階層探索・2
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では、どうぞ
零刀は大きな音で目を覚ました。
「んー、よく寝た…」
ふわぁ、とあくびをして、体を伸ばす。
その間もずっとガンガンという音がなっている。
「あー、そう言えば家作ったんだった」
昨日、零刀は『錬成』で家を作っていた。
小屋サイズではあるが石材壁のような壁は土を限界まで固めて、その上から石でコーティングされており、ビックリするくらいの強度となっている。
現に、今現在コドモドラゴンによって体当たりされているが壊れる様子はない。
「うん、これなら災害があっても壊れないだそうね。さて、狩ろうか」
こうして零刀の今日が始まった。
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零刀は考えていた。
もちろん武器に関してのことだ。
現在使っている魔改造された鉄剣は一本は使ってないがもう一本は既にボロボロになってきている。
もし、『二刀流』を使わないといけない場面に出くわしたらどうしようもなくなる。
「─かと言って、鉱石類がここら辺にある訳じゃあ無いしね…。んー、どーしよっかなー」
ふと、部屋の隅に置いてある大きな赤い球体が目に入る。
「あー、そう言えば解体した後の血は固めておいたんだっけ?臭いも遮断してたから鉄の臭いがしなくて忘れてたよ」
零刀の動きが止まる。
「血?鉄?血液から鉄を抽出して剣を作る?もともと鉄とかの無機物は『生体魔素』として吸収できないし……。でも大体人に含まれる鉄は多くて5gくらい……魔物の血のが多いにしても大量の死骸が必要になる。『生体魔素』のことを考えてもやりたいけれど武器自体が先にダメになる。かくなる上は─土か」
家から出て土を触る。
頭の中から今行うこと以外の思考が消える。
「『錬成』『魔素支配』によって土を構成する物質へ干渉、さらに『上位鑑定』によって物質を鑑定、鑑定終了とともに物質ごとに分離、鉄のみを抽出─」
─『高速思考』を習得しました。
─一定量以上の経験と知識を検出しました。技能『高速思考』のLv.を1から6までアップさせます。
「─ふう、うん、きついし普通に足りないなぁ。いっその事魔素をちょっと『変換』できるかやってみるか」
鉄に手を当て、深呼吸をした。
「──『錬成』『魔素支配』によって鉄に干渉。『上位鑑定』【無属性魔法】も併用し物質の情報の読み込み、記録を開始。鉄そのものを対象として物質から魔素への【分解】を行使─失敗。【魔法】が不適切だと判断、新しい魔法の構築へ移行。─【分解】を元に【魔法】を構築し直し【還元】を作成。行使──成功。今の工程を『完全記憶』にて記録」
零刀の手元から鉄が消えた。
しかし、零刀は『魔素支配』の【魔素視】によってみえており、『記憶』している。
─一定量以上の経験と知識を検出しました。技能『高速思考』のLv.を6から10までアップさせます。
─技能『高速思考』は固有技能『演算処理』に進化します。
「工程を逆算し、魔素から物質への『変換』の工程を算出。行使─成功」
すると手元には先程より少し、ほんのわずか小さくなった鉄があった。
「─っ、ふぃー、いちおう成功って所かな。まだまだロスもあるし効率も完全ではないけど…。戦いながら剣の『錬成』とか、1度に大量の剣を『錬成』とか夢がひろがるね!っとと、魔力の使い過ぎかな?『ステータス』」
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「」 LVー Age15
種族:
職業:練成師
称号:超越者 無純 新生
体力 2500/2500
魔力量 5/5000
魔力 1500
筋力 1000
敏捷 700
耐性 500
魔耐性 500
〈固有技能〉:完全記憶 二刀流 魔素支配 錬成 無属性魔法 上位鑑定 変換 演算処理
〈技能〉:剣術Lv8 魅了Lv5 剣舞Lv6 魔道具製作Lv5
保有生体魔素量:3800
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「こんだけ『魔力量』増やしたのにこんなに使うのか……。んで、技能の方は…『上位鑑定』」
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演算処理
計算や予測など、思考速度が速くなる。
補正率は本人の思考速度と熟練度に依存。
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「おお!欲しかった念願の技能がついに!途中からやりやすくなったのはこれのおかげかな?さり気なく『保有生体魔素量』が増えてるのは昨日の食べた兎の分かな?食べても【分解】されるのか」
ついでにそんなことも知った。
「よし、これで武器は大丈夫そうだね。これからのことを考えて『ステータス』は『魔力量』に振って、消費を減らすためにも『魔力』に振っておいて……っと。あとは『魔素支配』の【魔素吸収】で空気中から『魔素』を吸収して『変換』しながらゆっくり回復でもしますか!戦闘中はなかなか使いずらいけど、こういう時は便利だね」
と言って座り、目を瞑った。
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ふと、零刀は自分が夢を見ていることに気がつく。
白い空間にただひとり、零刀はそこにいる。
(明晰夢って言うやつかな?こんな状況まず現実じゃあ有り得ないし…【魔素吸収】中に寝落ちしちゃったのかな?1回発動すれば効果は続くしいっか)
零刀は周りを見回す。
(本当に何も無い空間だね。特に怖いわけでも無いし、悲しいわけでも無いし体は確かにここに存在するのに動かせ無いし)
─このまま溶けてしまいそうだね。
と思ったことを最後に、夢から覚める。
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「………ふわぁ。それにしても不思議な夢だったなぁ」
と言って少しの間夢について考えるが
「まいっか、わからないものを考えてても仕方ないしね。よーし、剣直すぞー、おー!」
零刀は基本、切り替えが早い。
「よし、じゃあさっき抽出した鉄を『錬成』して剣を修復して……あとついでに酸化した鉄から酸素を分離して……ついでに魔素を多く混ぜて……結合力も……もう一本も……」
もうすでに『直す』という範疇を超えている気がしなくもないが……。
「よし!できた!『上位鑑定』!」
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てつのけん
製作者 「」
純粋な鉄で作られたけん。
構成材質その者が魔素にコーティングされている上、粒子の結合力も強化されている。そのため魔力が通りやすくなっている。
ただの鉄の剣と思うことなかれ。
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「これで探索も進みやすくなるね!」
案の定、かなりヤバめなものを作り出していた。
鉄の剣が最弱だと誰が言った!
と言わんばかりの武器強化…。




