』の一種ってことかな?とりあえず一通り確認したわけだけど──)
「──でたらめ、ね」
「……そうだね。僕もそう思うよ。あ、そう言えばなんだけど、『ステータス』を司る神っているの?」
「……【光と闇の属性神】しか聞いたことないけど……どうして?」
「いや、特にどうしたってわけじゃあ無いけど……『技能』の名前とか定義って誰が決めてるのかなって」
「そういえば、どうなんだろう?それこそ、さっき言ってた『世界の記録』が決めてたり、して」
「あー、その考えは無かったね」
(ふむ、それに関しても後々調べる必要あり、かな?)
そして少しの間、沈黙が流れる。
「──まあ、今とやかく言ってもわからない事だしね。とりあえず次の階層主の初撃もよろしくね」
「ん、了解」
ちなみに途中からではあるが階層主の初撃はイリスが担当することになっている。
レイいわく『パワーレベリングの基本』らしい
「……よし、装備の調整もこんなもんでいいかな?いろいろと【軽減】やら【耐性】やらは付けてあるから防御力そのものが上がってると思うよ」
「ん、ありがとう」
「いいえ、どういたしまして……準備ができたなら……行くる」
「ん、行こう。外の世界も見てみたい」
「じゃあ、そろそろこの迷宮も抜けないとね」
そう言って二人は歩き出し、【転移魔法陣】にて【転移】した。
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「──着いた。また洞窟タイプ?」
周りを見るとドーム状になっており、石でできているそれは今まで見てきた洞窟のように見える。
「……一切の無駄が取り払われたシンプルな作り、か」
現状を確認しながらレイはその場を分析し始める。
「──魔物?」
二人がいるドーム状の部屋の中心にヒトガタの魔物らしきものが一体、鎮座している。
「……イリス、【鑑定眼】で見える?」
「ダメ、見れない。でも、ドーム状の部屋に魔物が一体。恐らく『階層主』」
「だよね。こっちの『無眼』もジャミングがかかってるのか見えないんだよね……とりあえず初撃は頼んだよ」
「──もう既に準備完了。あとは撃つだけ」
「よし、なら──」
(『前方から不確定要素を多数含んだエネルギーの接近を確認──』)
撃て、と言いかけたその時、レイの右手にてつのけんが現れ、それと同時に跳ねるように振り上げられる。
瞬間、目の前で何かが切り裂かれ、【分解】されていくのを感じる。
(なんだ、今の──)
しかし、それに思考を巡らせる間もなく、横からの魔力を感じる。
続いてレイの思考が急激に加速され、世界の動きがスローになる。
(『緊急時における【加速演算】を起動。続いて【魔法演算領域】の『展開』を開始』──)
「──『記憶領域より展開』【超多構層衝撃吸収構造障壁(225式ミルフィーユ)】」
薄く圧縮された225層の障壁が飛来した光を受け止める。
「ホントはここで『いろいろな層が225層重なっているからミルフィーユなんだよ!』ってネタをかますつもりだったんだけど……今はそんな場合じゃない、か」
イリスを銀色の瞳でしっかりと『見る』。
それを撃った本人の顔には驚愕と恐怖が浮かんでいて、
そしてその身体にはおびただしい量の『瘴気』と見るだけで怖気を覚える『魔力』が絡みついていた。
「さっきのアレか──!」
そう言って、それを放ったであろう魔物に視線を向ける。
その魔物はこちらへニタリと歪んだ笑みを向けて立ち上がる。
それは角を生やし、鋭い爪を持ち、鱗の生えた翼を持っていた。
その姿に多少の違いはあるが、少しだけ見覚えがある。
「アレは……『悪魔』かな?ならさっきのは『支配系統』の『技能』の可能性が高いね」
(この状況で二対一。悪魔の方はまだ傍観しているだけっぽいのが救いか……イリスの方はどうにかなるかな?……いや、どうにかするしか無いんだけどね)
左手にもう一振り剣を出して、言う。
「まあ、どうにかこの『理不尽』な状態を脱し無いとね」
そして、今ここに悪魔と魔王対、錬成師の、『理不尽』な戦いの火蓋が切って落とされた。




