一年記念 『学園祭』
1日に二回投稿がどうしてかって?
不定期だからさァァアア!!
嘘です。さっき書き始めて一年と気がついたからです。
ここまで続けてこれたのも読者様のおかげだと思います。
という理由で一年記念『学園祭』です。
さっき急いで書きました。
これからも『ハズレ』の両作をよろしくお願いします。
──ある学校の1クラスでそれは行われていた。
「これからぁ!学園祭の出し物決めを始めるぅ!」
「「わぁぁぁあああああ!!!」」
隆静の言葉に周りが歓声を上げる。
「あの、さ。一応僕が学級代表なんだけど……」
おずおずと手を上げて発言する光輝に隆静は
「光輝はしばらく黙ってろッッッ!」
「はっ、はいぃぃい!」
怒声で応じた。
「……光輝、ドンマイ」
「うん、ありがとう。何だか変な感じになってきちゃったね」
零刀が光輝の肩を叩きながら励ますと、すぐに立ち直った。
……このとき、周りの人たちが固唾を呑んでいたり、一心不乱に何かを描いていたのだが二人は気がついていない。
そんな中で、『出し物決め』はさらにヒートアップしていく。
「食べ物屋さんなんてどうかな?」
「お化け屋敷も捨て難いだろ!」
「はっ!やっぱここはメイド喫茶で──」
「男子サイテー」
「マジないわー」
「なんだとぉ!」
掴み合いにまで発展しそうになったそのときだった。
「へー、メイド喫茶かぁー。ねぇ鈴、どんなことやるのかわかる??」
「うーん、ベタなところでいくとやっぱりメイド服なんか着て接客しながらご飯出す感じじゃない?」
「へー、でも男子はどうするの?メイド服着るの?」
ピタリ、とみんなの言葉が止んだ。
「あの、射的なんてどう──」
「「「うるさい!光輝は黙ってろッッッ!!!」」」
見事にハモった。
「えっ、ええぇぇ……」
「光輝、ドンマイ」
そんなやりとりもあったが、今は誰も見ていない。
(れ、レイくんのメイド服だと!?)
(まさか、そんなコトが──)
(……いい材料になりそう)
少しして
「「「メイド喫茶にしよう!!!」」」
男女問わず、意見が一致した瞬間であった。
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──学園祭、当日。
「えっと、ホントにこれでやるの?」
「うん!」
彩が笑顔で答える。
「でも、なんかおかしくない?どうかな、鈴」
「いやいやいや、全ッ然おかしくないよ?男の人がメイド服を着る文化だってあるんだから」
「そうなの!?」
「そうなのである!」
鈴が自信満々で言う。
「そうなんだ……ところで鈴は何を描いてるの?」
「ああ、とりあえず絵として残しておこうかと思って」
そう、何かをずっと描いていたのだ。
それも、かなりのスピードで。
「写真でいいと思うんだけど……ねぇ、白瀬さん?どうしてそんなに写真を撮ってるの?」
そこにはカメラで撮りまくっている彩がいた。
「いや、思い出の共有ように」
「へー、そういえばここの学園祭って個人展的なものもあるんだよね」
ピタリと二人の動きが止まる。
「あれ?どうかしたの?」
「「何でもない」」
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「最初のお客様入りまーす!」
鈴が笑顔で言う。
担当するトップバッターは──
「お、お帰りなさいませ、ご、ご主人様」
──案の定、零刀であった。
この後、この店が繁盛したのは言うまでもないであろう。
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「ふぁー、疲れたー」
「レイくんお疲れ様」
裏手で零刀がひと息ついていると彩が労いの言葉をかける。
「あれ?そう言えば仕事中に白瀬さんのこと見かけなかったけど、どこいってたの?」
「あー、友達たちに個人展の手伝い頼まれちゃって……」
「へー、大変だねー。手伝おうか?」
零刀がそう言うと
「いや!いやいや!全然大丈夫だよ!これから鈴と代わる予定だし!」
慌ててそう言った。
「そっか、ならいいけど…」
「……本人に見せられるようなものじゃないしね」
「え?ごめん、ちょっと聞こえなかったや」
「ひ、独り言だから気にしないで…」
そんな会話をしていると
「ゴメン!レイちゃん──って、あれ?さやちゃん?」
鈴が駆け込んできた。
「そろそろ交代の時間だから呼びに来たんだけど……どうかしたの?」
彩が問いかけた。
「ちょうど行こうと思ってたんだけど……人の数が予想以上に多くて大変だからレイちゃんにお願いしようかと…」
と言って零刀を見る。
「うん、いいよー。手伝い、頑張ってね!」
「??うん?」
零刀はそのまま駆けていった。
「戻りました!」
「零刀くん、あそこの席の人お願い!」
「はーい!」
そこには黒いローブの様なものを着ていて、フードを被っている人がいた。
(フードで貌が影で真っ黒になってて見えないや……他のクラスの人かな?お化け屋敷かなにかの服装のままできたのかな?)
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
「ご主人様?……ああ、ボクのことか。ってあれ?キミって男の子?」
一発で見破る黒ローブの男に零刀は少々驚いた。
「あっ、はい!色々とありまして……まあ、なかなか気づく人はいないんですけれどね…」
「ふぅん、そうか。じゃあ、これとこれを貰おうかな」
「はい!」
──こうして学園祭は行われていった。
どこのクラスが一番稼いだのかは言うまでもないであろう。
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普通の店のある場所から少し逸れたところ。
「はい、こちら360円になります」
顔を隠している少女が、何かを売り、代金を貰っている。
「ふう、今もメイド喫茶は大繁盛だろうなぁ」
そんなことを言いながら、メイド喫茶があるであろう方向に視線を向ける。
「よし!いい素材も手に入ったし、新作と行きますか!」
気合いを入れて何かを描き始めた。
そんなこんなで、混乱が起こることもなく、学園祭は終わっていった。




