勇者side:迷宮上層・1
勇者sideです。
明日投稿するとしたら【戦いたい】を投稿します。
……えっ?早くレイsideに戻れって?
もう少しお待ちください。
──迷宮都市『オルデール』に到着した馬車の中に彼らはいた。
「ハァ、やっと着いた」
アドルフは疲れた様な顔で、ため息混じりにそう言った。
「まさかあんなことになるだなんて……」
アドルフは王城を発った時のことを思い出す──
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「前回の迷宮探索からひと月が経った」
アドルフはいつも使っている訓練場に全員集めると、そう言った。
「あんな事があってからお前らは今まで以上に訓練に取り組んできた」
全体を見回して、全員の顔を確認する。
その顔は皆、自身と決意に満ちている。
「それでだ。一週間後から再度迷宮探索を開始する!」
「「「オオオオオオ!!」
」」
歓声が、あがる。
(あ、あれ?おかしい……誰かしらが反対すると思ったんだが……)
「ま、まあいい。三日後に勇者パーティーが出発だ」
「あの、アドルフさん。勇者パーティーはってことは俺たちは別の日って事ですか?」
ピタリ、と歓声が止んだ。
「ああ、今日から一週間は後だとは思うが──」
──瞬間、暴動が起き始めた。
「おい!何でだよ!」
「何で光輝たちだけ!」
「そうだそうだ!」
次々に抗議の声が上がった。
「ちょっ、ちょっと落ち着け!さすがに誰がどれくらい行くのかもわからなかったし、それに何よりこれだけの人数だと手配するのにも時間がかかる!仕方が無かったんだ!」
──三日間、追い回され続け、逃げるように王城を発ったのであった。
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とまぁ、そんなことがあったのだが。
「しかもアイツら、挙げ句の果てに走ってでも来るとか言い出すし……ハァ」
「私からすると、みんながやる気になってくれるのは嬉しいんですがね……」
アドルフがまた一つため息をつくと、声がかかった。
「あそこまでとなると、なんだかなぁ」
「原動力が何であれ、生徒が成長しようとすることは嬉しいことですから」
「まあ、俺も指導する側の人間だからわからなくもないが……」
その女性は緑川 桜。
光輝たちのクラスの担任の先生だった人だ。
彼女は王城を発つときになって突然勇者パーティーの一員となり、迷宮探索に同行することとなったのだ。
本人曰く、
「生徒が頑張ってくれるようになったのだから、私も頑張らないと!」
ということらしい。
「やっと、また来れた。ここにレイくんが……」
『治癒師』である彩が言い、包帯を巻いた左手首を握る。
「そうだな、というか零刀なら俺らが助けに行かなくても、何事も無かったかのように一人で帰って来そうな気もするんだがな……」
「でもなにもしないで待ってるなんて、できないでしょ?」
ぽつりとつぶやいた隆静に鈴がすこし笑って言った。
「まあ、それもそうなんだが」
隆静が少し頭を掻く。
(あれだけ迷宮の危険性と生存率の話をしたんだが…一度も死んだって会話が出てこない。それだけ信頼されてるってことか。まあ、そういう俺も、アイツならって思っちまってるんだけどな。っと、着いたか)
宿に着き、思考を一旦終わらせる。
「で、お前らはすぐに探索しに行きたいって話だったか。…今度は死ぬかもしれないぞ」
すこし低い声でアドルフが言う。
「僕はもう、大切な人を、仲間を失いたくないんです。だから、【魔王】を倒すためにも強くならないと」
光輝の意思を確認して、次に隆静たちを見る。
「俺は大丈夫です」
「私は大丈夫だよ」
「私も覚悟はできてます」
「私もです。──全ては我らが神のために」
アドルフが何かを言う前に他の全員強い意思を持った目を向けて言った。
なお、最後に彩が言った言葉は聞こえなかったようだ。
「そうか。よし、荷物を置き次第行くぞ」
「「「了解!」」」
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「『我、求めるは光の力。我が敵を切り裂く光よ、我が剣に宿れ!』【光の剣】!」
光輝の【光の剣】がゴブリンを切り裂く。
力の差を感じたのか、残りのゴブリンが逃げ始める。
「任せてください、『我が魔力を糧と成して育ち、我等が敵を拘束したまえ』【拘束する蔦】」
地面から蔦が急速に伸び始め、ゴブリンを縛り、拘束する。
「『魔力は燃え盛り、熱を持ち、燃え盛る。それは、やがて爆炎と成りて我が敵を焼滅させんとする。』【爆発】!!」
彩の魔法が逃げ始めたゴブリンたちを消し飛ばす。
「ごめん、一匹逃した!鈴!」
「はあああ!」
ズドン!という音と共に鈴の大槌が叩きつけられる。
「ギャ!?」
一瞬でゴブリンはひき肉にされていた。
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「本当に、なくなってるんだね」
五階層のボス部屋の直前まで来たところで全員が一度止まる中、光輝がつぶやいた。
そこはあのとき、宝箱があり、罠であったところだ。
「そう、だね。もしまだあればレイくんを助けに行けるかもしれないのに……」
彩が寂しそうに、悲しそうに言う。
「まあ、心配なのはわかるが下に落ちたんだ。なら、下の階層まで行けばいるかもしれないだろ」
「リュウセイの言う通りだ。ならば迎えに行くためにも、お前らはもっと強くならなくてはならない。そのためにも、まずはこの階層の階層主を倒さないとだろ?」
隆静の肩を叩きながらアドルフが言った。
「そうだね。ここで一旦休憩して『ステータス』の確認と作戦会議にしよう。」
光輝がそう言い、『ステータス』を見せ合う。
その『ステータス』がこれだ。
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コウキ ヒジリカワ LV9 Age16 男
種族:人間
職業:勇者
称号:光の勇者
体力 900
魔力量 900
魔力 900
筋力 900
敏捷 900
耐性 900
魔耐性 900
〈固有技能〉:獲得経験値量増加
〈技能〉:勇者Lv3【剣術Lv7 光属性魔法Lv5 闇耐性Lv3 鑑定Lv4 アイテムボックスLv3】
火属性魔法Lv1 水属性魔法Lv1 魔力操作Lv4 身体強化Lv5
〈加護〉光神の加護
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サヤカ シラセ LV9 Age15
種族:人間
職業:治癒師
称号:
体力 600
魔力量 1800
魔力 1570
筋力 280
敏捷 350
耐性 350
魔耐性 730
〈固有技能〉:回復魔法
〈技能〉:魔力操作Lv7 身体強化Lv3 火属性魔法Lv4 光属性魔法Lv5 水属性魔法Lv2 信仰Lv8
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リン キノ LV9 Age15
種族:人間
職業:槌操師
称号:
体力 900
魔力量 580
魔力 200
筋力 1560
敏捷 670
耐性 600
魔耐性 280
〈技能〉:槌術Lv5 身体強化Lv6 土属性魔法Lv3 魔力操作Lv3 信仰Lv7
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リュウセイ キムラ LV9 Age16
種族:人間
職業:守護騎士
称号:守護者
体力 1630
魔力量 420
魔力 360
筋力 1660
敏捷 780
耐性 1800
魔耐性 1590
〈技能〉:守護Lv2【身体強化Lv6 鉄壁Lv4】 剣術Lv6 魔力操作Lv2
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サクラ ミドリカワ LV9 Age23 女
種族:人間
職業:樹術師
称号:
体力 740
魔力量 1700
魔力 1600
筋力 300
敏捷 350
耐性 250
魔耐性 700
〈固有技能〉:木属性魔法
〈技能〉:魔力操作Lv5 風属性魔法Lv4 土属性魔法Lv2
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「だいぶ強くなったよね」
「やっぱ光輝の『固有技能』ちょっとチート過ぎねぇか?」
「ほんとだよね。『鑑定』」
そう言って自分の『固有技能』を『鑑定』する。
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獲得経験値量増加
レベルが5まで上がったことによって『光神』より授けられた『固有技能』。
一度の戦闘で得られる経験値量を増加させる。
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「この『固有技能』って『鑑定』には出てないけどパーティーメンバーにも効果があるみたいだしね。なんかズルしてるみたいだけど……って、二人とも何やってるの?」
見ると、彩と鈴が宙に左手で円を描き、そこに✕を描いている。
二人とも手首に包帯を巻いている。
「あれ?二人とも手首怪我してるの?」
「んー、怪我はしてないんだけど……おまじないみたいなものかな」
「まあそれは一旦置いておいて作戦の話をしようよ」
鈴が答え、彩がそういったことにより、作戦についての話し合いが進んでいった。




